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(野菜情報 2015年6月号)

今月の野菜

産地紹介:福島県 JA全農福島
~豊かな自然環境を生かした
  高品質なさやえんどう・スナップえんどう栽培~

全国農業協同組合連合会 福島県本部
福島営農事業所 園芸センター 渡邉 悠

1 産地の概要

(1) 福島県の概要

 福島県は、東北地方の南部に位置し、面積は1万3782平方キロメートルで、北海道、岩手県に次ぐ全国3番目の広さである。県庁所在地の福島市は、東京から約270キロメートルで、JR東北新幹線で約90分の位置にある。
 東西に長い本県は、南から北へ連なる阿武隈高地と奥羽山脈によって、太平洋側から「浜通り」「中通り」「会津」の3つの地方に分けられる。
 このような県下において、さやえんどう、スナップえんどう(以下、さやえんどうおよびスナップえんどうの総称を「えんどう類」という。)は、全県下で栽培されているが、中通り地方の福島盆地の北側に位置する、伊達地域で盛んに栽培が行われている(図1)。

(2)伊達地域の栽培概要

 伊達地域は、福島盆地に位置するため、盆地特有の気候を持ち、夏は高温多湿、冬はやや低温となるが、積雪は少なく、比較的温暖で自然環境に恵まれている。年間平均気温は12度、年間降水量は1100ミリメートルと水稲、野菜、果樹を栽培するのに適している。
伊達地域では、豊かな自然環境の下、もも、きゅうり、いちご、あんぽ柿、米の5品目を中心に、リンゴ、ぶどう、にら、しゅんぎくやえんどう類など、さまざまな作物が栽培されている。

2 栽培概要

(1)栽培状況

 伊達地域を管内とするJA伊達みらいは、栽培されている多くの品目が福島県内でトップレベルの出荷量を誇っており、さやえんどうについても平成26年現在、県内全体の出荷量、販売金額ともに全体の約半分を占めている(図2、写真1)。
 近年、スナップえんどうは、市場からの出荷要望が強く、さやえんどうに比べ比較的安定した価格で取引されていることに加え、収穫に関してもスナップえんどうのほうが手間がかからないため、生産者の高齢化に伴い、さやえんどうからの転作が増えている。26年度では、さやえんどうの県全体の出荷量226トンに対し、スナップえんどうが230トンとなり、スナップえんどうの出荷量がさやえんどうを上回った。また、JA伊達みらいのスナップえんどうの出荷量、販売金額ともに県全体の約7割を占めている(図3、写真2)。

(2)栽培体系

 県内のえんどう類の作型は、露地およびハウスでの作型となっている。露地作型は主に10月下旬から11月上旬には種を行い、5月上旬から7月上旬までの収穫出荷で、ピークは5月下旬から6月上旬となっている(図4)。
 ハウス作型は、10月下旬から12月上旬には種を行い、2月下旬から6月までの出荷で、ピークは4月下旬から5月上旬となっている。ハウス作型は、きゅうりやトマトの前後作として栽培されており、特にJA伊達みらい管内では、きゅうりとえんどう類の輪作が多くみられ、きゅうりを6月から11月上旬まで栽培し、その後11月下旬から12月上旬にえんどう類をは種、翌4月に収穫をしている(図5)。
 現在、えんどう類のハウス栽培は、露地栽培と比べると1割程度の面積にとどまっているが、JA全農福島では、以下の理由からスナップえんどうのハウス栽培拡大を推進している。
 ①福島県の基幹品目であるきゅうりおよびトマトのハウスほ場の有効活用として、スナップえんどうを組み合わせることで、所得向上につながる。
 ②連作障害対策として、養分吸収や加害する病害虫が異なる作物を組み合わせることで、安定した生産が可能になる。
 ③スナップえんどうは市場要望が強いことから、比較的安定した価格で取引されており、春の換金作物として有望である。

3 出荷状況

 JA全農福島のえんどう類の年間販売額は3億5000万円前後(さやえんどう1億5000万円前後、スナップえんどうが2億円前後)で推移している。
 出荷先は東北、京浜、北陸、中京および、近畿と広範囲にわたって出荷されており、出荷割合は京浜市場がおよそ70%、東北市場がおよそ20%、北陸、中京および近畿が10%となっている(図6)。

 えんどう類の出荷のピークが、九州産の出荷終盤、また他の東北産や北海道産の出荷が始まる前に位置しているため、市場からは、ゴールデンウィークから初夏にかけての商材として強い要望がある。
 また、えんどう類は鮮度が重要であるが、生産者による出荷時間の厳守の努力と交通網の便の良さを生かし、いずれの出荷市場においても出荷の翌日販売の体制が確立しており、品質においても市場や量販店から高い評価を得ている。
 現在、近年続く異常気象により、特に露地栽培の出荷量が不安定となっており、市場からはタイムリーな産地情報の提供の要望が強い。JA全農福島は、出荷ピーク時期の前から、毎週「愛情野菜だより」を発行し、生育状況や今後の出荷見通しについて各市場に報告している。今後も、より産地との連携を密にし、生産者の愛情がたっぷり詰まった福島県産えんどう類の有利販売を目指していきたい。

一言アピール

 生産者一人ひとりが天候に合わせた水管理や施肥管理を行い、高品質なえんどう類の栽培に励んでいる。
パリッとした歯ごたえとみずみずしさ、豆の豊かな香りと口の中に広がる甘さを、ぜひご賞味いただきたい。

お問い合わせ先

担当部署:全国農業協同組合連合会福島県本部 園芸部園芸課
住  所:福島県福島市飯坂町平野字三枚長1-1
TEL:024-554-3292 FAX:024-554-3289
ホームページ:http://www.fs.zennoh.or.jp/

今月の野菜「さやえんどう」


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