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(野菜情報 2015年9月号)

今月の野菜

産地紹介:新潟県 JA新潟みらい
 ~水はけの良い砂丘地で栽培されるやわ肌ねぎ~

新潟みらい農業協同組合
西営農センター 中野 正憲

1 JA新潟みらいの概要

 新潟みらい農業協同組合(以下「JA新潟みらい」という)は平成19年1月1日に日本海側から福島県境までの広域にわたる5地域(白根市、五泉よつば、亀田郷みなみ、東蒲あがの、新潟西)の農協が大型合併した農協である。
 26年度の農業生産物販売金額は、米74億円、野菜30億5000万円、果実60億4000万円、花きおよび球根10億1000万円、畜産7億3000万円と全体で約182億円となっている。
米で41%、野菜、果実、花きで59%と、米どころ新潟でありながら野菜、果実中心での生産が行なわれているのが特徴である。

2 豊富な自然と水はけの良い砂丘地で栽培される農産物

 JA新潟みらいの中でも西営農センターのある新潟西地区(赤塚地区、内野地区、坂井輪地区)管内は、市の中心から西に16キロメートル程度のところに位置し、広大な砂丘畑が広がり、水稲中心の経営が多くを占める新潟県の中でも園芸品目中心の農業経営が営まれる地域である。
 すいか、だいこんなどの野菜を中心とした営農体系で、専業農家が多いが、近年、農業者の高齢化や農産物価格の低迷などで、作付面積は減少傾向となっている。以前、基幹作物だった葉たばこは、24年以降、廃作農家の募集により大幅に減少し、すいか、かんしょなどに品目転換したものの、畑の利用面積は減少傾向である。

3 JA新潟みらい西営農センター管内のねぎの生産状況について

 管内では、主に、たくあん漬けに使われる加工だいこんの作付けも約222ヘクタールと多く、一時期は加工だいこんなどの重量品目からの転換としてねぎの栽培面積が増加した(表1)。
ねぎの生産者数、作付面積、販売額ともに横ばいで推移しており、70名のねぎ生産者が約40ヘクタールを作付けしている。
 ここ数年、栽培面積は安定しており、加工だいこん生産者の高齢化もあり、ねぎについてはまだまだ増加する見込みのある品目の一つと言える(表2)。

4 盆需要を目指した「夏ねぎ」の栽培

 栽培については5月には種し、翌年の春に収穫する越冬栽培の「春ねぎ」から始まり、「夏ねぎ」「秋冬ねぎ」と続く(表3)。新潟県の気候風土を最大限に生かせる秋冬ねぎは、作付面積が一番多いものの、近年は値段が安定しているという理由から、リスクを覚悟の上で猛暑の中、栽培、管理を行い、8月の盆需要の高値に合わせて夏ねぎの生産、出荷を目指している。
 夏ねぎは1月下旬には種し、3月下旬から定植が始まる。新潟県は雪が多いイメージがあるかと思うが、管内ほ場は、海岸から1キロメートル圏内にあり雪が降っても春まで雪が解けない根雪となることが少なく、県内でも雪による定植遅れが少ない、恵まれた立地条件のもとでねぎの栽培ができる地域である。
 特に秋冬ねぎは冷涼な気温と生育に適した湿度により、やわらかく、しっとりしたツヤがあることが特徴で「やわ肌ねぎ」のブランド名で販売している。

5 砂丘地で栽培されるねぎの特徴

 ねぎは乾燥には比較的強いが、湿害には弱いという特徴がある。近年、異常気象によるゲリラ豪雨の発生などあるが、砂丘畑は水はけが良く畑が湛水することはなく、仮に高温乾燥が続いても、豊富な地下水を利用したスプリンクラー かん水設備が全ほ場に完備されている。
 ねぎの生産で重要なのは、なんといっても軟白部を作るための土寄せである。
 土寄せをした部分だけ軟白に仕上がるので、生産者は土をどのくらい寄せているかわかるように、ねぎ部会で作成した「土寄せ目安棒」を使って、軟白の長さが均一になるように栽培管理している(写真2)。

6 JA新潟みらい西営農センターにおける部会の取組事項

 生産者の品質向上および小売店などからのクレームに対し速やかな対処を行うため、結束テープは生産者名入りとし、生産者の品質向上と責任意識を高めている(写真3)。
 また、抜き打ちの品質検査を週に1~2回行い、品質の平準化を図るようにしている。選別の基準に満たないものに関しては、部会の取決めで格下げすることで品質を保つ努力をしている(写真4)。


 なお、検査は生産者が自ら交代で行い、シーズンを通して全生産者の物を必ず検査する体制をとっている。
 出荷に当たっては、部会員の強い要望で、平成17年より真空予冷機を導入し、夏ねぎにおける品質保持を実現している(写真5)。県外市場5社、県内市場4社と取引し、出荷量は県外と県内で半々となっており、県外は関東地域が中心となっている。

7 加工用ねぎへの挑戦で単価を維持

 現場では、販売会議に合わせ目揃い会を開催し、市場担当者から選別内容や他産地の選別方法などについて意見をもらっている。
 また、新しい取り組みの参考にするため先進地の視察や、県外市場訪問を行い、これからの販売戦略や他産地の選別などを確認している。
 近年、規格から外れたねぎを加工業者向けに「加工用ねぎ」として出荷する取り組みを始めたが、相場の暴落時や11月頃からの時雨れる時期におけるB品出荷の減少につながるとともに、A品の単価維持にもつながっている。
 今後も、消費者や実需者のニーズに応えられる産地づくりに努めてまいりたい。

一言アピール

 たかがねぎ、されどねぎ。脇役に思われがちなねぎだが、新潟特有の気候のもと、太陽と大地の恵みを受けた水はけのよい砂丘地で栽培される『やわ肌ねぎ』は軟らかく、ジューシーで甘みもあるのが特徴で、細かく刻んで油揚げに乗せる、バターしょうゆで炒めるといったシンプルな調理方法がおすすめである。JA新潟みらいの『やわ肌ねぎ』をお見かけの際は、ぜひ、お召し上がりいただきたい。

お問い合わせ先

JA新潟みらい 西営農センター
住  所:〒950-2125 新潟市西区中野小屋938-1
電話番号:025-262-1121 FAX:025-263-2460

今月の野菜「ねぎ」


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