(野菜情報 2015年7月号)
産地紹介:JAおきなわ南部地区
~食味の良さが自慢の沖縄オクラ~
沖縄県農業協同組合南部地区営農振興センター
農産部野菜果実指導課 金城 賢也
沖縄県は東西1000キロメートル、南北400キロメートルの海域に散在する大小160の島々からなり、総面積は2万2760平方キロメートルで、日本では4番目に小さい県である。気候は、わが国唯一の亜熱帯、海洋性気候で、年平均気温は23.1度と、1年を通じて温暖である。また年間降水量は平均2040.8ミリと、全国とも比べて降水量の多い地域である。
沖縄県では、亜熱帯地域としての特性を生かし、サトウキビ、野菜、花き、果樹、肉用牛などの生産が多様に展開されているが、平成25年の農業産出額で見ると、県全体で885億円、肉用牛158億円(17.9%)、サトウキビ151億円(17.0%)、豚123億円(13.9%)、野菜126億円(14.2%)などとなっている。
野菜では、にがうり、さやいんげん、かぼちゃなどが栽培されているが、那覇市、豊見城市、糸満市、八重瀬町、南城市、与那原町、南風原町、久米島町を管内とする沖縄県農業協同組合南部地区営農振興センター(以下「JAおきなわ南部地区」という。)は、温暖な気候を生かしたオクラの栽培が盛んな地域(図1)で、26年度は、JAおきなわ全体の出荷量(746.3トン)の約6割(477トン)を占めた。
オクラは、東北アフリカが原産で、気温の高い熱帯では多年草として扱われているが、寒さに弱く10度以下では、生育が停滞して芯止まりとなり、霜が降ると枯れてしまう特徴がある。
主な作型は、早熟(トンネル)と春植え(露地)および春植え切り戻し栽培などがある(図2)。は種は、1月から4月にかけて行い、約2カ月後に収穫が開始となる。春植え切り戻し栽培は、主枝の着蕾が少なくなり、芯止まりになったら、上部の枝を切りそろえ、追肥後、再度上部の枝を切り戻すことをいい、切り戻すことによりまた着蕾を開始する。温暖な気候のもと、管内では、さまざまな作型を組み合わせることにより、主に春先から12月にかけて出荷を行っているが、8月から9月が、出荷のピークとなっている(表1)。
オクラは、は種期に低温に見舞われると、発芽しにくくなるため、春先のほ場管理は気を使うものの、発芽後は、比較的手間がかからない。
オクラは、作型により異なるが、は種後2カ月程度で花が咲き、その後10日程度でさやが肥大して収穫の時期を迎える。夏場だと3日から4日程度で収穫となる。夏場は、暑さでムレを生じやすいため朝夕の涼しい時に収穫すること、また、収穫が遅れるとさやが硬くなって食用に向かなくなるので、適期収穫に努めることが重要で、出荷のピーク時には、朝夕の収穫作業が連日続くこととなる。また、この時期は台風が襲来して枝が倒れたり、さやが擦れて傷がついて出荷量が減少することがあり、台風の襲来が出荷の妨げになっている。
平成21年度以降の南部地区管内の出荷者数および出荷量を見ると、ともに減少傾向で推移しているおり、26年度の管内の出荷者数は、551名、出荷量は477トンとなっている(表2)。24年度および26年度の出荷量が前年度に比べて大きく減少しているのは、収穫期に度々襲来した台風の影響による。
管内で栽培されている主な品種は、ブルースカイである(写真1)。ブルースカイは、耐病性があり病害虫に強いなどの特徴がある。また、オクラの形は五角形をしているのが多いが、丸形の地方品種の島オクラも、数は少ないが栽培されている。
管内の出荷には、共同選別(以下「共選」という。)と個人選別(以下「個選」という。)がある。共選の場合は、収穫後、生産者がJAの各支店集荷場へ出荷すると、JAの担当者が共選場へ搬入し、共選場で選別、ネット詰めされた後、箱詰めされ市場などに出荷される(写真2、3)。出荷規格は、表3の通りで、8本詰めのLと10本詰めのMがあり、出荷数はMの方が多い。箱詰めの入り数は、1箱が45ネット詰めで、1箱当たりの量目は、4.5キログラムである。
個選で出荷する場合は、生産者が個別に選別しネット詰めし、箱詰めしたものをJAの各支店集荷場へ出荷する。
南城市知念志喜屋に集出荷場、貯蔵施設をもつ共選場を設置しており、管内のオクラを共同選別することで、一定品質のオクラの出荷に取り組んでいる。約30名のパート職員が4月から12月まで選別作業を行っている。例年、7月から8月のピーク時には、多いときには日量約1.2トン、平均で日量約0.8トンの出荷となる。
主な出荷先は、県内市場、関東、関西市場である。関東、関西へは、主に航空便で運び、出荷の翌々日に店頭に並ぶことになる。
オクラは、比較的生産者手取りも良く、軽量であることに加え、消費量も多くなっていることから、生産を増やしたい品目である。そのためには、関東向けの出荷を今以上に伸ばすことが求められるため、大田市場などで販売促進を行っているところである。今後もさらにPR活動を行い、出荷を増やしていきたい。
オクラは、ビタミンやカロテン、ミネラルを多く含み栄養価の高い野菜である。
また、当地のオクラは、露地で栽培されることが多いこともあり、シャキッとした食感と食味の良さで評価を受けている。
ぜひ、店頭でお見かけの際は、当地のオクラをご賞味いただきたい。
担当部署:沖縄県農業協同組合南部地区営農振興センター
住 所:沖縄県島尻郡八重瀬町字伊覇290-1-2F
TEL:098-840-7800