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(野菜情報 2013年6月号)

 兵庫県南あわじ市のレタス産地


 



あわじ島農業協同組合 営農部長 濱口 晴一



 

産地の概要

 あわじ島農業協同組合(南あわじ市)は兵庫県の南部、淡路島の南西部に位置し、冬場も温暖な気候に恵まれています。水田を活用し、水稲、野菜(たまねぎ、レタス、はくさい、キャベツなど)を組み合わせた三毛作による高度な土地利用と農業生産を展開しています。農用地3,350ヘクタールのうち約3,200ヘクタールが水田ですが、砂壌土が中心で野菜作りに適しており、そのほかに酪農・和牛繁殖などの畜産も盛んで、堆肥供給など耕畜連携で地域複合営農を展開しています。
 平成24年度2月末の組合員数は、正組合員6,074人、准組合員3,379人の合計9,453人で、JAの広域合併が進む中では小規模なJAですが、主業農家、準主業農家の占める割合が62.2%(2010年度農業センサス)と高く、生産意欲の高い農家が多いことから、JAとしても「営農振興と農家経済の向上」を掲げ、営農、生産、販売を基本とした事業運営を行っています。
 平成24年度の主要野菜販売高は、レタス54.4億円、たまねぎ37.6億円、キャベツ7.9億円、はくさい7.7億円、その他野菜6.2億円で、合計113.8億円となっています。

野菜の生産状況

 作物別の生産状況は図-1のとおりで、連作障害、農業従事者の高齢化、後継者不足などの課題はありましたが、行政との連携および支援、営農と生産、販売を基本とした事業展開により、生産力の維持を図ってきました。また、平成25年度にはJAあわじ島の子会社「アグリアイランド」を立ち上げ、高齢化で労働力不足の生産者および急な病気やけがなどで農作業が困難になった生産者に対し、労働支援を行える体制を整えました。
 品目別にみると、面積が最も拡大した作目はレタスです。昭和50年代半ばには、はくさいとほぼ同等の約500ヘクタールでしたが、はくさいは連作障害(根こぶ病の多発)や食生活の洋風化などで消費が激減していたこともあり、消費の伸びていたレタスへの作付誘導を図りました。

 また、昭和44年に冬レタスが、昭和52年に春レタスが指定産地に指定されて価格安定対策事業に加入したことから、市場価格低迷時でも補てんが受けられるため、生産者の作付意欲は高く、面積が拡大していきました。
 そのほかの作付増加要因としては、平成4年にレタスの自動包装機が発売され、その後の普及によって1日当たりの出荷量が拡大したことや、平成11年以降、JAがマルチング栽培を奨励したことにより、冬レタスの収量アップが図れたこともあります。また、秋冬レタスの後作に不耕起で春レタスの作付が可能になったため、3・4月収穫のビニールトンネル栽培面積が増加し、現在では1,200ヘクタールを超える面積にまで拡大することができました。
 一方、たまねぎについては、一時2,000ヘクタール近くあった面積が急激に減少しました。南あわじ市の1農家当たりの耕作面積は少なく、年1作のたまねぎでは安定的な経営が困難となります。年間2作以上の収穫が可能なレタスを栽培することで、経営面積を拡大することができるため、主業農家の大半はレタス栽培を経営の主品目においています。
 しかしながら、たまねぎは中晩生種の比率が高く、7月~8月出荷の貯蔵用たまねぎの市場評価は高いため、多くの生産者が秋冬レタス(年内収穫)の後作にたまねぎを作付しています。
 そのため、作業が集中する11月以降のたまねぎ栽培の省力化を図りました。現地のほ場に適した自動移植機・収穫機の開発・普及によって、たまねぎ面積減少に歯止めをかけることができたものと思われます。
 図‐2に示すように、レタスの販売高は平成15年以降ほぼ50億円前後で推移しており、たまねぎと比べて年次の価格変動は小さい傾向にあります。出荷期間の中心は11月から5月中旬で、年ごとに出荷期間中の価格変動はあるものの、総じてみれば安定した販売高で推移しています。

