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(野菜情報 2014年3月号)

今月の野菜

産地紹介:群馬県
JA佐波伊勢崎のちぢみほうれんそう生産

~ほ場ごとのきめ細かい施肥設計による高品質ちぢみほうれんそう~

佐波伊勢崎農業協同組合 営農事業部 園芸販売課 柴崎 草太

1. 産地概要

 JA佐波伊勢崎(以下、「JA」という。)は、群馬県南部の伊勢崎市および玉村町の1市1町を管内としており、管内総面積は、165.14平方キロメートルである。管内は、東京から100キロメートル圏内にあり、交通網は、JR両毛線、東武伊勢崎線、北関東自動車道、上武国道、国道50号線などが通り、東京方面をはじめ、栃木、長野方面へのアクセスも良好である。
 管内の自然条件のうち気象条件は、赤城山および榛名山の山岳を背に、夏季は、内陸性気候で雷雨が多く高温多湿、冬季は、長日照で空っ風が吹き乾燥するなど、寒暖の差が激しい。平成24年の年間平均気温は15.0度、同降水量は1,060.5ミリ、同日照時間は2,269時間となっている。土壌条件は、管内を流れる利根川から広瀬川周辺は沖積土となっており、水田として利用され、良質米が生産されている。また、伊勢崎市東部の広瀬川北南東にかけては、洪積土となっており、畑作中心の生産が行われている。
 上記のように、恵まれた自然環境の中で、JAは、「安全・安心・安定」を基本とした、農畜産物の生産を行い、首都圏をはじめとした大消費地に対して供給を行っている。

2. JAにおけるちぢみほうれんそう生産

 ちぢみほうれんそうは、厳冬期の寒さを生かしたほうれんそうの付加価値商品であり、東京都中央卸売市場に上場されるちぢみほうれんそうは、群馬県をはじめとした北関東を中心に、冬季限定で生産されている。なお、平成24年産の出荷量は185.8トンと、ほうれんそうの主産地である群馬県内でも、有数の産地である。

① 栽培に際しての申し合わせ事項提出

 JAにおけるちぢみほうれんそう生産は、表1の通り、7月下旬の作付説明会による、生産者の栽培申込から始まる。栽培申込書の提出と同時に、申し合わせ事項を、JAほうれんそう専門部会(以下、「部会」という。)に提出する。申し合わせ事項では、JAによる栽培指針に従った栽培を行うとともに、部会会議出席によるコミュニケーション(写真1)を密に図ること、産地銘柄高揚に向けた高品質ちぢみほうれんそうの出荷に努力することなどについて、厳守することを部会に対して宣誓する。

② 土壌診断に基づいた適正施肥の徹底

 生産者は、7月下旬の栽培申込と同時に、栽培予定ほ場の土壌診断を行う。JAでは、各生産者の土壌診断の結果に基づき施肥設計を行い、施肥設計書に基づいた肥料および土壌改良資材を、生産者に供給する。これは、JAおよび県伊勢崎地区農業指導センターとして、施肥基準は設定しているが、生産者ごとにほ場の肥料分の残存量が異なることから、低コストかつ土壌環境に配慮した施肥ということで、土壌診断による施肥設計を徹底している。

③ は種と栽培管理

 は種に当たっては、シーダーテープを使用し、適正量のは種(条間24センチメートル、株間10センチメートルで5~6条)を行う。
 ちぢみほうれんそうは、寒さに当てることによって糖度を上げる品目で、12月上旬までは被覆をせずに寒気に当てた栽培を行うが(写真2、3)、12月中旬からは、霜やけによる葉先のイタミの防止とムクドリ等による鳥害予防のために、不織布をべた掛けする。なお、低温等で根からの肥料分吸収が低下している場合は、葉面散布による養分補給を行う。

④ 収穫、調整作業および出荷

 収穫は、9月下旬には種したものは12月下旬から翌1月上中旬、10月上旬には種したものは、12月下旬から2月上旬まで行われる。12月中旬以降の収穫については、不織布のべた掛けを行っており、外気より若干温度が高いことから、糖度が規定以上(表2)になっているかの確認として、出荷前に糖度の確認を行っている。なお、収穫作業は、糖度の安定を図るため、午後収穫を徹底している。

 収穫後の調整作業については、本葉を2枚除去し、土やほこりをよく落とし、根は5センチメートル程度残す。出荷規格は、表3の通り、品質区分で2区分に区分され、そのうちAは、葉長でさらに2規格に選別される。選別後は、葉が広がって見えるようにFG(防曇性のあるフィルム)袋で包装する(写真4、5)。なお、この包装は、一般的なほうれんそうとは異なり、ちぢみほうれんそう独特の包装である。

 調整作業が行われたちぢみほうれんそうは、各生産者がJA野菜集送センターへ搬入し、JA職員による目視検査の後、東京都中央卸売市場をはじめとした各市場に出荷される(写真6、7)。

一言アピール

 JA佐波伊勢崎のちぢみほうれんそうは、上州の空っ風に当てられて寒じめされることにより、年内の糖度は8度以上、年明けは糖度10度以上と、甘みのあるほうれんそうである。ちぢみほうれんそうは、厳冬期のみの期間限定の品目だが、ほうれんそう専門部会では、一般的なほうれんそうも周年で供給しており、年間を通してJA佐波伊勢崎産ほうれんそうを、ぜひご賞味いただきたい。
 また、JA佐波伊勢崎では、群馬県の「食の現場公開事業」として、管内にある5野菜集送センターを公開している(公開日は、月、水および金曜日の午前10~12時)。ほうれんそうだけでなく、さまざまな野菜の供給基地である野菜集送センターにお越しいただき、消費地に送り出される野菜の様子をご覧いただきたい(見学の際は、JA園芸販売課まで事前予約のこと)。

お問い合わせ先

佐波伊勢崎農業協同組合 営農事業部 園芸販売課
〒372-0812 群馬県伊勢崎市連取町3096-1
TEL 0270-20-1223
FAX 0270-21-2828
E-mail:engeiyasai2@sawaisesaki.jagunma.net

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