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兵庫県南あわじ市(たまねぎ)
柔らかくて、甘くて、美味しい「淡路島たまねぎ」

あわじ島農業協同組合
販売部長 盛野 元


産地の概要

 あわじ島農業協同組合(南あわじ市)は兵庫県の南部、淡路島の南西部に位置し、冬場も温暖な気候に恵まれています。水田を活用し、水稲、野菜(たまねぎ、レタス、はくさい、キャベツなど)を組み合わせた三毛作による高度な土地利用と農業生産を展開しています。農用地3,600ヘクタールのほとんどは水田ですが、砂壌土が中心で野菜作りにも適しており、そのほかに、酪農、和牛生産などの畜産も盛んで、たい肥供給など畜産と連携した地域複合営農を展開しています。

 平成21年3月末現在の組合員数は、正組合員6,214名、准組合員3,167名、合計9,381名、農協の広域合併が進む中では小規模な農協ですが、専業、第一種兼業農家の占める割合が、51.2%(2005年農業センサス)と半数以上を占め、生産意欲の高い農家が多いことから、農協としても事業方針に「営農振興と農家経済の向上」を掲げ、営農、生産、販売を基本とした事業運営を行っております。

 平成20年度の野菜販売額は、たまねぎ35億2千万円、レタス52億3千万円、キャベツ8億2千万円、はくさい7億円、その他野菜5億4千万円の合計108億1千万円となっています。


野菜生産の状況

 作物別の生産状況は図―①のとおりで、連作障害、老齢化、後継者不足など課題はありましたが、行政との連携および支援、営農、生産、販売を基本とした事業展開により生産力の維持を図ってきました。

図-① 主要野菜作付面積の推移

 品目別にみると、面積が一番拡大した品目はレタスで、昭和50年代半ばには、はくさいとほぼ同等の約500ヘクタールでしたが、はくさいは、連作障害(根こぶ病の多発)、食生活の洋風化などによる消費量の激減もあり、消費の伸びていたレタスへの転換を図ったことにより、現在では1,200ヘクタールを超える面積にまで拡大することができました。

 たまねぎについては一時2,000ヘクタール近くあった面積も急激に減少しましたが、現地ほ場に適合した収穫機の導入による収穫作業の省力化、軽作業化を図り面積の減少を抑えました。このように、現地に合った省力化技術の開発・普及により、レタスでは面積拡大、たまねぎでは面積減少に歯止めをかけることができたものと思われます。

 しかし図―②に示すようにレタス、たまねぎともに販売額は40~50億円を超えていましたが、たまねぎについては、平成11年以降15年を除き30億円台に低迷しています。これまでは、生産安定に向けた施策、省力化に向けた取り組みにより生産量を維持することはできましたが、ここ数年の価格低迷に加え、資材費などの生産コストの上昇は、農家経営に大きく影響しています。

図-② 主要野菜販売額の推移

あわじ島農協の野菜安全・安心システムの取り組み

 食の安全性、環境保全への関心が高まる中、平成8年より「安心して食べてもらえる野菜を食卓へお届けしたい」との想いから3A運動を展開してきました。これは消費地に向けて「安全」「安心」「安定」の3つの「安」(A)を提供するために、生産者が「農薬適正使用」「品質向上」「安定生産」の3つの約束を守るというものです。そして平成14年度からは「JAあわじ島安全・安心野菜生産システム」を定め、さらに高度な目標を掲げてきました。

 「安全・安心システム」の概要は、県(淡路農業技術センター、南淡路農業改良普及センター)の指導の下に農協が、効率的、減農薬、適正使用からなる施肥防除基準を生産農家に示し、生産農家はその基準に沿って栽培を行い、栽培管理日誌に農薬の使用状況などの履歴を記帳し、事前に点検を受けてから出荷を行うというものです。また、農協は、残留農薬の自主検査を行うとともに、各農家からは①無登録農薬は使用しない②農薬使用基準の遵守③栽培管理日誌の記帳④農薬の不適切な使用により残留が認められた場合の出荷停止の4項目の遵守について「誓約書」を提出していただいています。

