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愛媛県(そらまめ)
隅々まで手が届く小さな産地ならではの長所を発揮

全国農業協同組合連合会愛媛県本部
営農販売部 営農振興課 副審査役 岩見 隆


愛媛県の概要

 愛媛県は総面積が5,676平方キロですが、そのうち森林面積は4,006平方キロで総面積の71%を占め、耕地面積は556平方キロで同じく9.8%を占めています。

 愛媛県の北側に広がる瀬戸内海は、南北に四国山地と中国山地、東西に本州と九州に囲まれています。このため、瀬戸内海沿岸地域は、夏冬の季節風に対して常に山地の風下側に当たるため、年間降水量は1,100~1,500ミリと少なく、年間平均気温は16度前後と比較的温暖な半海洋・半内陸性の瀬戸内気候を有しています。一方、県の南西部の宇和海沿岸地域や山間部は、瀬戸内海側と異なり、年間降水量も1,600~2,000ミリと比較的多く冬には積雪もあり、この雨や雪は、降水量の少ない瀬戸内海沿岸地域にとっては貴重な水資源となっています。

 平成18年の愛媛県の農業産出額を見ると、1,300億円ですが、そのうち野菜は207億円(16%)を占めています。



※クリックすると拡大します。
愛媛県内の農畜産物マップ(JA別)

愛媛の野菜の特徴

 愛媛県の野菜の産地は、他県に比べ産地の規模が小さいことから、生産される野菜は、少量多品目の生産となりますが、県内JAの産地リレーによる周年供給に取り組み、京阪神地域や県内を中心に消費宣伝活動や企画販売などを通じて「えひめ野菜」の知名度の向上と有利販売に努めています。

 このような愛媛の野菜の中で、「一寸蚕豆(いっすんそらまめ)」は、京浜市場主体に出荷している数少ない品目の一つです。

愛媛の一寸蚕豆とは

 南国四国の温暖な気候の中で元気にすくすく育った愛媛の一寸蚕豆。「えひめの青春そらまめ」をキャッチフレーズに、5月を中心に出荷時期を迎えます。

 もともと、愛媛のそらまめは、水稲の裏作として松山市周辺の道後平野を中心に古くから栽培されてきました。15年ほど前からは比較的収量が安定し味の良い品種の「陵西一寸(りょうせいいっすん)」が導入され、現在の主力品種となっています。早期に出荷するために種子に低温処理(種子を植え付け前に一定時間冷蔵庫に入れ、そらまめに冬を越したと錯覚させる方法)を施した栽培法も一部普及しています。


一寸蚕豆のほ場の風景

県下の栽培状況

 現在愛媛県下では、主に以下の9JAがそらまめの系統共販に取り組んでいます。

 まず4月中旬から、県南部のJAえひめ南(愛南町)から出荷が始まり、県中央部の松山市周辺のJAえひめ中央(伊予市他)、JA松山市(松前町他)へと移行し、5月上旬に出荷のピークを迎えます。その後、産地は県東部へと移行し、JAおちいまばり(今治市)、JA周桑(西条市:旧丹原町)、JA東予園芸(西条市)、JA西条市(西条市)、JA新居浜市(新居浜市)、JAうま(四国中央市)へと続き5月下旬には出荷が終了します。

 平成20年度の系統共販の作付面積は、52ヘクタールで、共販実績は725トンでした。平成19年度の実績(作付面積53ヘクタール、共販実績828トン)と比較すると、作付面積、共販実績ともにわずかながら減少しましたが、平成21年度は、作付面積が54ヘクタール、共販出荷量が850トンとわずかながら増加を見込んでいます。

集出荷体制

 一寸蚕豆は、時間の経過とともに急速に品質や食味が落ちていくため、鮮度が命となります。若採りを避けて実の充実したものを適期に収穫し、JAの冷蔵庫から保冷車により市場に出荷されます。

 そらまめの選果や選別作業は、各生産農家が県下統一の出荷規格に基づき行います。選別・箱詰めされたそらまめは、JAの集荷場に集められ、1箱ずつ検査を受け合格したものが出荷されます。そのため、1箱ごとにバラツキが出ないよう目揃え会を開催し、周知徹底を図っています。愛媛の真面目な農家が真心を込めて1箱ずつ荷造りをして、消費者の皆様に初夏の香りと味を楽しんでいただけるように頑張っています。もちろん農薬使用基準を遵守し、生産履歴の記帳などの徹底を図り、安心・安全を心がけているのはいうまでもありません。

愛媛の一寸蚕豆の市場評価

 そんな愛媛の一寸蚕豆は、約8割を出荷している京浜市場において、5月初めまでの鹿児島県産と5月下旬からの千葉県・茨城県産の間を埋める重要な位置を占めています。長年培ってきた選果選別の徹底が認められ、市場では品質面で高い評価をいただいています。隅々まで手が届く小さな産地ならではの長所を発揮していきたいと考えています。

愛媛の新品種「愛のそら」

 一寸蚕豆といえば「陵西一寸」が全国的にも有名な品種ですが、愛媛県では一昨年より愛媛県農林水産研究所で育成された新品種「愛のそら」の栽培にも取り組んでいます。「愛のそら」は良食味の一寸蚕豆として全国的に知られた愛媛伝統野菜の「清水一寸」の特徴を受け継ぎ、収量・品質が安定して高いことを目標に交配・選抜を繰り返して生まれました。大粒で、食べると口の中にほのかな「甘み」が広がり、食感はサラッとした粉質の良食味の一寸蚕豆です。まだまだ試験栽培の域を出ませんが、愛媛県独自の品種として育てて行きたいと考えています。


新品種の「愛のそら」を紹介したパンフレット

簡単絶品レシピ

 簡単でおいしい一寸蚕豆の食べ方といえば塩ゆでが一般的だと思いますが、愛媛の産地では最近、さやのまま炭火、またはフライパンで焦げ目がつくまで焼いた「焼きそらまめ」も好評です。レシピを参考にぜひ味わってみてください。


そらまめのレシピ

一言アピール

一寸蚕豆にはビタミンB類やミネラルが豊富で栄養的にも優れた食品です。愛媛の真面目な農家が真心込めて育てた一寸蚕豆です。南国愛媛の太陽をたっぷり浴びて、元気に育った「えひめの青春そらまめ」、初夏の香りをお届けします。「いっぺん食べとぉみぃ。がいに(とっても)うまいぞな、もし!」

お問い合わせ先

全国農業協同組合連合会愛媛県本部 営農販売部 青果販売課
〒790-8555 愛媛県松山市南堀端町2番地3
TEL 089-948-5772
FAX 089-948-5779

 
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