産地の概要
大阪泉州農業協同組合(以下「JA大阪泉州」)は、大阪府の南部に位置し、2002年6月1日に旧JAかいづか(貝塚市)、旧JAくまとり(熊取町)、旧JA泉佐野市(泉佐野市)、旧JAたじり(田尻町)、旧JA大阪阪南市(泉南市、阪南市)、旧JA大阪岬(岬町)の4市3町を管轄する6つの農協が合併して誕生しました。
この地域は大阪湾に面し、年間平均気温は平野部で約16度、山間部で15度、年間平均降水量は、約1,300ミリ前後と降雨量の少ない瀬戸内海式気候に似た温暖な地域です。また、周辺には大きな河川がないため、農業用水は多くのため池から取水しており、土壌は和泉砂岩が中心で、しゅんぎくの栽培に適していると言われています。そのほかにもキャベツ、水なす、ふき、たまねぎなどが栽培されており、大阪府内でも有数の野菜栽培地帯です。
しゅんぎくの作付け体系および種類
大阪府のしゅんぎくの生産量は4,280トンで、全国第2位の生産量となっており、そのうち865トンが管内で生産されています。
主な作付け体系は、周年栽培と水なすの後作としての栽培です。
しゅんぎくは、葉の切れ込み具合から「大葉種」「中葉種」「小葉種」に分けることができますが、この地域で栽培されているしゅんぎくは、収量が多く、株張りが良いとされる株張り型の「中葉種」を中心に栽培しており、栽培時期に応じて品種を選定しています。
生産・栽培上の特徴
(1)大阪エコ農産物
JA大阪泉州では、管内で生産されるしゅんぎくの「安全・安心」をより一層高めるため、生産者90名のうち73名が「大阪エコ農産物」の生産に取り組んでいます。
大阪府エコ農産物認証制度は、農薬と化学肥料(チッソ、りん酸)の使用量を慣行栽培の5割以下に削減して栽培された農産物を、大阪府と市町村とが連携して「大阪エコ農産物」として認証する制度です。
しゅんぎくのエコ栽培基準は、表のとおり露地物と施設物で異なり、この基準に見合ったものがエコ農産物として認証され出荷されます。
認証を受けたエコ農産物は、図の認証マークを表示して販売します。併せて、栽培責任者の氏名、連絡先も表示します。このように、管内でエコ栽培されたものは年間373トンと、全体(393トン)の95%を占めるに至っています。
(2)作型
JA大阪泉州管内では、しゅんぎく栽培の作型は大きく分けて二つあります。一つは管内特産の水なすの後作として、次の水なすの植え付けを行うまでの間に、2~3回収穫を行うものです。もう一つはハウスで周年(一年中)栽培を行うものです。周年栽培の場合は、日々の出荷量に合わせて、順番に種を蒔き、夏場で約30日間、冬場で約80日間かけて育てます。年間に4~5回収穫して土地を有効に利用しています。
(3)栽培上の取組み
品質の良い作物を作るには、土づくりは欠かせません。そのために完熟たい肥を年間10アール当たり2トン以上施肥します。病害対策としては、ベト病の発生を抑えるために畝を高くして排水を良好にし、被害株が出た場合は速やかに処分するなど、被害が広がらないように努めています。また、夏期にはカルシュウム欠乏により新芽が黒く枯れ、芯ぐされ症が発生するため、土づくりのほかに、病気に強い品種を選定するなどの対策により生産量の安定化を図っています。
出荷の工夫
当管内のしゅんぎくは、四つの規格に大別され、品質の良いものは「秀品」、そのほかのものを「別口」として等級を分け、「2L(25センチ以上30センチ未満)」「L(20センチ以上25センチ未満)」「M(16センチ以上20センチ未満)」の三種類に分けられます。
収穫作業は、夜露が乾いてから株の根元を切り取って行われますが、市場の要望により根付きのものを出荷する場合もあります。
包装は、季節に応じてL袋、M袋と使い分けています。
主な販売先は、大阪府中央卸売市場内の青果会社で、新鮮なしゅんぎくが届く体制を作り上げています。
しゅんぎくは、関西では菊菜(きくな)と呼ばれており、なにわの鍋物には欠かせない野菜です。香りの良い新鮮な大阪泉州のしゅんぎくをぜひご賞味ください。
大阪泉州農業協同組合
営農経済部 営農指導課
大阪府泉佐野市松風台3-4550-2
TEL:072-458-1600
FAX:072-458-1688