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(野菜情報 2015年10月号)

今月の野菜

産地紹介:北海道 JAめむろ
 ~寒暖差により育まれる滋味あふれる「めむろごぼう」~

芽室町農業協同組合
農畜産部 部長 須藤 昌彦

1 産地の概要

 芽室町農業協同組合(以下「JA」という)は、北海道十勝平野の中西部に位置する芽室町を管内としている。芽室町は東西22キロメートル、南北35キロメートル、約513平方キロメートル(5万1300ヘクタール)の広大な面積を有し、その4割に当たる約2万ヘクタールの広大な農地で農業が営まれている。

 内陸性の気候で、「十勝晴れ」という言葉があるように年間の晴天率が高く、日照に恵まれている。冬場は最低気温がマイナス20度を下回る日もあるが、夏場は日中の最高気温が30度を超えることも少なくない。真夏の暑い日でも朝晩は気温がぐっと下がり、この厳しい寒暖の差が生育に有利なだけでなく、植物体内に糖分などが凝縮されやすくなるなど、農業に恵まれた気象条件である。
 芽室町の農業は、約100年前にはじまった開拓の歴史にさかのぼることができる。
 平らな畑が地平線まで続き、広大な大地が広がる様子は、まさに北海道らしい風景である。
当地では、機械化が進んでいる小麦、ばれいしょ、てん菜、豆類の畑作物を中心に野菜類を取り入れた大規模農業が展開されている。現在の1戸当たり平均耕作面積は、約34ヘクタールとなっており、これは東京ドーム約7個分の広さである。

 野菜については、日本一の面積、収穫量を誇るスイートコーンや、全国に出荷されるだいこんやながいもなどの作付けが盛んである。中でも、ごぼう栽培の歴史は古く、昭和55年に17戸の生産者によって設立された「芽室町ごぼう生産組合」を中心に精力的な出荷が行われている。
 生産者数は、60年にJAでの共同選別を開始して以来、順調に増えており、現在は生産者76戸、JA共同選別の受入計画面積は約80ヘクタールに上る。

2 「めむろごぼう」の魅力

 ごぼうは地中、深く長く根が伸びる作物であることから、石や粘土の少ない、深い作土を必要とし、栽培できるほ場が限られる。その点、芽室町はごぼう栽培に適した深く軟らかい土壌が多く、また、トレンチャーという機械でほ場の土を細かく砕くなど土壌管理を徹底することで、まっすぐ伸びた軟らかいごぼう生産を実現している。
 道内はもとより、全国に販売網が広がるにつれ知名度も向上し、近年は「めむろごぼう」として宣伝、広報活動を展開するなど、地域ブランド化に取り組んでいる(写真1)。
 厳しい中国産との競争を乗り越え、国内でも有数の産地に成長しており、平成23年には、全国的に広く認知されているブランドの証である「地域団体商標(注1)」に登録された。

注1:地域団体商標制度
地域ブランドの育成のため、地域名と商品名からなる商標を登録する制度。平成18年に施行され、地域ブランド化の取り組みとして高い関心を集め、27年6月現在、登録数は570件となっている。

(1)生産・栽培上の特色

 ごぼうは、連作や障害が出やすい作物なので、畑作物などと組み合わせた輪作で4年以上の作付間隔をとることにより障害の発生を防いでいる。
 昼夜の温度差が大きい十勝では、日中、光合成により生産された養分を温度がぐっと下がる夜間に呼吸にエネルギーを使うことなく蓄えることができる(写真2)。そのため、収穫されるめむろごぼうは太くまっすぐと伸び、軟らかく、風味にすぐれるとの評価を受けている。
 栽培は、雪解け後の4月下旬のは種からはじまり、収穫は8月下旬から11月中旬に行われる(図2)。ごぼう生産は整地から収穫まで機械化一貫体系が確立されており、従来は重労働であった収穫作業も、オペレーターを入れて3~4人程度の人員で行うことが可能となった(写真3)。

(2)半年続く出荷を支える予冷施設

 出荷期間が半年間にわたるため、高温による乾燥や劣化を防ぎ品質を保持するための予冷は欠かせない。収穫されためむろごぼうは、生産者のトラックでJAの集荷施設に出荷され、直ちに泥付きのまま1~2度程度に管理された冷蔵施設で予冷され、ここで、選別、出荷を待つことになる。
予冷されためむろごぼうは、販売先の細かなニーズに応えるため、太さと長さによって11もの規格に選別され、青果用にはMからSを中心に出荷される(写真4)。選別はトレースが可能なように生産者ごとに行われ、1日の処理量は約20トンである。
 販売先は、道内はもとより関東の卸業者や関西の市場を中心に全国各地に及んでおり、出荷先に応じて列車やトラックで輸送している(写真5)。

3 販売戦略

 販売にあたっては、契約栽培にも積極的に取り組んでいる。市況変動による収入の年次格差を解消するため、関東の卸業者への契約出荷が主体となっている。
 規格における販売戦略については、L以上の太めのものやBLなどのすそものは、卸業者を通じ加工用向けとして出荷し、価格の下支えに努めている。
 また、近年は国内市況に左右されない安定販売を目的に、香港やシンガポールへの輸出にも試験的に取り組み、さらなる販売強化に努めている。
 さらに、出荷時の荷姿については、泥付きが基本で、昔は10キログラムダンボールが中心であったが、平成18年には加工用を中心に、販売先からニーズのあった10キログラムのポリ袋詰めラインを改造し、流通コスト低減に努めている(写真6)。

4 食べ方の提案

 JAのホームページでは、消費拡大の一環として産地で採れる野菜のレシピを紹介している。
食物繊維たっぷりのごぼうをスープやハンバーグに取り入れ、お子様にも抵抗なく食生活に取り入れるヒントとして利用いただければと思う。
 ごぼうは、その機能性も注目されており、若手生産者も育っているなかで、当JAとしても伸びしろの大きい品目として、引き続きめむろごぼうのブランド強化に努めていきたいと考えている。

一言アピール

 めむろの広大な大地ですくすく育っためむろごぼうは、軟らかく滋味深い、ごぼう本来の風味に優れた逸品。これから冬場にかけて出荷がピークを迎える。ごぼうは、きんぴらや煮物、鍋の具材などに欠かせない食材で日本の食文化とも深い関わりのある野菜のひとつである。また、便秘解消も期待できるなど、機能面でも注目したい食材でもある。香りのよいめむろごぼうを店頭でお見かけの際は、ぜひ、ご賞味いただきたい。

お問い合わせ先

芽室町農業協同組合(JAめむろ)農畜産部青果課
〒082-0064 北海道河西郡芽室町西4条南1丁目1番地-9
TEL 0155-62-3014 FAX 0155-62-3578
URL www.ja-memuro.or.jp

今月の野菜「ごぼう」


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