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長崎県島原市(だいこん)

~育んだのは、でっかい自然と豊かな水~

島原雲仙農業協同組合 島原地区営農センター センター長 田上 隆



 

1.島原市の農業について

 長崎県島原半島は、農家戸数は県全体の24パーセントを占め、農業産出額は約43パーセントを占めるなど、長崎県を代表する農業地帯です。過去20年間(昭和62年~平成18年)の農業産出額の推移を見ると、全国および九州、長崎県ではいずれも減少していますが、島原半島で見ると107パーセントと伸びています。その要因は、野菜や畜産の産出額の伸びにあります。
 島原半島の中心である島原市(平成18年度に隣接の有明町と合併)の面積は82.77平方キロメートルと島原半島全体の約18パーセントを占めています。平成2年に198年ぶりに噴火した雲仙普賢岳(標高818.7メートル)を中心として東側の有明海へ伸びる傾斜地となっており、安山岩、洪積岩、沖積層に分布され、肥沃な土壌が多いのが特徴です。
 島原市の人口は5万人、そのうち農家人口は7,995人(人口の15.8パーセント)であり、その約80パーセントを販売農家が占めています。農業粗生産額は150億円前後、新規就農者は毎年20人前後と多く、島原半島の中でも農業の盛んな地域です。
 気象庁のアメダスデータによる過去30年間の島原地点の気象は、年間の平均気温が17.3度、平均日照時間は1,943時間、年間降水量は2,128ミリであり、県内でも比較的温暖な地域です。
 沿岸地帯には水田もありますが、水田よりも畑作地帯が多くを占めています。島原半島における1戸当りの平均的な耕作面積は1.23ヘクタールですが、畑作かんがいが整備された三会原(みえばら)畑作地帯を中心にだいこん、にんじん、はくさい、しょうが、レタス、すいかなど露地野菜の産地が形成され、耕地利用率は140パーセントにも達しています。

旧島原市の農畜産物の産出額

旧島原市の農畜産物の産出額(上位10品目)

2 専業・兼業別農家戸数および主業農家戸数

 総農家個数に占める専業農家(第1種兼業農家を含む)および65歳未満の農業専従者のいる主業農家の割合を見ると、いずれも島原半島は長崎県、全国と比較しても高い比率にあり、手の行き届いた生産管理がだいこんに限らず、さまざまな農産物の品質に好影響を与えていると思われます。

 ○ 専業および第1種兼業農家の占める割合
   (島原半島45.4パーセント・県31.5パーセント・全国26.4パーセント)
 ○ 主業農家の占める割合
   (島原半島41.7パーセント・県26.0パーセント・全国17.9パーセント)

総農家戸数に占める専業農家と主業農家

3 産地栽培カレンダー

 島原地区(旧島原市)では、だいこん、にんじんなどの根菜類とはくさい、レタスなどの葉菜類を中心とした露地栽培に加えて、施設栽培における夏場のトマトなどの果菜類、ハウスしょうがの栽培が盛んで、典型的な複合経営が営まれ、年間を通じた安定収入の確保に努めています。

平成22年度 品目別作付面積と出荷期間

4 だいこんの生産・栽培上の特色

 現在、ほ場の基盤整備が進んでいるものの、まだまだ一枚当りの面積は狭く(10アール程度)作業効率は低い面もありますが、適地適作と土づくり(緑肥作物の導入・たい肥散布)に力を入れ、反当りの収量のアップに努めています。
 また、全部会員が認定農業者であり、エコファーマーの認定を受けており、長崎県版GAPにも取り組んでいます。ほ場管理については、ほ場台帳を作成の上、一筆ごとに土壌分析を実施し、過去のデーターと照らし合わせながら土壌改良および施肥設計に取り組み、特別栽培レベルまでの肥料削減に努めております。

だいこん作型表

島原市大根部会取扱推移

5 出荷の工夫

 計画的で安定した出荷を行うために事前に作付調査を行い、は種の分散化を図るとともに、作付が少ない時期があった場合には部会員に対し作付を促すなど、平準化した安定的なは種計画を立てています。
 収穫作業時には労働力の確保対策として、部会員2~3名の単位で班を編成し、ほ場運搬用のクローラー式フォークリフトを利用し共同作業によりだいこんの原料ラックに入れて収穫作業を行います。
 収穫後は、全量を共同選別・共同販売とし、当JAの選果場で洗浄、選別、箱詰めの一連の作業が行われます。
 選別はほ場単位で行われ、個人・ほ場ごとにトレーサビリティーの管理および選果データの集計、土壌分析が行われ、その結果を基に次年度の栽培指針とするなど、技術改善を図っています。

クローラー式フォークリフトを使用した収穫の様子

選果場における選果の様子

6 安全・安心の取り組み

 当JAでは、生産者は必ずほ場ごとに生産履歴を記帳し、JAに提出することとしています。JAでは生産者から提出された履歴書の内容を確認するとともに併せてほ場調査を行い、ほ場ごとに出荷計画を立て生産者に収穫・出荷の指示を出します。

7 販売戦略

 販売面では、市場出荷に加えて、大手量販店のプライベートブランドとして販売するほか、漬物製造会社との契約取引、さらには、規格外品についても加工用として市場を通じて加工業者と契約取引をするなど、生産者の収入の安定を最優先に置いた販売を心がけて居ます。
 また、市場価格の暴落時のセーフティーネットとして、野菜価格安定事業への加入も促進しています。

一言アピール

 水の郷島原は、きれいで豊かな水を湛え、温暖な気候と豊かな土壌に恵まれた産地です。
 私たちのモットーは、この豊かな水と大地をステージに、自然と人との調和を図りながら、安全でおいしい新鮮な農産物を安定的に消費者の皆様にお届けすることです。
 そして、農産物を通して消費者の皆様とふれあいながら、信頼の絆を深めていきたいと思っています。
 豊かな水と大地の恵みが育んだ「安全・安心」でおいしいだいこんを是非ご愛用下さい。
 スローガンは「実現しよう!日本一元気な産地」です。

お問い合わせ先

JA島原雲仙 島原地区営農センター 
〒855-0012
長崎県島原市大手原町甲2130
Tel 0957-64-3121/Fax 0957-64-3121
ホームページ JA島原雲仙


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