[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ
(野菜情報 2012年8月号)

北海道夕張市(メロン)

~北海道夏の味覚「夕張メロン」産地紹介~

夕張市農業協同組合
営農部 営農推進課長 木下 誠



 

1.産地の概要

 本市は、北海道の中央部よりやや南西に位置し、地勢は三方を夕張山系の峻峰に囲まれ、その中で集落は市域の南北を貫流する夕張川水系などの流域に蛇行して開け、周囲は国有林を始めとする森林地帯です。
 交通面では札幌より1時間30分、千歳空港より1時間と近く、道東自動車道(平成23年札幌~帯広間全線開通)の中間拠点都市としてその要となっています。
 歴史としては明治21年、夕張炭田が発見されたことに始まり、以来良質豊富な原料炭供給基地として発展しましたが、エネルギー需要の変遷によりその需要は急激に低下し、平成2年をもって炭鉱はすべて無くなり、以後、市の財政も悪化し、現在は国の指導のもと財政再生に取り組んでいます。
 農業も炭鉱の開鉱とともに始まり、雑穀のほか、炭鉱向けの野菜などが作付けされてきました。その後昭和30年代に入り農業振興目標がたてられ、土地や気候条件に合い特異性と収益性を備えた特産野菜(メロン、長芋、苺、アスパラガスなど)の選定が行われてきました。
 中でもメロンは、昭和35年にメロン組合が結成され、翌年には「ネットが外観を完全に覆い、肉質はサーモンピンク、甘み風味ともに優れた」一代雑種の『夕張キング』が誕生し、以来、組合員の結束のもと良品質の生産技術と農協共販体制の確立に努め、現在では全国に知られる夏の果実として、数々の表彰を受けるまでとなっています。
平成24年度のメロン組合員戸数は132戸、作付面積205ヘクタール、出荷量4,500トンで、販売取扱計画額は24億円です。

2.産地栽培カレンダー

 夕張メロンの栽培は、冬の降雪量、日照条件によりその出荷を5月中旬より9月上旬までとしています。その出荷時期に合わせ、個人ごとに約7日おきに種をまき、順に収穫する事としています。

3 生産、栽培の特徴

 夕張メロンは、夕張市農協組合員でありかつ夕張メロン生産組合の組合員のみが、その生産を認められています。
 農協はその種子を管理し、原種であるアールス種、スパイシー種および交配されたF1『夕張キング』の種子の生産管理、保存を行い、生産者に必要量の供給を続けているほか、栽培指導を中心に連作障害対策としての接木台木の育成を始めとする品種改良事業、土壌分析に対する診断、施肥設計など、専門技術員を配置し行っています。
 栽培についてはメロン組合により栽培指導基準が作られており、施肥基準や防除、は種から収穫までの管理要点などについて、その遵守が義務付けられています。
 メロン組合は、その組織を地区ごとに13の小グループに分けており、その代表(リーダー)を中心にグループ内を統率し、全体で年一度、グループごとの成績を発表し表彰することにより、組織の向上を個人ではなく地域グループごとに図っています。


ハウス風景


ミツバチ交配

4 出荷の工夫

 夕張メロンはその特性上、日持ちが悪く、収穫より2~4日ほどで食べごろを迎えてしまいます。そこで対策として、以前より保冷などの貯蔵の検討がなされましたが、思うような結果が得られず、今では当日朝収穫したものを検査後すぐに航空輸送などで届けることとしています。産直品も、カタログ販売したものを検査場より直接発送し、1両日で消費者に届けることを前提としており、そのほか道外、道内市場向けもすべて当日出荷とし、次の日のせりにかけられています。
 出荷に際しては、栽培履歴を出荷期別ごとに記入して提出し、農協において肥料・農薬などの安全性を確認しています。

5 販売戦略

 メロン生産組合は、設立当初(昭和35年)より組織力と強固な団結のもと、協同出荷、協同選別、共同計算による精算を目指し、現在まで引き継がれています。すべてのメロンは農協に全量出荷し、農協の施設においてメロン共撰事業としてすべて検査され、規格が決められ、はじめて夕張メロンのブランドで出荷できることとなっています。このことは農協のメロン販売戦略の重要な要となっており、市場に出荷するほか、ギフトのカタログ販売用産直品の契約にもつながっています。
 この前提として、メロン組合は、前年度中にメロン作付計画を集計し、時期別の出荷量をとらえていて、これにより農協は、最需要期を中心とした価格調整のための大手量販店などとの販売契約が可能となり、有利販売につながっています。
 また、検査は、生産者の中より選考され、農協より委嘱された検査員により毎日交代制で行われており、これにより検査員はメロンに対する品質の見極めが出来るようになり、自分のメロン作りの向上にもつながっています。
 農協においては、ブランド維持のため昭和52年より商標の取得を試み、順次デザイン、字体の取得をしており、その取り組みにより平成18年には商標活用優良企業の表彰を受け、そのブランド名を有効活用し、さらに強力に消費者に浸透させることに成功しています。

夕張メロンキャラクター

6 生産組合の紹介

 夕張メロン組合
 昭和35年 設立 組合員17人
 昭和38年 共同選果 共同計算実施
 昭和41年 交配用ミツバチ導入
 昭和48年 日本農業賞 奨励賞受賞
 昭和61年 北海道産業貢献賞受賞
 平成2年 設立30周年
        メロン農協取り扱い40億円
 平成22年 設立50周年
 平成23年 北海道功労賞受賞

一言アピール

 メロン組合も設立50周年を迎え、北海道の夏の味覚、日本を代表する赤肉メロンとして今後も安心、安全でその風味を味わっていただけるよう心がけてまいります。
 本年も期待に答えられるよう精一杯丹精をこめて栽培しており、品質も上々で順調な出荷が見込まれており、7月上旬~中旬には最盛期を迎えますので、ぜひご賞味いただきますようお願いいたします。
 また、夕張メロン果汁を使ったゼリーやお菓子類もたくさん出回っておりますので、あわせてご賞味ください。

問い合わせ先

夕張市農業協同組合 営農推進課
 〒068-0751 夕張市沼ノ沢213番地
 TEL 0123-57-3115
 FAX 0123ー57-3146

 
今月の野菜「メロン」 

今月の野菜
元のページへ戻る


このページのトップへ