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(野菜情報 2015年3月号)

今月の野菜

産地紹介:京都府 JA京都
~冷涼な気候と寒暖差が育む「京こかぶ」の魅力~

京都農業協同組合
営農部企画営農課 主任 堀井 俊輔

1 産地の概要

 京都農業協同組合(以下、「JA京都」という。)は、南は亀岡市から北は日本海沿岸の丹後半島までからなる、京都府の中央と北部にまたがる広域JAで、管内は、亀岡市、京都市右京区京北、南丹市、京丹波町、福知山市(一部)、与謝野町、宮津市、京丹後市、伊根町となっている(図1)。
 平成25年度の販売品取扱高は58億6422万円、うち野菜類は、22億138万円で37.5%を占め、米に次ぐ販売額になっている。
 管内で生産される野菜は「京野菜」として全国で販売されているが、中でも、京みず菜、京こかぶなどは、「京のブランド産品(野菜については、「ブランド京野菜」と呼称)」に認定されている(表1)。京のブランド産品は、安全・安心と環境に配慮して生産された京都府産農林水産物のうち、京都らしいイメージ、出荷単位としての適正な量、統一された品質および規格、他産地に対する優位性、独自性の4つの要素を満たしているもので、ロゴマークを貼って流通している(図2)。

2 京こかぶの生産状況

 京都府内で唯一、ブランド京野菜としての京こかぶの産地として認証されているのが、京都市右京区京北地区(以下、「京北管内」という。)である。京北管内は、平成17年に北桑田郡京北町が京都市に編入された地域であり、総面積の90%以上を森林が占める全国でも屈指の林業地帯であるが、昭和40年頃から平均標高240メートルの平たん部で、内陸性の気候により、夏は涼しく冬は寒い、また、一日を通した寒暖の差を生かし、小かぶの栽培が始まった。葉がきれいで身のしまったこかぶは市場で高く評価されるようになり、45年頃から栽培が本格化した。京都の料亭や漬物に欠かせない食材としての地位を築き、平成19年にブランド京野菜として認定されて、現在に至っている。
 JA京都では、京野菜の生産出荷を行う生産者がJA京都京野菜部会を組織し、営農技術の研究や管内営農技術の高位平準化に向けた部会活動を、全20支部において展開している。京北支部小カブ部会は、京北管内で京こかぶを栽培する6戸の生産者で組織され、26年度は、栽培面積3.5ヘクタール、年間出荷量200トンを目標としている。
 図3は、近年の京こかぶの出荷量と販売金額の推移である。20年度の出荷量は206トン、販売金額は3930万円となっているが、25年度は144トン、2834万円と減少傾向で推移している。生産者の高齢化に伴い1戸当たりの出荷量の減少が課題となっている。

3 京こかぶの栽培と出荷

 京こかぶは、葉も食用とされるため、夏場の高温により葉の傷みが著しい時期は出荷に適さない。このため、3~4月の春まき、7~8月の夏まき、9月の秋まきの露地栽培を基本とし、は種後、2カ月程度で出荷となる(図4)。

 京こかぶの生産者は、ブランド京野菜の認証産地として、農薬や化学肥料の使用を減らした環境にやさしい方法での栽培に取り組んでいる(写真1、2)。
 鮮度保持のため、日の出前と夕方のみ収穫される京こかぶは、各生産者が自ら調製場で土などを丁寧に洗い落とし、葉の付け根やひげ根をとるなど調製をした後、出荷規格に準じて厳密に選別、段ボール詰めする(写真3、4)。出荷規格は、2Sから3Lの6階級に分かれるが、L、2Lが最多となっている(表2)。

 JA京都に出荷された京こかぶは、予冷庫内で保管し、年間を通して主に京都中央卸売市場へ出荷される。なお、JA京都京北支店では、差圧ファンにより強制的に圧力差を作り出すことができる差圧式予冷庫を整備しており、気温が高くなる夏は、鮮度保持対策に活用している。

4 販売戦略

 市場ではブランド京野菜が高値で取り引きされ、全国でも認知されつつあり、直接的に生産者の所得として還元される部分も大きい。さらに、食の安全と消費者の信頼を確保し、高品質のものを作り上げようとする生産者の意欲が、所得の向上にもつながっている。
 また、小カブ部会では、京こかぶの魅力を共有することができるイベントなどで消費者との対面販売を実施する「販売促進活動」を積極的に実施し、漬物以外の食べ方の提案や料理レシピを開発するなどの活動を継続していることとあわせ、小学校における食農教育の題材として京こかぶをPRし、管理作業や収穫体験を通じ、地元で採れる京野菜の魅力を子どもたちに伝えている。

一言アピール

 JA 京都京北支店では、京都府で唯一の京こかぶのブランド産地として、生産者と一緒に営農技術を積み上げ、市場や販売先での信頼を築き上げてきた。
 漬物や煮物のみでなく、その風味と食感を楽しむことができるサラダや炒め物にも合うので、京料理に欠かせない食材となっている。
 緻密で軟らかい肉質と甘みが特徴の京こかぶを、ぜひご賞味いただきたい。

お問い合わせ先

京都農業協同組合 京北支店経済センター
住所:京都府京都市右京区京北熊田町広野23
TEL:075-852-0071  FAX:075-852-0265


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