[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ

熊本県上益城郡山都町(キャベツ)
中山間地の冷涼な気候を活かしたキャベツ栽培

上益城農業協同組合 第三営農センター
園芸課 西本 勉


産地の概要

 上益城(かみましき)地区は熊本県のほぼ中央に位置し、熊本市に隣接する平たんな地域から九州山地に接する中山間地域まで東西に広がっています。

 年平均気温は平たんな地域で15~16度、中山間地域では13度程度です。年間降水量は2,000~2,300ミリと豊富で河川にも恵まれており、地形的にも気象的にも変化に富んだ地域となっています。

 上益城地区管内には5つの町があり、そのうちの1つで、キャベツの産地である山都(やまと)町は、平成17年2月11日に旧矢部町、旧清和村、旧蘇陽町が合併し誕生した町です。

 山都町の耕地面積は5,410ヘクタールで、そのうち水田が2,870ヘクタール、畑が 2,540ヘクタールを占めています。畑の大部分は飼料用作物や茶畑、クリ園が占めていますが、キャベツは耕種作物の中で主要な作物と位置づけられています。同町の農業粗生産額は全体で70億円ありますが、そのうち野菜が36%を占めて一番多く、次いで畜産が28%、米が22%を占めています。


産地の自然条件

 キャベツの産地は、熊本県上益城郡のJAかみましき第三営農センター管内の矢部地区を中心に形成されています。

 栽培地帯は、標高550~750メートル、年間平均気温12.3度、年間平均降水量2,300ミリの中山間地に位置しており、夏の比較的冷涼な気候を生かした夏秋キャベツの栽培が盛んです。平成20年産の第三営農センター管内のキャベツの系統実績では、部会員18名、作付面積80ヘクタール、出荷量3,200トン、販売高2億円となっています。



図1 記念碑
図2 事業概要図

産地の歴史

 昭和41年に夏秋キャベツ、平成13年には冬キャベツについて、国の野菜指定産地の産地指定を受けて現在に至っています。

 また、昭和48年より国の矢部開拓建設事業が始まり、昭和63年度に畑地かんがいが430ヘクタール(既畑含む)完成し、干害防止と営農の省力化・近代化が図られ、キャベツのより安定した生産が可能になりました。ほかにも、雨除けハウスを利用した夏秋トマト・ミニトマト、夏秋ピーマン、きゅうり、にら、さといもなどの栽培が盛んで、JAかみましき第三営農センターの取り扱いとしては、年間18億円の野菜販売高となっています。

栽培カレンダー

 セル成型苗(田植え用苗箱の大きさに128株のキャベツの苗)の導入が進み、は種は2月上~中旬の時期から始まり、順次10~15日おきに種をまき、30日苗位で順次定植していきます。

 それぞれの農家が、育苗ハウスを持ち、は種機(培土、種まき、覆土が一連作業)や灌水ロボットによる自動灌水を導入し、省力化が図られています。

 10アール当たり40トレイ(1トレイ128株)使用し、約5,000本を植付けます。

 最初の収穫が6月から始まり、市場休市日以外毎日収穫し、出荷は11月まで続きます。出荷は、ほ場で包丁で切り、玉の大きさによって箱詰めし、JA集荷場へ出荷します。

 台風時以外は雨天でもシートを張って箱詰め出荷し、安定供給に努めています。

 近年、梅雨の長雨や夏場のゲリラ的豪雨により、安定した生産出荷が困難な場合がありますが、品種比較試験による優良品種の選定、排水対策、適期防除などによって安定生産出荷体制が確立されつつあります。

 また、周年出荷体制を目指して平たん地域の畑を借り、秋に定植を行い4~5月の出荷が可能となるよう取り組んでいます。


図3 夏秋キャベツの栽培歴


図4 発芽後のセル成型苗
図5 定植適期の苗

生産・栽培の特徴

 品種については、近年「秋徳」から「彩里」、「渓流」、「新藍」に移行しています。

 部会員全員が、たい肥舎を持ち、秋~冬にかけて牛ふん+野草(カヤ)+籾殻などの自家製たい肥をつくり、切り返しを繰り返し1~2年後にほ場に散布します。

 定植時には、たい肥+元肥+リン酸肥料を混合し、たい肥散布機で2条に条施肥し、管理機で2条畦を作り、半自動移植機で定植します。たい肥散布・畦作りは男性、半自動移植機による定植作業は女性と役割を分担しています。

 肥料の高騰対策として、減肥技術が話題となっていますが、当地区のキャベツ生産では3~4割減肥の条施肥を実践しておりますので、窒素成分で10アール当たり10~13キログラム(元肥+追肥)になっています。

 定植後2~3週間で追肥をし、管理機で除草をかねて中耕培土します。その後は必要に応じて適期に病害虫防除を行い安定生産に努めています。

 収穫後は、麦類、ソルゴーなどの緑肥を作付けし、冬~春にプラソイラーによるプラウ耕を施し、排水対策や土づくりに励んでいます。


図6 たい肥舎


図7 たい肥散布機とたい肥散布状況
図8 追肥後すぐ中耕培土


図9 プラソイラー
図10 プラウ耕状況

販売状況

 当地区のキャベツは、平たん地域で栽培されたものが4月下旬から出荷がスタートし、6月から高冷地ものへ移行します。出荷のピークは7月~10月で、日量約40トンが出荷されます。

 生産者は毎朝5時頃から収穫を行い、ダンボールにつめて集荷場へ持ち込みます。その後真空予冷を施した後、各市場へ出荷されます。出荷先は、県内を中心に福岡県、長崎県、山口県です。

 販売面でこだわっていることは、何と言っても「鮮度」です。生産者が当日朝収穫したものを、翌日には消費者の元へ鮮度が落ちないうちに届ける事ができればと日々努力しています。また、相対取引についても、翌日に確実に届けられる取引先を選定し常に鮮度にこだわった販売を心がけています。

 ここ数年、気象災害などで思うような出荷ができない状況にありましたが、昨年については梅雨も例年より早く空け、また、台風の襲来もなかった事から、安定した出荷となり、前年を大きく上回る出荷ができました。本年も、多くの消費者の皆様に、新鮮なキャベツをお届けできるよう、生産者と共に頑張って行きたいと考えています。



図11 定植後の状況 
手前は2条畦立機シートはたい肥散布機

図12 生育中のキャベツ

一言アピール

 当地のキャベツは、冷涼な気候の中山間地で、生産者が腕によりをかけて生産しています。

 生産者のほとんどがエコファーマーを取得しており、減農薬・減化学肥料による生産に取り組んでいます。このような環境で生産されたJAかみましきのキャベツです。生で美味しい、炒めて美味しい、そして何と言っても鮮度の良さが売りです!

 よかならいっぺん食べてみてはいよ!

お問い合わせ先

上益城農業協同組合 第三営農センター
住所  熊本県上益城郡山都町浜町184番地
電話  0967-73-1250
FAX  0967-72-3537

 

今月の野菜「キャベツ」 

今月の野菜
元のページへ戻る


このページのトップへ