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(野菜情報 2013年12月号)

埼玉県 JAいるま野 野菜一元共販連絡協議会 さといも部会


~品質向上を目指したさといも生産の取り組み~



いるま野農業協同組合 販売部共販課 塩野 康夫



 

1. 産地概要

 JAいるま野(以下、「JA」という。)は、埼玉県の南西部に位置し、都心から30~60キロメートルの首都圏にあり、総土地面積は698.43平方キロメートルと、埼玉県内の約18.5パーセントを占める地域が事業区域である。この地域は、10市3町(川越市、所沢市、飯能市、狭山市、入間市、富士見市、坂戸市、鶴ヶ島市、日高市、ふじみ野市、三芳町、毛呂山町、越生町)からなっており、平成24年4月1日現在の総人口は160万6000人、世帯数は64万8000世帯となっている。
 管内を概観すると、西部は秩父山系に連なる山岳丘陵地帯で、ここを源として、越辺川、高麗川、入間川の河川が東流し荒川に合流しており、東部は、堆積された肥沃な水田地帯を形成しており、中部から南部にかけては、加治・狭山丘陵の入間洪積台地で畑地帯となっている。
JAのさといも生産は、全国第3位の生産量を誇る埼玉県において、県内第1位の生産量であり、県内さといも生産におけるJAの生産比率は65.4パーセントを占めており、全国でも有数の産地である。

表1. JAいるま野農畜産物取扱販売額

2. さといも生産経過の概要と土作り

 日本に古くから伝わるさといもは、もともとJA管内の入間郡で栽培されている。JAとして、本格的にさといもの普及に取り組んだのは、昭和40年代に、現在の主力品種である「土垂」「蓮葉」の元となるさといもを導入したことに始まる。昭和50年代に、管内の主力作物である入間ごぼうに連作障害が発生した際に、その輪作作物として、現在主力のほうれんそうとさといもの作付を推進し、管内で広く栽培されるようになった。
 生産の主力である狭山地区においては、さといも導入当初より、干ばつに対して強い産地となるべく、かん水設備の導入が地区内ほ場の7割で進められた。
 管内におけるさといも栽培の特徴は、武蔵野の肥沃な大地に良質な堆肥を継続的に投入するとともに、さといも作付終了後に緑肥を栽培してすき込むことである。これは、団粒構造(通気、通水、保水性に優れ、根張りも良くなる)や、堆肥由来の遅効性の窒素等による肥持ちの良さなど、土壌管理により、さといも栽培に適した土作りを行っている。

3. 生産数・栽培面積・選果選別

 管内のさといも生産者数は約435名、栽培面積は約167ヘクタールとなっている。主な栽培地域は、所沢市、狭山市、川越市などで、出荷時期は、10~3月までで、厳冬期以降も、貯蔵出荷により安定供給を行っている。
 また、選果選別については、部会およびJAによる厳しい検査体制のもと、他産地との差別化を図るため、ひとつひとつのさといもを人の手により、孫いもの大きさで6等級、形状で2等級、さらに子いもを大きさで2等級計10等級のきめ細かな選別を行っており、等級により高級料亭や高級量販店向け、加工業務向けや量販店での特売用など、実需に対して、用途に応じた商品提案が可能になっている。

4. さといものさらなる品質向上の取り組み

 JAでは、生産者の生産技術および品質向上図ることを目的としたさといも共進会を毎年開催しており、今年で18回目となった。共進会で上位入賞者になった部会員の栽培方法を部会会員に公開することにより、栽培技術の向上および平準化を図っている。
 このような活動を通じて、JAでは、生産者数が減少する中、管内のさといも作柄状況の把握とデータ収集を行い、市場等に向けた情報発信を強化することで、安定した売場の確保等といった有利販売を行っている。
 また、輸入野菜の残留農薬問題、無登録農薬使用問題に端を発し、食への安心・安全が揺らぐ中、JAでは、首都圏近郊の一大野菜供給生産地として、消費者が安心して食べられる、安全な農産物の生産供給を行うため、全国に先駆け平成14年10月22日に、市場向け野菜をはじめとして、生産者組織とJAが一丸となった「農産物の生産履歴記帳運動」を開始しており、さといもについても生産履歴記帳を励行しているところである。
 また、JAにおいて定期的に自主残留農薬調査を実施することにより、内部チェックも行っている。

5. 若い世代への食べ方の提案

 さといもは、低カロリーで食物繊維が多いことから、ダイエット食品等、若い方に食べていただきたい野菜だが、年配の方の食べ物で、調理に手間がかかると言うイメージが高い。そのため、部会およびJAでは、レンジ等を利用して簡単に料理が出来るレシピを作成し、手間を掛けずに簡単に作れる料理の提案を行っている。
 特に、地元でもよく食べられている、小さめのさといもを電子レンジにかけ、塩やしょうゆを付ける「きぬかつぎ」は、簡単に作れ、おやつやおつまみに最適と好評を頂いている。

 また、量販店等の試食販売で提案を行っている、「さといものポテトサラダ風」については、絶妙な「ねっとり」とした食感、またじゃがいもとは違い、マヨネーズの量が少なくてもおいしく食べられることから、低カロリーメニューとして、若い方からも好評である。
 そのほか、管内の学校給食で好評な「さといもコロッケ」、また、年配向けと思いがちな、定番の「イカとの煮付け」「けんちん汁」なども、若い方からも支持を集めている。

一言アピール
 

 全国でもトップレベルの生産量と品質を誇るいるま野のさといもは、武蔵野の肥沃な大地に良質堆肥の継続的投入・緑肥の栽培等、この土壌条件としっかりとした土作りからだけ生まれる独特の「ねっとり感」「いもの白さ」「食味」が最大の特徴である。この特徴が大きく評価され、高級料亭等の業務筋でも多く利用されている。
 ぜひ、いるま野のさといもを食していただきたい。

さといものポテトサラダ風
 
調理時間:約20分
【材料:4人分】
  さといも    6~7個(400g)
  ベーコン    2枚
  塩       小さじ1/2
A こしょう    少々
  酢       大さじ1
【作り方】
① さといもは皮をむき、塩でもみ、ぬめりが出たら水で洗う。
  レンジに約8分かけ、柔らかくなったらボウルに入れて粗くつぶす。
② ベーコンを細かくカットして炒める。
③ ①②とAの調味料を混ぜ、器に盛る。
 

問い合わせ先
 
JAいるま野 販売部共販課
〒350-1155
埼玉県川越市大字下赤坂1805-126
TEL:049-238-1118 FAX:049-241-1147
E-mail:hanbai@irumano. st-ja. or. jp

 

 
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