[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ

北海道十勝地域(スイートコーン)
安全な製品づくりによるスイートコーンの生産加工

士幌町農業協同組合
農産部経済課 吉川 恵介


産地の概要

 本町は、北海道十勝の北西部に位置しています。町の総面積の25,961ヘクタールのうち、半分以上を農用地が占める純農村地帯です。基幹産業の農業は大規模集約型の経営により、畑作経営では小麦、豆類、ばれいしょ、てん菜を基幹とした輪作が行われており、畜産経営では乳牛や肉牛を主体とした経営が行われています。

 当組合においては、農畜産物の付加価値を高めた有利販売を目標に掲げ、昭和21年には、民間の澱粉工場を国内で初めて農業者資本により取得し、昭和30年には「合理化澱粉工場」を整備し、農業者所得の向上に努めてきました。

 昭和48年度以降は、ばれいしょ加工工場などの設備を順次整備し、ポテトスナック、フレンチポテトフライ、ポテトコロッケ、ポテトサラダなどの加工食品の生産を行い、原材料の生産、加工、消費流通まで一貫した取り組みを実施してきました。より安全・安心な製品の安定した供給を心がけ、消費者ニーズにかなう製品の生産に努めているところです。


スイートコーンの導入

 昭和50年代後半には、ばれいしょが畑作面積の35パーセント以上を占め、生産過剰な状況となり、そうか病注)などの土壌病害が広がりました。この状況を改善するために、収穫ほ場残渣の緑肥的効果や土壌の改善が期待できるスイートコーンの作付けに着目し、ばれいしょとの適正な輪作体系を確立するために昭和60年度にスイートコーンの加工設備を整備し、町内で60戸、146ヘクタールのスイートコーンの作付けが始まりました。

 当初は栽培技術が確立しておらず、反収や収益性も低いことから作付け面積はそれほど伸びませんでしたが、その後、適正な輪作体系を守っていこうという農家の希望もあり、規模は拡大してきました。

 また本年より、スイートコーン加工設備を増強して、生産・供給体制を拡大しており、当組合工場向けに上士幌町、鹿追町、音更町も含め、185戸、630ヘクタールの作付けを行っています。

注)表面にあばた状の病斑ができる病気

産地栽培カレンダー

 スイートコーンの加工設備の操業期間を延ばすために、一部マルチによる前進化栽培を実施し、8月中旬から1カ月間ほどですべての収穫、加工の作業を行っています。

JA士幌町スイートコーン栽培カレンダー

収穫から製品化まで

 スイートコーンは、収穫適期が短く、収穫後の時間の経過により糖分の低下が著しいため、食品工場の操業に合わせた適正な収穫が求められます。

 8月中旬から9月末までの期間、順次収穫適期となるように農家ごとに播種の時期や品種を決めて計画的に生産しています。

 南の早生地帯から順番に刈り取りを行っており、13センチ以上の長さのものを生産者から買取っています。

 食品工場で加工されるスイートコーンは、工場の原料担当者がほ場を巡回し、収穫適期となったほ場のスイートコーンを工場の操業に合わせて収穫します。食品工場では、収穫後おおむね4時間程度で、スイートコーンの芯を外して粒だけの状態にした後、蒸し上げ、さらに急速冷凍して『ホールコーン』として製品ができあがります。

 また、スイートコーンの加工残渣は、裁断して畜産農家へ販売し、飼料として利用されています。

 製品の製造においては、本年度から最新の加工設備の導入により、歩留まりの向上、機械化によるコストダウン、選別能力の向上などさらなる品質の向上を目指しています。


ハーベスタによる収穫

販売戦略

 スイートコーンはほかの作物に比べ防除の回数が少ない作物ですが、収穫直前に生産者から生産履歴を提出していただき農薬の使用状況の確認を行うとともに、残留農薬検査を実施するなどしてより安全な製品づくりに対応しています。

 また、原料のみならず、加工、流通にいたる安全管理体制(トレース管理)も整備されており、さらに製品についても残留農薬検査を実施するなど安全の確認を徹底しています。

 工場では、品質管理部門を設け、多種多様な取引先の協力・指導を受けながら長年培ったノウハウによる安全な製品づくりを心がけており、平成14年7月には、ISO9001の認証を取得しております。

 また、ユーザーのニーズに合わせた多種多様な製品包装形態に対応し、特定の業態に限定せず、各種業態へ幅広く販売し、安定した供給・販売を実施しております。

 より安全・安心な食品が求められ、国産農産物への嗜好が高まる中、ホールコーンの需要も増えていますが、一時的な需要への対応ではなく、末永く適正な取引条件にて販売できるよう、取引先との関係づくりに心がけています。


冷凍ホールコーン

一言アピール

 さらなる栽培技術の向上とともに、収穫ロスはもとより、加工工程の合理化や製品化段階でのロス削減などによるコストダウンを図り、不純物の混入防止の精度を上げることで一層良質なスイートコーンの安定生産と供給に向けて、生産農家とともに努力していきたいと考えています。

お問い合わせ先

士幌町農業協同組合 農産部 経済課
〒080-1200
北海道河東郡士幌町字士幌西2線159番地
TEL:01564-5-5709
FAX:01564-5-2879

 
今月の野菜「スイートコーン」 

今月の野菜
元のページへ戻る


このページのトップへ