 さらに、①健康な土作りの推進②土壌診断による適正施肥③性フェロモン、黄色防蛾灯による農薬使用量の低減などのほかに、平成20年度からは基礎GAPにも取り組んでいます。

たまねぎ栽培・出荷の状況

 このような取り組みの中で、たまねぎについては、図-③のとおり、労力配分、計画的な出荷、継続的な出荷が可能となるよう早生種に貯蔵性の良い中生、晩生種を組み合わせた栽培品種、栽培体系を導入しています。収穫・出荷は4月から始まりますが、早生種、中生種の一部は収穫乾燥後出荷(即売出荷)を行い、貯蔵性の優れる中生、晩生種については、たまねぎ小屋で風乾貯蔵を行い、7月以降10月まで出荷します。また、晩生種の「もみじ3号」については、特に長期貯蔵性に優れており、7月中旬から8月にかけて冷蔵貯蔵(茎葉、根を切りポリコンテナで貯蔵)し、11月から3月まで出荷しますので、4月の早生種から冷蔵貯蔵の3月までほぼ一年間を通してたまねぎの供給が可能となっています。

図-③ 品種と作型

○:播種 △:定植 □:収穫

 また、平成20年度のたまねぎの販売数量は56,000トン、販売額35億2千万円となっており、出荷先は京阪神市場、京浜市場、中京市場、北陸市場など全国へたまねぎをお届けしています。



たまねぎ機械定植
機械収穫


小学生も収穫作業の応援
たまねぎ撰果作業


吊小屋での風乾貯蔵状況
トラックにより全国へ積み出し

販売戦略について

 近年の野菜販売については価格の低迷、資材費などの生産コストの上昇など厳しい状況が続いておりますが、あわじ島農協の販売などの取り組みの一部を紹介します。

① 価格安定事業の活用

 平成19年度から指定野菜価格安定対策事業の一部が改正されましたが、当産地は、安定的・継続的生産者の作付面積のシェアーおよび計画出荷の実績により、産地区分の第1の認定を国から受け、同事業を最大限に活用しています。

② 消費宣伝活動

 平成20年度は、7月から8月にかけて、テレビ、ラジオのコマーシャルを通じてたまねぎの消費拡大をPRしました。

 また、平成21年度は、早生たまねぎからPRするため、5月からラジオでコマーシャルを放送しています。

③ ISO9001認証取得

 JAあわじ島産野菜のブランド化を確立するため、野菜生産における営農指導と集荷から出荷までの仕組みについて、平成20年4月にISO9001の認証を取得しました。取得後はホームページでの紹介、出荷施設への看板設置、段ボールへの印字、職員の名刺へのISOマークの印字など出荷を行う野菜の品質が確保されていることをアピールしています。

④ 「淡路島たまねぎ」販売協力店の取り組み

 生産農家が丹精込めて育て上げた「ほんまもんたまねぎ」のブランド化を図り、消費地へアピールするため、「淡路島たまねぎ」の良さが分かり、有利に販売していただける「販売協力店」を特定することにより農家所得の向上を目指しています。

 販売に際しては専用ポスター、のぼり、リーフレット、専用ネットなどの資材を活用しており、平成20年度は京阪神、中京地区で15店、21年度は京浜地区にも拡大(4店舗)して進めています。

一言アピール


 「淡路島たまねぎ」は適度に柔らかくて、甘さと辛味(たまねぎ特有の風味)のバランスがいい。生でよし、煮ても焼いても炒めても、どのように調理してもおいしく食べていただける万能選手です。

 また、20年度より兵庫県、JA全農兵庫と連携して「淡路島たまねぎ」ブランド化に向けた試験研究に取り組んでおり、柔らかくて、甘くて、美味しい「淡路島たまねぎ」のおいしさの秘密を研究しています。これらの成果を合わせてさらなるブランド化、農家所得の向上を図っていきたいと思います。

 また、「淡路島たまねぎ」のことはホームページでも紹介しております。ぜひご覧ください。

お問い合わせ先

あわじ島農業協同組合販売部
兵庫県南あわじ市市青木18-1
TEL:0799-42-5210 FAX:0799-42-3188
E-mail:hanbai@ja-awajishima.or.jp
(URL)http://www.ja-awajishima.or.jp/

 
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