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(野菜情報 2016年6月号)

今月の野菜

産地紹介:和歌山県 JAわかやま

~さわやかな辛さが自慢の新しょうが~

わかやま農業協同組合

販売部生産販売課 課長 軒端 学

1 産地の概要

わかやま農業協同組合(以下「JAわかやま」という)は、県庁所在地である和歌山市を管轄し、1行政・1JAとなっている(図1)。関西国際空港をはじめ、鉄道や阪和自動車道などの交通網が整備され、京阪神市場へのアクセスなどが容易であることから、都市近郊型の多彩な農業が展開されている。平成26年度の総販売額は39億6500万円であり、その内訳は米穀類億1000万円(5.3)、野菜・花き35億1700万円(88.7)、果樹億3800万円(6.0)となっている。

管内は瀬戸内気候区に属し、比較的雨が少なく温暖な気候であり、平成27年の平均気温は17.2度、降水量は年間1538ミリメートルである。土質などの栽培環境により、農業は大きくつのタイプに分かれる。すなわち、海岸沿いの砂地地帯では根菜や施設園芸、紀の川流域の水田地帯では水稲および裏作である野菜、東部傾斜地帯では果樹など、多彩な品目が栽培されている。

2 新しょうが生産の概要

(1)生産地区

海岸沿いの河西地区と名草地区、紀の川中洲地帯の北地区は砂地地帯であり、露地ではだいこん、にんじん、かぼちゃなど、施設では新しょうが、ピーマン、ほうれんそう、しゅんぎく、こまつななどが栽培されている。これらの地区は、野菜の周年供給産地として、収益性の高い農業を展開している。また、生産者の平均年齢が比較的若く、後継者も多い。

当地で新しょうがの栽培が始まったのは大正時代といわれており、昭和45年ごろにはハウスによる栽培も開始された。温暖な気候と豊富な地下水、また良質な砂質土壌によって、繊維質の少ない新しょうがが生産されている。管内の新しょうが栽培面積は約35ヘクタールであり、生産量では高知県などと共に全国有数の産地となっている。

(2)作型

新しょうがの栽培体系は、11月から12月に定植して5月から6月に収穫するハウス加温栽培、1月から3月に定植し6月下旬から9月に収穫するハウス無加温栽培、4月に定植し9月下旬から10月にかけて収穫する露地栽培の3つの作型に分かれる(図)。

また、収穫が遅れると、収量は増えるが品質が極端に低下するため、植え付け後180日以内に収穫することを徹底している。

(3)収穫・出荷作業

しょうがは、収穫期になったら根を傷めないように茎を引き抜くが、塊茎が肥大して大きくなっているので、大人が力を込めて引き抜こうとしても簡単には抜けない。そのため、収穫機を使用し、しょうがの茎を引き上げ、茎の上半分を切り落とす(写真1)。後は、簡単に手で引き抜ける。現在では、収穫機を使うケースが増えてきており、収穫のための労働が軽減されることから、規模を拡大する生産者も出てきた。収穫後は、1塊茎当たり10本前後の茎を切り落としていく。この作業は、茎が矢に似ていることから「矢切り」と呼ばれている(写真2)。

新しょうがは、乾燥させると水洗いの時に砂が落ちにくくなり、新しょうが特有の白い肌がくすんでしまう。そのため、矢切りを行った後はすぐにビニールをかぶせ、各農家の作業倉庫まで運んで水洗いする(写真3)。その後、水を張ったおけへと移し、翌日の出荷作業に備える(写真4)。鮮度が命の新しょうがは、早朝から選別、箱詰めを行い、出荷締切りとなる午前11時30分までにJAの各集荷場に持ち込まれる(写真5、6)。生産者にとって、出荷作業は時間との戦いである。

出荷先は京浜、中京、京阪神の市場で、その日のうちに届けられる。

3 協議会の取り組み

新しょうがの出荷は、以前は各農家や地区ごとに行われ、出荷時期や出荷先がバラバラであった。そこで平成12年に新生姜生産販売連絡協議会(以下「協議会」という)を発足し、各地区の作型に合わせ、5月から10月にかけて計画的にリレー出荷する体制を構築した。これにより、産地として長期的に安定した販売が可能となった。

協議会では、出荷ごとの検査や地区別目揃会を実施し、品質の向上を目指している。また、生産履歴の記帳や残留農薬の自主検査とともに、適正農業規範(GAP)の実践に取り組んでいる。さらに、農薬や化学肥料の使用量を減らし、堆肥など有機質を主体とした施肥を実現することで、協議会全体でエコファーマーの認定を受けている。

現在、協議会員は62名である。栽培面積は23.5ヘクタール(加温ハウス栽培9.88ヘクタール、無加温ハウス栽培12.27ヘクタール、露地栽培1.35ヘクタール)であり、出荷数量は1560トン(平成26年)となっている。戸当たりの平均作付面積は38アールである。

4 市場への働きかけと販促活動

JAわかやまでは、重点市場への販売強化策として、年2回の販売会議・市場巡回を実施し、出荷計画や販売状況の確認とともに、情報交換を行っている。また消費宣伝にも力を入れ、和歌山県農業協同組合連合会と連携しながら、新たなメニューレシピやPOP(店頭広告)を作成したり、料理教室、各種のイベントなどを行っている(写真7)。平成28年6月には、東京・大田市場や都内デパートにおいて、市長によるトップセールスを実施する予定である。さらに、農商工連携による加工食品の研究開発にも力を入れ、特産品のPRに力を入れている(写真8)。

一言アピール

 JAわかやまの新しょうがは、白く美しいのが特徴である。甘酢漬けはもちろん、しょうがごはんやサラダ、てんぷら、ジュースなど、幅広いメニューが楽しめる。しょうがにはさまざまな効用があるといわれ、近年は特に女性の方に注目されている。JAわかやまの新しょうがをお見かけの際は、ぜひご賞味いただきたい。

お問い合わせ先

担当部署:わかやま農業協同組合 販売部 生産販売課
 住  所:〒640-8305 和歌山県和歌山市栗栖642
 電話番号:(073)473-9403 FAX番号(073)473-8782
 ホームページ:http://www1.jawink.ne.jp/wky/index.html

今月の野菜「しょうが」


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