いんば農業協同組合 経済部 次長 鈴木 章浩
八街(やちまた)市は、千葉県のほぼ中央に位置し、東京から50キロメートルの圏内にあり、京葉工業地帯からは20キロメートル、新東京国際空港からは10キロメートルの位置にあります。
東は山武市と接し、南は東金市と千葉市、西は佐倉市、北は富里市と酒々井町とそれぞれ接しています。地形は南北に長く、面積は74.87平方キロメートルです。市内は、市街地を中心として、その周囲に平たんな畑作地帯が広がり、南西部と北部に水田地帯が点在しています。標高は最も高い地点で海抜44.89メートルです。このような環境の中で、冬にんじんの生産は昭和40年代から開始され、現在では生産者数約1,000名、栽培面積約600ヘクタール、年間生産量約22,000トンを誇る大産地となりました。
にんじんの栽培にとって重要となる土づくりは、前作に緑肥や麦など、にんじん以外の作物を栽培することにより、にんじんの連作栽培とならないように努めるとともに、地力の増進を図っています。
主な栽培品種は、「愛紅(あいこう)」「れいめい」「陽州」「新陽」「彩紅」などです。
は種は、コーティング種子を用いて機械により行われ、は種後から発芽までの間は、地面が乾燥しないようかん水には十分気を配っています。また、毎年12月上旬頃には、寒害対策として土寄せ処理(にんじんに土を掛けること)を行い、霜などの被害を受けないよう寒さから守っています。
肥料は、有機配合肥料を中心とした施肥設計により投入しており、農薬の使用は、は種後すぐに除草剤を散布し、発芽から収穫までの間に2~3回の防除を行っています。
平成7年頃から収穫作業の機械化が図られ、にんじん掘り取り機(キャロベスター)の普及により労力の軽減が図られています。
生産者の中には、収穫したにんじんを当JAに出荷する方もいれば、直接市場に出荷する方もいますが、当JAへの出荷の形態としては、
① 収穫したにんじんを生産者自らが洗浄(にんじんを機械で水洗い)から箱詰め作業までを行い、集荷場へ搬入する「箱選出荷」の形態と、
② 洗浄作業までを生産者が行い、その後にんじんをコンテナに詰め、当JAの選果場の「グリーンやちまた」(平成9年から稼働)に搬入し、選果場にて機械選果選別・箱詰め作業を行う「機械選出荷」の形態があります。
近年では、「機械選出荷」を行う生産者が増えており、労力の軽減につながっています。
出荷は、11月上旬から始まり3月下旬までの間行われ、出荷の割合は、年内、年明けそれぞれ半々の割合となっています。
安全面では、出荷前に生産者は、栽培履歴簿を当JAに提出することとなっており、それを基に農薬使用の確認を行っています。また、生産者が出荷したにんじんのサンプルを外部検査機関に依頼して、残留農薬の検査を実施するなど、安全の確保に努めています。
販売先は京浜市場が中心となりますが、規格外品など市場に出荷ができないものについては、主にジュース用として全農千葉県本部に出荷しています。
当JAの販売戦略としては、出荷数量の多い機械選出荷について、全農千葉県本部を通じた市場向け販売を中心とし、そのほかに、予約相対販売、期間を定めた条件付き買付け販売などを行い、安定した取引価格による販売に取り組んでいます。販売数量についても、市場担当者および仲御の要望に応じた安定的な出荷に努めるとともに、直接取引先となる物流センターなどへの配送面においても力を入れています。また、市場担当者、仲御、スーパーのバイヤーなどからの依頼があれば、当JA選果場における選果選別・箱詰め作業や、にんじんのほ場などの視察を受け入れています。
園芸組織「グリーンやちまた園芸部」のにんじん部会の正副部長3名および各園芸部支部のにんじん部長(現在47支部47名)を中心に、にんじんの規格の変更や有望品種の選定などを検討しています。生産者は「来年もにんじんを栽培したい」「後継者が農業を継ぎたい」と思えるような取引価格となることを願って一生懸命に生産に取り組んでいます。
八街のにんじんは、「安全・安心」を基本に栽培しています。ぜひお買い求めをいただけますようお願い致します。
いんば農業協同組合 経済部
千葉県佐倉市寺崎761
TEL 043-485-6105
FAX 043-484-0088