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みなべいなみ農業協同組合(さやえんどう)
トレーサビリティシステムの構築により、
品質の安全・安心の確保に努めています


みなべいなみ農業協同組合
営農販売部 部長 堀 泰明


産地の概要

 JAみなべいなみ管内は、紀伊山地の西端から太平洋沿岸にかけて、和歌山県の中央部に位置し、年平均気温は16.5度、平均降水量は1800ミリ、日照時間も長く、黒潮暖流の恩恵を受けている地帯です。

 みなべ町は梅を代表とする果実類の生産が多く、一方の印南町は野菜の生産が盛んです。どちらも恵まれた気象条件を生かした園芸作物の産地となっています。

 みなべ町および印南町の農業産出額は図1のとおりです。


図1 みなべ町および印南町の
平成18年度農業産出額計(平成18年度 116億円)


資料:農林水産省ホームページ「市町村の姿」

産地形成の歴史

 さやえんどう(絹さや)の導入は、1920年代に旧切目村崎山の人によって行われました。昭和30年末に育成された品種「マストラ」は、戦後の食糧不足に貢献したかんしょに替わって栽培が増加しました。「マストラ」という名は、育成した木下虎蔵が家の屋号桝屋と名前の虎から付けたといわれています。

 この他に「崎山系」や「村上系」といった系統の品種も栽培されていたようです。

 昭和45年頃には、仁村種苗より育成された「乙女」が栽培され、その後、昭和47年に「白姫」という品種が導入されましたが、さやが舟形に曲がる欠点があったため、昭和56年頃より現在の「美笹」に代わっています。昭和47年以降は、ハウス栽培も導入されました。

 現在、JAみなべいなみ豆部会には、600戸の農家が結集しており、さやえんどうに関しては、農家数370戸、栽培面積25ヘクタール、出荷量380トンと日本でトップクラスの出荷量を誇っています。

生産栽培上の特色

 温暖で、太陽の光をいっぱいに受けている地域の気象条件を生かし、ハウス栽培をはじめ、露地の作型を組合せ、秋から春までの長期出荷を実現しました。(産地栽培カレンダー)

産地栽培カレンダー

○播種、△収穫、 ビニール被覆

 また、消費者の関心が非常に高い安全・安心な農産物について、消費者の要望に応える為、日々努力しています。

 さやえんどうは、連作栽培を嫌う代表的な作物です。連作障害を克服する為、薬剤を使った土壌消毒を行っていましたが、太陽熱処理への取り組みが始まり、害虫の発生予察をかねてフェロモン剤を利用したフェロモントラップや捕虫粘着シートをほ場に吊り下げたり、ハウスに防虫ネットを張ったりして安全・安心な農産物の栽培を心がけ、たくさんのお客様に食べていただけるように頑張っています。

 さやえんどうの根は、深根性で酸素要求量が高く土壌障害に弱い特徴があります。そのため、たい肥の投入を行い土づくりに努めています。また、立ち本数を制限する整枝栽培にも取り組み、さやに光をいっぱいに当てる栽培方法にも取り組んでいます。(図2、3、4、5)

 また、トレーサビリティについては、いち早く取り組みシステム化を行いました。栽培者は、農家に設置された端末から農薬散布の状況を入力し、JAで集中的に検証しています。



図2、図3 ほ場でのさやえんどうの栽培風景


図4 ハウスとほ場でのさやえんどう
図5 ハウス整枝栽培風景

出荷の工夫

(1) 出荷期間の拡大および安定供給のため、施設栽培での長期出荷を主軸に、露地栽培では年内どり・冬春どり・春どり作型を組み合わせて、10月から4月までの出荷体制をとっています。

(2) 予冷を行い、鮮度保持に努めています。

(3) 目揃え会を開催し、品質の安定に努めています。
 生産者の販売対応への周知を行うため、定期的に管内9カ所で説明会を開催しています。

(4) 顧客ニーズに合った荷受け体制・出荷体制への対応を行っています。
 従来からある2キログラムダンボール詰めに加え、1キログラムスチロール詰めの規格を設けています。年間注文品については、コンテナ出荷も行っています。

 また、次のようなユニークなさやえんどうを提供しています。
○ アベックサヤ(ダンボール詰め):2つのさやがくっついたもの。ボリュームがあり箱詰めしたときの通気性に優れています。
○ ひとサヤ(スチロール詰め):生産者の登録制による高級品志向に対応できる若採りしたもの。

(5) 一元集出荷体制をとり、品質の統一並びに流通の効率化に努めています。

販売戦略

(1) 契約販売への取組み
 顧客に求められる体制づくりを生産・流通・販売が連携して構築し、特定の顧客に、12月から4月まで数量・価格を設定し取引を行っています。顧客にとっては数量の確保と販売価格の安定、生産者にとっては再生産価格の実現と栽培時期の調整による労働力の配分ができるメリットがあります。

(2) 販売促進活動への取り組み
○ 他の産物との連携による産地の知名度向上や商品の利用方法の説明などを行い、顧客調査や消費動向調査、PRを行います。
○ 重点顧客との新しい取り組みを計画、実行しています。


図6 収穫された緑鮮やかなさやえんどう

一言アピール

 和歌山のさやえんどうは2つずつ、つながっていることから「アベックサヤ」の愛称があります。自然の緑色、それはまさに栄養の宝庫です。さやにはカロチン、ビタミンC、種子にはリジンなどのアミノ酸が豊富に含まれています。バター炒め、卵とじ、中華料理に幅広くご活用下さい。

お問い合わせ先

みなべいなみ農業協同組合 営農販売部
Tel 0739-72-2650
Fax 0739-72-4586
http://www.ja-minabeinami.com/menu/menu.htm

 
今月の野菜「さやえんどう」 

今月の野菜
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