 食の安全性、環境保全への関心が高まる中、平成14年度から「JAあわじ島安全・安心野菜生産システム」を定め、安心して購買いただけるよう、次の内容で毎年レベル向上に向けた取り組みを行っています。
 県(淡路農業技術センター、南淡路農業改良普及センター)の指導の下、

①JAは効率的、減農薬、農薬適正使用からなる施肥防除基準を生産者に示す。

②生産者はその基準に沿って栽培を行い、栽培管理日誌に農薬の使用状況などの履歴を記帳し、事前にJAによる確認を受けてから出荷を行う。

③さらに、平成20年度からは基礎GAPにも取り組み、事前に想定される生産上のリスク確認を行い、記録する。

 環境にやさしい農業の取り組みとして、①健康な土づくり(良質堆肥投入)の推進②土壌診断による適正施肥③性フェロモン、黄色防蛾灯設置による農薬使用量の低減のほか、平成23年度からは畝内施肥技術を取り入れ、施肥作業の省力化と施肥量の削減に向けた技術の普及活動を行っています。

レタス栽培・出荷の状況

 このような取り組みの中で、JAでは営農指導員が中心となり、10月中旬から5月末までレタスを収穫、出荷できるよう、さまざまな品種を現地で試作し、収量、品質に優れるものを選定しています。

 10月収穫は抽苔性の遅いもの、1、2月収穫は低温肥大性に優れるものなど、秋冬春の時期に最も安定した品質で栽培できるよう、継続的に現地試験圃を設置して生産者にフィードバックしています。
 平成24年度の販売額は54億4千万円、販売数量は24,650トンとなっており、出荷先は京阪神市場、京浜市場、中京市場、北陸市場など、全国へレタスをお届けしています。

農業従事者の高齢化対策

 当産地も農業従事者の高齢化が進み、作付面積が伸び悩んでいましたが、農作業請負事業を行うJA子会社の「アグリアイランド」を昨年立ち上げ、レタス栽培の労力支援作業などを行っています。
 また、子会社で新規就農者への総合支援ができる体制を整え、レタス生産者などを育成し、今後も維持発展できる体制づくりができあがりました。

販売戦略

 多様な販売状況に柔軟に対応できる集荷体制づくりに努めるとともに、いつ、どれだけの量が出荷できるかなどの産地情報を正確に発信し、消費地情報とのマッチング精度の向上を目指しています。また、新鮮なレタスを消費地へお届けするため、真空予冷装置でレタス品温を下げ、トラックへ積込むまでの時間も保冷庫にストックして鮮度を保持するとともに、輸送トラックについては冷蔵車への切り替えを進めており、コールドチェーン化を図っています。
 消費宣伝活動としては、平成15年度からテレビやラジオのスポットCMを通じて消費拡大のPRを行っており、ここ数年は主要出荷先にあわせ、関東、中京、関西エリアで、ラジオのスポットコマーシャルを継続しています。
 そのほか、JAあわじ島野菜のブランド化を確立するため、野菜産地における営農指導と集荷から出荷までの仕組みについて、平成20年4月に「ISO9001」の認証を取得しました。

一言アピール
 
 「あわじ島レタス」は、出荷期間の中心が11月から5月中旬までと長く、安定した出荷量で卸売市場を通じて計画的に販売しています。また、品質面ではコールドチェーン化により鮮度を保持し、新鮮な状態で消費地へお届けしています。
 今はもう「安全・安心」が当り前の時代です。出荷するレタスは生産者が生産履歴と栽培工程管理(GAP)を記録し、JAが記帳内容を確認した後、安全が確認できたレタスを出荷する仕組みをとっています。併せて、JA内部での残留農薬自主検査と第三者機関での残留農薬検査を実施していますので、安心してご購入ください。

問い合わせ先
 
あわじ島農業協同組合
兵庫県南あわじ市市青木18-1
TEL 0799-42-5200 FAX 0799-42-3188
URL http://www. ja-awajishima. or. jp/

 
今月の野菜「レタス」 / 

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