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静岡県 とぴあ浜松農業協同組合(セルリー(セロリ))
土づくりを実践したセルリー(セロリ)栽培

とぴあ浜松農業協同組合 東・中央営農センター
営農アドバイザー 高倉 克弥


産地の概要

 とぴあ浜松農業協同組合(以下、「JAとぴあ浜松」)は、東京と大阪のほぼ中間、静岡県の最西部に位置しており、自動車、楽器などの製造業が盛んな都市部から、野菜、花き、みかんなど全国的でも有数な農業地帯にかけて幅広い区域を管轄しています。JAとぴあ浜松管内では、パセリなどの洋菜、たまねぎ、ばれいしょ、みかん、お茶、養豚などの、豊富な農畜産物が生産されており、その中でもセルリー(セロリ)(以下「セルリー」という)は、洋菜類の中で最も多い生産額を占めており、冬から春にかけての生産量は、日本一となっています。

 年間の平均気温は15.7度、年格差の少ない温暖な気候であり、年間の日照時間は2,132時間と長く、年間の降水量は1,880ミリ前後で夏季に多く、冬季の積雪はほとんどありませんが、この時期の西寄りの季節風(通称、遠州の空っ風)が強いことが特徴となっています。


栽培の概要

 JAとぴあ浜松管内のセルリーの作型は、露地栽培の秋どり栽培とハウス栽培の冬どりと春どりの作型に分かれ、11月から翌年5月にかけて出荷が行われます。セルリーは、は種から収穫までに、半年以上の時間を要しますが、は種から移植までの間は、JAとぴあ浜松の育苗センターで一貫して苗の生産を行い、ある程度苗が生育した後、生産者のほ場で定植までの間苗を育てます。品種は、黄色系の‘コーネル619’に統一して栽培しております。‘コーネル619’は、良食味な反面、栽培には非常に苦労する品種です。しかし、先人達と現在の生産者の努力によって、近年は安定した生産を行うことができるようになりました。

JAとぴあ浜松セルリーの作付体系

セルリー生産状況(H20年度)



セルリーのほ場
セルリー一株

栽培における取り組み

 当JA管内の東・中央地区では、栽培技術や、品質の向上に向けて定期的な勉強会の実施やほ場巡回など、技術向上に向けた取り組みを実施しています。

 セルリーの生産は、「浜松洋菜」という共販制度が昭和39年に始まってから増えてきました。昔からセルリーの連作は行われており、今では、ほとんどの生産者がハウス栽培で冬どり、春どりの年二作体系の生産を行っています。JAとぴあ管内のどの地域にも言えることですが、当地区のセルリーも長年の連作により土壌のバランスが崩れ、近年は萎黄病(フザリウム菌による土壌伝染性病害で、外葉が黄色になり、次第に株全体に広がり、生育が不良となる)という土壌病害に悩まされていました。

 萎黄病の対策として、今までは、薬剤に頼った土壌消毒のみを実施してきましたが、それだけでは萎黄病の根本的な解決に結びつけることができませんでした。そこで当地区では、総合的な防除対策を行いました。

 まず、一期作栽培前の6月には、最新の機器を完備した土壌農薬分析センターで一斉に土壌診断を実施し、診断結果に基づく施肥設計を行うこととしました。その結果、土壌バランスが改善され、肥料費用の削減にもつながりました。また、当地区では、夏場はハウスが空いているので、ハウスを閉め切り、太陽熱を利用してハウス内の温度と地温を上げる土壌消毒を行っています。

 は種から移植までの間のハウスを使用していない時期には、連作障害回避のために、ハウス内でソルゴーなどの緑肥やスイートコーンの栽培を行っています。緑肥やスイートコーンは、栽培後に畑へすき込みますので有機物の補給にもなり、また、セルリーに比べて直根が深く張るので、長年の連作による土壌の排水性の悪化に対して改善の効果が見られるようになりました。



萎黄病によって壊滅したほ場
対策を講じることによって解決


セルリーの後作を利用したスイートコーン栽培
セルリーの後作を利用したソルゴー栽培

JAとぴあ浜松の土壌分析センター

出荷の工夫

 徹底して高品質にこだわっており、厳密な出荷規格に基づいて出荷は行われます。生産者は、ほ場でセルリーの箱詰めをした後、JAの営農センター出荷場へ持ち込みます。持ち込まれたセルリーは、生産者代表やJA職員により厳正な検査を受けます。検査後は、品質保持のために真空冷却処理を行い、即日に全国各地へと出荷されます。

 また、当地区では、日々の検査に加えて、さらなる品質向上のために、定期的に全出荷者が氏名を伏せたセルリーに点数を付けて順位を決める「共進会」を開催しています。



真空冷却装置
いいことずくめの「セロリレシピ」

販売戦略

 セルリーの出荷は、厳正な出荷計画に基づき行われます。また、事前に販売先へ出荷情報を伝えることで販売しやすい体制を取っています。さらに、セルリーをより多くの方に知ってもらうためにマスメディアへの紹介や消費宣伝を積極的に実施しています。最近では、株式会社角川コミュニケーションズと協力して「いいことずくめのセロリレシピ」という本を発売しました。

 この本の中で、いろいろなセルリー料理や栄養素などを詳しく紹介しています。消費者の方からは、セルリーというと必ず料理方法が分からないというご意見をいただいていましたが、この本は、一冊の中にセルリー料理がぎっしりと詰まった内容になっているので、セルリーの料理方法が分からない方にも満足していただけると思います。

 また、セルリーの若手生産者で組織する青年部では、鉢でセルリーを栽培して、各市場や量販店に送り、セルリーをより多くの方々に知っていただくように消費宣伝を行っており、年に一回鉢植えセルリーのコンテストを開催して積極的にセルリーをアピールしています。


鉢植えコンテスト

一言アピール

 JAとぴあ浜松のセルリーは、冬場の日本一の産地です。日本一の産地として先人達が築いてきた技術を現在まで受け継ぎながら、新しい技術を磨いています。産地として責任を持って消費者の皆様に安全・安心で高品質なセルリーを提供しています。味を追求した品種を徹底して栽培することで、より多くの方々にJAとぴあ浜松のセルリーを知り、好きになっていただければと思っております。

お問い合せ先

とぴあ浜松農業協同組合  東・中央営農センター
〒435-0001 静岡県浜松市東区上石田町800番地
TEL:053-433-5711  FAX:053-433-0288

 
今月の野菜「セルリー」 / 

今月の野菜
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