[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ


宮崎県小林市(さといも〔京いも〕)

~豊かな自然と大地が育む~

こばやし農業協同組合 園芸農産部 園芸課 チーフ 古川 幸浩



 

1. 産地の概要

 宮崎県小林市は県の南西部に地位し、北は九州山地をもって熊本県、南は霧島連山をもって鹿児島県と接し、大自然が生みだした多くの原生林の山々に囲まれています。
 気候は、盆地のため昼夜の気温差があり、夏は暑く、冬は冷え込む温暖内陸型の気候となります。年間の平均気温は16度、年間降水量は2,500ミリに達します。
 土壌は肥沃で、古くから農畜産物の宝庫として、畜産(肉用牛・酪農)を主体に、年間を通じた野菜、果物の生産が行われています。野菜では「さといも」「ごぼう」を中心とする土物類のほかに、「ピーマン」「きゅうり」「にがうり」など、施設を利用した生産も行われています。また、果物では県内の生産量第1位を誇る「アールスメロン」をはじめ、「完熟マンゴー」「完熟金柑」などが年間を通じて生産されています。

2. 京いもの特徴

 宮崎県特産の「京いも」は、日本一大きい“いも”です。さといもといっても普通のさといもとは異なり、形は円筒形で、大きいのが特徴です。呼び名は地上に頭を出している姿が筍に似ている事から一般では“たけのこいも”とも呼ばれていますが、地元では“台湾いも”と呼んでいました。
 「京いも」の肉質は粉質で身がしまっており、煮くずれしないのが特徴です。また、皮をむきやすいため料理には大変便利な食材です。

円筒形が特徴で大きなものでは60センチ以上にもなる

3. 京いもの由来

 宮崎県では「京いも」の商品名で出荷していますが、“台湾いも”とも呼ばれていたように明治時代に南方から導入されたようです。
 小林市東方(ひがしかた)地域で古くから栽培されていたものが原種とされていますが、戦前から小林市を中心に農家では自家用、地元販売用に栽培していました。
 「京いも」という名前の由来は、昭和30年頃に「この特徴ある品種を何とか県外の消費者にも届けよう」と、当時の農協、市役所、青果会社が一体となり、関西に売り込みに行った際に、京都に立ち寄り食べた精進料理の中に食味の優れたさといもが使用されており、「この京都のおいしい料理にあやかりたい」との思いから付けた名前が「京いも」でした。
 今では宮崎県特産の「京いも」としてその名は定着し、小林市のほかにも国富町や西都市でも栽培が行われています。

生育途中の「京いも」

「京いも」の葉

4. 作型

 3月下旬~4月上旬にかけて良質な完熟たい肥を投入し、4~5年の輪作で種子芋を植え付け、収穫までに3回程度の倍土と追肥を行います。
 収穫は10月中旬~11月上旬にかけて行われ、降霜までに掘り取り作業を済ませた後、ほ場に貯蔵し、3月上旬位までの間順次出荷が行われます。
 出荷は、「京いも」のひげ根(白根)を丁寧に一本一本取り除き、水洗いをし、その後風乾燥を行い、調製して規格ごとに箱詰して行われます。
 このように出荷までには、かなりの時間と労力を要します。


収穫された「京いも」


白根を付けた状態で貯蔵することが重要


貯蔵風景


わらなどを使った貯蔵方法

5. 生産振興対策として取り組んでいること

(1)土づくり(良質たい肥の施用)
 ・10アール当たり完熟たい肥3トンを施用し地力の向上を図る。
 ・生育状況により追肥を行ない、勢をつけ、根張りを促進させる。
(2) L・M中心規格の生産
 ・適期の土寄せによる品質向上を図る。
(3) 洗い機の有効利用による省力化
 ・洗い機の利用による労働力の軽減を図る。
(4) 栽培管理履歴の記帳徹底の指導
 ・安全・安心な「京いも」作りの徹底
(5) 貯蔵法の徹底による品質向上対策
 ・子芋は外さずに、茎を下にして一段積みとする。
 ・収穫後7日~10日間は上部に空気が通るような対策を行う。
 ・寒さに応じ盛り土を行い凍傷対策を行う。
(6) 目揃え会の実施と出荷企画の検討
 ・出荷講習会による出荷体制の実施

 

一言アピール

 「京いも」は、主成分のほとんどが糖質のデンプンのため、消化がよいのが特徴です。ぬめり成分が胃腸の働きを助け、胃腸の粘膜を丈夫にし、胃壁を守ります。
 また、老化防止の働きがあるとも言われています。食物繊維のマンナンの成分は便通をよくする作用があるとも言われ、ほかにもビタミンB1、B2、カリウムも豊富です。
 是非、当地の「京いも」をご賞味ください。

お問い合わせ先

こばやし農業協同組合  園芸農産部 園芸課
住所:〒886-8520 宮崎県小林市細野1321番地
TEL0984-23-1318、FAX0984-23-5572

  今月の野菜「さといも」 

今月の野菜
元のページへ戻る


このページのトップへ