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栃木県 宇都宮農業協同組合(トマト)
「おいしいトマトを作りたい」

宇都宮農業協同組合
営農部園芸指導課長 加藤 一美


1.産地の概要

 宇都宮農業協同組合(以下「JAうつのみや」)は、栃木県のほぼ中心に位置し、管内は2市1町(宇都宮市、下野市の一部、上三川町)からなっています。

 この地域は、県北西部に源を発する利根川水系の鬼怒川、田川、姿川の各河川流域の平地を中心として水田地帯が形成され、この平地間に介在する宇都宮東・西の各台地に畑作地帯が形成されています。宇都宮市の年間の平均気温は13.4度で、冬は乾燥した好天気に恵まれ気温は低く、夏は男体山および高原山付近に発する雷雲が移動し降雨が発生するなど内陸性気候の特徴を有しています。また管内は、農業・工業・商業の調和のとれた住み良い環境の中、農業は米・麦を中心にいちご、トマト、にらなど園芸作物、梨、リンゴなどの果樹、銘柄「宇都宮牛」を誇る畜産などの複合経営が営まれ、大消費地・宇都宮市を抱えた恵まれた立地条件を活かし、都市近郊型農業が展開されています。また、農業生産を主とする地域と、市街化商業地域の二重構造となっており、地域に即した農業経営が営まれています。


2.栽培の概要

 JAうつのみや管内のトマトの作型は冬春、越冬、半促成、夏秋、抑制の5つの作型に分かれております。中でも販売価格が高い時期に出荷が可能で、収穫期間の長い越冬栽培が増加してきています。これらの5つの作型により、年間を通じて出荷できる体制が整備されています。品種は、桃太郎系が8割を占めており、このうち糖度が7度以上のトマトを「プレミアム7」として差別化販売し、大玉扁平トマトは「鬼姫」という名称で販売しています。最近では大玉品種以外にもシシリアンルージュやミディ(中玉)トマトの生産が増加しています。

 また、少量ではありますが香港への輸出も開始されたところです。

大玉トマト 生産状況(H20年産)

JAうつのみや(H20年産)

(作型重複栽培あり)
JAうつのみや管内のトマトの作付体系カレンダー

○:は種 △:鉢上げ、苗購入 ×:定植 ■:収穫

3.栽培における主な取り組み

 大玉トマトの生産者は、全員エコファーマーの認証を取得しています。また、平成19年度からは県全体でGAP(農業生産工程管理)に取り組んでいます。中でも越冬トマト専門部は、平成20年6月にトマト産地としての団体認証では全国で初めてとなるJGAP(第三者認証)の認証を取得しております。

 また、高品質トマトづくりのために、床土には冬場に地域の山の落ち葉を共同でさらい、3年以上寝かせた落ち葉を腐葉土として床土に使用する伝統的な栽培を行っています。

 平成19年7月に越冬トマトにおいてJGAP認証への取り組みを決定し、JGAPの129項目の適合基準に基づき、農産物や作業者の安全、周辺環境への配慮のためのリスクの検討を実施し、ハウス作業場の片付けや危険箇所などへの掲示、作業などの記帳を行いました。また、栽培基準や残留農薬に関するルールをまとめたマニュアルを作成しました。これらの対策を通して、万が一の事故を避けるためのGAPを実践しており、レベルの高い栽培管理の確立が可能となりました。


 平成19年7月に越冬トマトにおいてJGAP認証への取り組みを決定し、JGAPの129項目の適合基準に基づき、農産物や作業者の安全、周辺環境への配慮のためのリスクの検討を実施し、ハウス作業場の片付けや危険箇所などへの掲示、作業などの記帳を行いました。また、栽培基準や残留農薬に関するルールをまとめたマニュアルを作成しました。これらの対策を通して、万が一の事故を避けるためのGAPを実践しており、レベルの高い栽培管理の確立が可能となりました。


平成20年6月24日にJGAPの認証を取得

●IPM(総合的病害虫・雑草管理)にも積極的に取り組み、微生物農薬の使用、施設周りのネット展帳、黄色粘着版を使用することにより、殺虫剤の使用回数を減らす努力を行っています。



黄色粘着版を設置した様子
黄色粘着テープとネットの展帳

●消費者ニーズに応えられるよう、40歳以下の青年部が中心となり、多様性のあるトマト栽培を行っています。特にお菓子感覚で食べられる中玉トマトの栽培を始め、三色トマト、シシリアンルージュなども好評です。




三色中玉トマト:トマト青年部企画販売

●トマトの環境配慮型栽培を実際の消費者に見てもらうためにトマトツアーを組み、東京を中心とした近郊都市からトマト狩りなどを積極的に受け入れています。



トマトの説明をする生産者
トマトツアーの様子

4.出荷および販売体制

 JAうつのみやでは6年前に統一選果場を整備し、管内のトマトの一元集荷販売を確立し、「消費者から信頼される産地うつのみや」を目標に、生産者・JA・関係機関一丸となり努力しています。現在は、トレーサビリティシステムを導入し、非破壊による内部品質センサーなどの機能を備えた選果施設を有効活用しています。選果基準については県統一規格を基準とし、作型ごとに目ぞろい会を開催し、品質の統一を図っています。選果されたトマトは4キログラム段ボールを中心に、2キログラム段ボール、1.3キログラム段ボール、500グラムフードパック、800グラムスタンドパック、コンテナ(4キログラム・6キログラム・12キログラム)、高糖度(7度以上)については「プレミアム7」として付加価値をつけ、消費者ニーズに対応した出荷形態に取り組んでいます。出荷先は首都圏を中心に、地元や東北地方へ出荷しています。周年出荷を武器に、指定市場9社およびパッケージセンターを通した直接販売にも取り組み、幅広い販売活動を展開しています。

一言アピール

 JAうつのみやのトマト栽培は歴史が古く昭和20年代から栽培が始まり、畑作地帯の転換作物として無加温栽培のトマト(現在の夏秋トマト)が導入されました。

 その後、加温栽培の導入と栽培技術の普及により管内にトマト栽培が拡大し、現在では周年栽培産地として栃木県を代表する産地に発展しました。

 産地としてのこだわりは「おいしいトマトを作りたい」ということです。特に食味にこだわる生産者が多く、完熟系桃太郎を栽培し続けている産地です。

 是非、歴史とこだわりが育んだJAうつのみや産トマトをご賞味いただき「ほんと、おいしいね!」と言っていただきたいものです。

お問い合わせ先

宇都宮農業協同組合 営農部園芸指導課
〒321-3233 栃木県宇都宮市上籠谷町3196
TEL 028-667-0152
FAX 028-670-8280
ホームページ http://www.jau.or.jp

 
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