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(野菜情報 2014年5月号)

今月の野菜

産地紹介:茨城県 JA茨城むつみ
JA茨城むつみのキャベツ生産
~こだわりキャベツ生産とカット加工を行う産地~

茨城むつみ農業協同組合 営農部
園芸課 課長 和田 真一

産地の概要

 JA茨城むつみ(以下、「JA」という。)は、平成6年2月1日に、境町、五霞町、古河市(旧古河市、旧総和町、旧三和町)および坂東市(旧猿島町)の6JAが合併して発足した広域JAである。当地域は、関東平野の中央、茨城県西部に位置しており、北側は栃木県、西側は埼玉県、南側は千葉県に隣接している。地域は、首都圏から約50キロメートル圏内にあり、JR宇都宮線(東北本線)、国道4号線、同125号線および同354号線が走り、市町道と広域農道が接続するなど、物流環境等に恵まれている(図1)。
 年間の平均気温は、14.5度、年間降水量1,204ミリ、年間日照時間は1,988時間である。初霜は11月上旬頃で、気候は温暖で、四季を通じて恵まれている。
 管内の土地面積は2万2571ヘクタール、うち耕地面積は1万1476ヘクタールで、耕地率50.8パーセントとなっている。地形は、大部分が海抜17メートル前後の平坦地で、利根川流域の田畑は沖積低地の灰色低地土や褐色低地土(保肥力が高く生産性が高い)、畑作台地は表層腐植質黒ボク土(リン酸固定力が強く、リン酸を多く施用する必要がある)で、台地間の南北に谷津田(丘陵地で低くなった谷あいの田)が散在している。
 管内のキャベツ栽培面積は約100ヘクタールで、生産者数は80名(JA系統出荷分で加工キャベツ契約生産者は含まず)となっている。


JAのキャベツ生産

 JAのキャベツ生産は、寒玉系、グリーンボールおよびレッドキャベツの3品目を栽培しており、作型は、春作型および秋作型の年2作となっている(図2)。


①春作型
 春作型のは種期は、12月下旬から3月下旬で、定植および収穫期に応じて6回に分けている。このうち、12月下旬~翌1月中旬は種の育苗が手植え用の連結ポットで、それ以降が機械移植用の128穴プラグトレイの育苗となる。
 は種したプラグトレイは、ハウス内の育苗ベンチ(床下加温が可能)に並べる。特に機械移植苗は、生育ぞろいを良くすることが求められるため、温度をかけて約2~3日で一斉に発芽させる。発芽後は、ハウス内のトンネルにて管理する。育苗期間は約40~50日程度で、葉数4~5枚前後、草丈12センチメートルの苗を目標に育苗する。過かん水は、徒長および根巻き不足となるので、おおむね2日置きに行い、根を巻かせ、徒長しない硬めの苗づくりを行っている。
 土づくりは、豚ぷんともみがらを混合した完熟たい肥を、毎年10アール当たり2トン施用するとともに、夏場にはソルゴ-のすき込みを行うなど、土づくりを徹底している。元肥は、成分量で10アール当たり、チッソ14キロ、リン酸17キロ、カリ10キロを目安に、定植1週間前~前日にかけて施用し、その後、耕うんしてなじませる。根こぶ病などの土壌病害や、湿害を防ぐための排水対策として、20センチメートルの高うねとする。
 定植は、手植えが3月中下旬、機械移植が3月下旬~4月中旬に行う。春先は風が強く、定植後の苗が風に巻かれやすくなるため、無風の日を選んで定植する。収穫は、6月上旬~7月中旬にかけて行われる。なお、3月中下旬までが手植えとなっているのは、機械移植できないトンネル作リーフレタス収穫後の植え穴への移植のためである(写真1)。

