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(野菜情報 2013年7月号)

鹿児島県 JA南さつまのかぼちゃ産地


~収穫前の試し切りで完熟の「加世田のかぼちゃ」を出荷~ 



調査情報部



 

1.産地の概要

 鹿児島県の南西部に位置するJA南さつまは、南さつま市(加世田・大浦町・笠沙町・坊津町)、南九州市(川辺町・知覧町)、枕崎市の3市を区域とする、県内でも大型の農協です。
 ここでは、温暖な気候を生かした農業が行われ、お茶の生産が盛んなほか、「加世田のかぼちゃ」、「知覧紅」(さつまいも)など、県ブランドの指定を受けた野菜の一大産地となっています。
 加世田地域でのかぼちゃ栽培のはじまりは、昭和51年にさかのぼります。同年に春作かぼちゃの試験的な栽培が行われ、翌年に3ヘクタールの畑で本格的な栽培がスタートしました。年々栽培面積が増え、63年には年間出荷量2000トン、販売額5億円を達成。しかし、平成24年の年間出荷量は約780トン、販売額は約1億7千万円と、生産者の高齢化などの影響から減少が続いています。現在、需要に応えるため、安定的に供給できる出荷体制の構築が課題となっています。
 今回は、かぼちゃ栽培37年の歴史を持ち、さらなる高品質化でブランド強化を目指す「加世田のかぼちゃ」産地を紹介します。

2. 加世田のかぼちゃの生産・出荷

 加世田のかぼちゃは、5月中旬~7月中旬に出荷する春作と、11月下旬~12月上旬に出荷する秋作があります(図)。生産者数は、春作が96人、秋作が179人。春作の作型は、ビニールハウス(ハウス・小型ハウス)と9尺トンネルがあります。春作のうち、半数はビニールハウスで栽培され、一部では、頭上につるを這わせ、かぼちゃを吊り下げて栽培しています。

 作付品種の9割は「えびす」で、JAが作成した栽培基準表に従って栽培しています。この栽培基準表には、ハウス・トンネルの作式、栽植密度、栽培管理上の注意事項などが細かく記載されていて、初期防除を心がけた栽培管理が行われています。
 加世田のかぼちゃの特徴は、畑で完熟させてから収穫することです。完熟品の出荷を徹底するため、収穫前に必ず試し切りが行われています。具体的には、生産者が交配後の日数・積算温度を適正に管理し、一定の基準に達したところで、サンプルのかぼちゃを収穫し、選果場へ持ち込みます。JA担当者は、半分に割って中身の色合いなどを確認し、その状態を見極めて収穫の合図を出します。生産者はその合図に応じて収穫を開始します。このように、JA担当者が収穫適期を確認することで、品質の均一化が図られています。
 収穫したかぼちゃは、腐れを防ぐために果梗を乾燥させた後(春作であれば2~3日後)、専用のプラスチックコンテナに入れて選果場へ持ち込まれます。選果場では機械によるブラッシング、選果が行われますが、A品、B品、C品といった等級の選別は、JA検査員によって行われます。選果後のかぼちゃは、等級・階級ごとに箱詰めされ、関東、関西、北陸の市場へ出荷されます。また、いぼ果や変形果などの規格外品は加工用として、JAの加工施設でペースト状に加工されます。なお、JAの系列レストランでは、このペーストを麺に用いた「かぼちゃラーメン」が提供されています。

3. ブランド産地としての強化

 加世田のかぼちゃは、平成3年に「かごしまブランド産地」として第1号の指定を受けました。生産者はブランド産地としての誇りを持ちつつ、さらなる強化を目標に、手間を惜しまず栽培に励んでいます。
 前述のとおり、収穫前には必ず試し切りを実施し、高品質で均一なかぼちゃの出荷を維持しています。そのほかにも、生産計画、販売方針、管理方法などを話し合う出荷協議会、栽培作業の手順や栽培管理方法の詳細事項を周知する栽培講習会、より質の高いかぼちゃ生産を推進するために行われる品評会などを開催し、関係者の意識向上に努めています。
 また、「安心・安全」に関する取組みとして、生産プロフィールの作成があります。生産者は、肥料の投入量と施肥日、管理作業の実施日、使用した農薬と散布日などを生産プロフィールに記載し、試し切りの際、サンプルのかぼちゃと一緒に提出します。JA担当者は、このプロフィールをもとに栽培履歴や残留農薬について確認を行うことにより、消費者の信頼を確保するために創設された県独自の認証制度「かごしまの農林水産物認証」を、平成18年から継続して取得しています。
 ブランドとして高評価を得ている加世田のかぼちゃ。現状に満足するのではなく、さらなる品質向上を目指しています。その試みのひとつとして、今年度は試験的に12尺トンネルでの栽培を行っています。

4. 販売促進の取組み

 販売促進の取組みとして、初出荷時に出発式を開催するほか、市場仲卸を通じて量販店への宣伝活動を行っています。これらのイベント時には、オリジナルのポスターやレシピ集などを活用しています。
 出荷については、通常の10キロダンボールのほか、JA通販では、加世田特産のらっきょうと組み合わせた販売も行っています。出荷先である仲卸とは、市況や販売先の反響などについてこまめに意見交換を行っていて、より多くの情報を収集し、販売につなげていきたいと考えています。

一言アピール
 
 消費者の方においしく食べていただけるよう、ブランドの名に恥じないものを作り続けていきます。
 是非一度、ご賞味ください。

問い合わせ先
 
 JA南さつま 加世田支所 経済課
  鹿児島県南さつま市加世田内山田243番地
  TEL:0993-53-3123 FAX:0993-53-3890

写真提供:JA南さつま

 
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