(野菜情報 2014年6月号)
産地紹介:栃木県 JAしもつけ
JAしもつけのひめきゅうり生産
~とってもかわいいきゅうりのお姫様~
下野農業協同組合営農部園芸振興課
JAしもつけは栃木県の南部に位置し、管内の総面積は、約361平方キロメートルである。
平成15年3月に、下都賀郡西部に位置する1市5町(栃木市、都賀町、壬生町、大平町、藤岡町および岩舟町)の4JA(JAしもつけ、JA水代、JA藤岡中央およびJA岩舟町)が合併した広域JAである(その後、栃木市が都賀町、大平町、藤岡町および岩舟町と合併したため、現在の管内は1市1町)(図1)。
管内は、西部および北部周辺には標高の低い山地があり、主な河川は、東部に思川、中央部に永野川および巴波川が南流し、南端の渡良瀬川と合流している。土壌は、中央部から南部にかけて、水田に適した灰色低地土が広がり、北部および西部の山地寄りは、畑地帯に適した黒ボク土が分布している。気候は、年平均気温13.9度、年間降水量1203ミリで、比較的温暖で恵まれた環境である。
管内の耕地面積は1万2940ヘクタール、耕地率は35.9%と、県平均耕地率の20.6%を大きく上回り、いちごをはじめ、トマト、にら、なすなどの野菜生産が盛んである。
ひめきゅうりは、ミニきゅうり専用品種を用いており、長さが14~15センチ程度の小ぶりなきゅうりである。一般的なブルームレスきゅうり同様に照りのある緑色で、果皮が薄く、味が濃厚で、生食や浅漬けなどで食べるのに適している(写真1)。
一般的なブルームレスきゅうりよりも小ぶりな、食味が良く、手軽に食べられる品目であることから、平成2年より、管内の栃木市で栽培が行われるようになった。JAにおける25年の作付けは栃木市のみで、生産者6名、作付面積2ヘクタールとなっており、県内でもここだけで生産されており、全国的にも主要な産地となっている。
ひめきゅうりの作型は、促成および冬春、雨よけ、夏秋に分けられ、周年出荷が行われている(図1)。栽培上のポイントとして、土づくりがあげられる。栃木市の土壌は、保肥力が中位で主に水田利用される灰色低地土であることから、黒ボク土と比べて排水性が劣るため、たい肥施用による団粒構造(粒子が細かく、排水性、保水性および通気性に富んだ土)の構築を行っている。たい肥に加えて、有機質肥料として「ぼかし肥料」(米ぬかに大豆かすなどを入れて発酵させた肥料)を施用することにより、窒素、リン酸およびカリウムの肥効が、バランス良く長期的に発現するため、地力が高まるとともに、化学肥料の使用量の低減につながっている。
また、病害虫防除については、農薬の使用回数を低減させるため、ハウス内換気の徹底、繁茂防止、ハウス外からの害虫侵入防止など、病害虫密度を上げないための細やかな管理とともに、早期防除による必要最低限の農薬散布にとどめる努力を励行している。これらの栽培技術により、ひめきゅうりはすくすくと生育している(写真2)。
収穫適期を迎えたひめきゅうりは、朝および晩の1日2回収穫を行う。収穫方法は一般的なきゅうりと同じで、収穫爪(指サック状の物に刃がついた収穫器具)などで収穫を行う。アブラムシの発生時期である春~初夏と秋はモザイク病の発生リスクが高くなることから、株の状況を見ながら収穫する。収穫後、庭先で選別および箱詰めの後、JA集荷所に搬入される(写真3)。集荷所では、規格等に関する検査が行われ、東京都中央卸売市場などに出荷される。
ひめきゅうりは、とちぎ農産物マーケティング協会が、地域独自の品目であり、今後、地域として振興していく品目に対して認定する「とちぎ地域ブランド」において、平成16年に認証を受けた。また、栃木市の「とちぎ小江戸ブランド」として、25年度から認定を受けている。
ひめきゅうりは、小さくても一般的なきゅうりと同じ栄養を含んでいる。小さいために味も凝縮されており、みそを付けて丸かじりはもちろん、2~3時間漬け込んだ浅漬けも非常においしい。生産者が手塩にかけて周年収穫および出荷をしているJAしもつけのひめきゅうりを、ぜひご活用いただきたい。
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