 なお、寒玉系よりも早く収穫できるグリーンボールおよびレッドキャベツは、は種が1月下旬~2月中旬、定植が1月上旬~3月下旬、収穫が5月上旬~下旬で、栽培技術は、他のキャベツ類同様となっている。
②秋作型
 秋作型のは種は7月上旬~8月上旬で、コート種子を用い、機械移植用の128穴プラグトレイのみの育苗となる。
 種子量は、10アール当たり5,000粒を目安とし、プラグトレイ数は、10アール当たり39枚使用する。この時期の育苗は高温で推移することから、かん水量が多くなると徒長しやすいため、水管理は、育苗後半(本葉4枚)以降、かん水を控えぎみにし、根張りが良く、しっかりとした育苗を心がけている。
 土づくりは、春作型同様、完熟たい肥を施用している。元肥は、成分量で10アール当たり、チッソ10キロ、リン酸10キロ、カリ10キロを目安に行っている。定植は7月下旬から順次行われ、収穫は10月15日頃~12月下旬にかけて、定植日および品種の生育速度に合わせて行われる。
③栽培指導体制
 栽培指導については、JA管内を所管する茨城県県西農林事務所坂東地域農業改良普及センターおよびJAによる栽培講習会やほ場巡回指導等が行われており、栽培技術の高位平準化が図られている。

JA産キャベツの販売

 JA産キャベツは、市場出荷に向けられるものと、JA自らがカット加工して業者に出荷する2つのルートがある。JA産キャベツの太宗を占める系統共販分は、市場出荷向けとなっている。
①市場出荷
 JA産キャベツは、東京を中心に、東北、中部地方に出荷される。生産出荷の主力が寒玉系である理由として、一般消費向けでは甘みの強さ、加工業務用では歩留まり率の高さがあげられる。加工業務用取引は、直接取引は行わず、市場経由で実需者に供給されている。
 JAによるキャベツ集荷は、当日出荷分が8時30分~12時までに、翌日出荷分が14時30分~16時までに、生産者が集荷所に搬入する(写真2)。搬入後、JA職員による品質等検査が行われ、当日出荷分は真空予冷処理される(写真3)。翌日出荷分は、品質等検査後、差圧式予冷庫で一晩かけて予冷され、次の日の当日出荷分とともに市場へ出荷される。

②県西4JAによる販売対策
 茨城県は全国第4位のキャベツ産地であり、その多くがJAの位置する県西地域に集中している。茨城県産キャベツの有利販売を進めるため、県西地域の4JA(北つくば、常総ひかり、岩井および茨城むつみ)で「いばらき県西地域農業振興協議会」を組織し、4JAで品種などを統一し、「みんながほしがる」系統オリジナルブランド「ラ☆ウエストキャベツ」として販売を行っている(写真4、5、6)。

JAによるカット加工

 JAでは、平成23年より、営農総合センター内のカット施設(加工品目はキャベツおよびはくさい)でカットキャベツ加工を行っている(写真7、8)。カット施設では、洗浄および殺菌後、出荷先のニーズに合わせたカット加工を行っている(図3)。処理能力は日量3.3~4トン、キャベツ加工の稼働期間は正月三が日を除く362日で、管内産キャベツの加工時期は、春作型が5月中旬~7月中旬、秋作型が10月中旬~翌1月上旬までとなっている(図4)。

 カットキャベツの出荷先は、年間販売契約を結んでいる栃木県の業者である。なお、カットキャベツの周年供給を行うため、当該JA産キャベツのカット加工期間以外は、他産地のキャベツを仕入れ、カット加工を行っている(図4)。

 これにより、30~40代の若手農業後継者に対する新たな販路の提供と、今までJAとの取引のなかった生産者の開拓といった産地振興に役立っている。

一言アピール

 当JA産キャベツは、バラエティに富んだ品種を生産しているとともに、市場出荷だけでなく、実需者のニーズに合った1次加工も行っている。特に、5月はこだわりのある品種の出荷時期であり、グリーンボールおよびレッドキャベツといったこだわりのある品種が出荷となる。
 当JA産キャベツをお見かけの際は、ぜひともご賞味いただきたい

お問い合わせ先

茨城むつみ農業協同組合 営農部園芸課
茨城県古河市上砂井122-5
TEL:0280-23-2182
FAX:0280-23-2586
E-mail:engeika@jamutsumi.com

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