鹿児島きもつき農業協同組合 垂水支所 営農購買グループ長 池田 穣二
鹿児島県垂水市は大隅半島の北西部に位置し、平均気温が20度、年間200日以上が晴天日であるなど温暖な気候となっています。このような気象条件を生かし、昭和40年代からさやいんげんの栽培を始めました。
現在、垂水地区の農協共販面積で約25ヘクタールのさやいんげんが栽培されており、市場においても垂水産さやいんげんとして銘柄が確立しています。
作型はハウス加温促成、無加温半促成、トンネル半促成、露地栽培と多岐にわたり9~6月にかけて出荷できる体系が整っています。栽培は露地栽培が大半を占めますが、近年では補助事業などを活用して設置したハウスによる施設栽培面積が増加しています。
ハウスを使用した促成栽培では、10月下旬~11月下旬には種を行い、12~5月にかけて収穫します。は種後約60日で一番果の収穫が始まり、約4トン/10アールを超える単収が期待できます。
また、ベストクロップキセラ品種の品質および単収向上を目的として、植物成長促進剤を使用したジベレリン処理栽培にも取り組んでいます。
ハウスを使用した半促成栽培では、11月下旬~1月下旬には種を行い、2~5月にかけて収穫します。は種後約70日で一番果の収穫が始まり、単収は約3トン/10アールとなっています。
ジベレリン処理適期のさやいんげん
開花直前のさやいんげん
トンネルを使用した半促成型栽培では、12~1月に施肥畦立て、マルチやトンネル被覆を行って十分に地温を確保してから、は種を行います。は種は1月上旬から始め、4~6月にかけて収穫します。
露地栽培の抑制型栽培では、は種は8月中旬~9月中旬にかけて行います。地温の上昇を防ぐため、白黒ダブルマルチやミラーマルチを使用した栽培を行っており、10月中旬~11月下旬にかけて収穫します。
トンネル半促成作型
秋露地抑制作型
暖地の特色を生かした栽培が行われており7~9月を除いて出荷しています。栽培品種は、矮性品種のベストクロップキセラが9割以上を占めています。
1戸当たりの栽培面積は20アール前後の農家がほとんどですが、労働者を雇用して、50アール以上の栽培面積を確保している農家や法人経営も出てきており、さやいんげんを基幹作物とする農家も増えています。
ハウス栽培においては、土壌のカリ過剰や苦土不足などが見受けられるため、毎年、土壌分析を行い、農協いんげん部会の主催により個別面談方式の施肥設計検討会を行っています。土壌分析を続けることで、適切な施肥管理が行え、コスト削減にもつながっています。
ここ数年、難防除病害虫のタバココナジラミが増加傾向にあり、さやいんげんの品質低下などにも影響が出ています。その対策として、コナジラミ類を対象とした体系防除の導入や天敵(スワルスキーカブリダニ)や黄色テープを利用した総合防除の確立に向けた実証活動に取り組んでいます。
(4)栽培様式の紹介
○2条植え:畦幅180~200センチ ○1条植え:畦幅80~90センチ
株間30センチ、条間60センチ 株間35~40センチ
(栽植本数3,000~3,300株/10アール) (栽植本数3,000~3,600株/10アール)
生産農家による2キログラム箱の個選による出荷が主体ですが、面積拡大と品質管理面からバラ集荷による箱詰め作業を農協で受託しています。
また、以前は2キログラム段ボールによりL・M・Sと3つの規格を使用していましたが、平成18年頃から生産者の出荷調製作業のさらなる軽減と出荷コスト削減を図るため、6キログラムの通いコンテナ容器を使用し、MS階級混み小とL階級大の2つの規格による販売を行っています。
出荷用の2キログラムダンボール
6キログラムの通いコンテナ荷姿
ほぼ周年に近い出荷体制を確立し、週間値決めによる市場委託販売を中心に行っています。そのほか契約販売にも取り組んでいます。特に、全国的にも産地が少ない端境期の1~3月にかけては市場からの期待も高まっております。
さやいんげんは、煮物、揚げ物、炒め物など何にでも使える緑黄色野菜として人気がある食材です。みずみずしく、彩り鮮やかな当地のさやいんげんをぜひ、ご賞味ください。
鹿児島きもつき農業協同組合垂水支所 営農購買グループ
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