産地概要
日本のほぼ中央に位置する愛知県。田原市は愛知県の南端部の渥美半島に位置し、年間平均気温16度、降水量1700ミリメートルと四季を通じて穏やかで、農業に適した自然条件を備えています。
こうした自然条件を背景として、昭和43年に豊川用水が通水して以来、農業の近代化が図られ、その結果、花き・青果を中心とする施設園芸や露地園芸が発展しました。
露地野菜においては、キャベツ、ブロッコリーなどが栽培され、冬の渥美半島の畑はどこも緑色に染まります。
一方、大消費地名古屋と首都圏・関西圏の3大市場を近くに持つとともに、太平洋ベルト地帯に沿って交通・情報網の発達したところでもあります。
当JAの田原洋菜部会のブロッコリーの栽培概要は表1のとおりです。
ブロッコリーの栽培カレンダー
生産・栽培上の特徴
(1) 栽培講習会や現地研究会を通じて栽培技術の高位平準化を図り、部会全体の品質や生産性の向上に努めています。
栽培講習会には、卸売会社も参加し、卸の担当者から消費地販売情勢や優良品種情報の説明を受けます。また、セル成型苗を使った機械定植も広まり省力化が進んでいます。
(2) 輸入品との差別化や出荷調製作業の省力化のため、葉つきブロッコリーの栽培を推進しています。
葉つきブロッコリーの栽培は、平成5年度から取り組み始めました。
(3) たい肥を活用した土づくりを推進しています。
近隣の畜産農家と連携し、双方にメリットのある取り組みを行っています。ブロッコリー農家にとって地力を高めることになり、畜産農家にとってはたい肥の有効活用ができています。
(4) 病虫害発生予察情報を活用した防除指導を行っています。
病虫害発生予察情報はフェロモントラップや捕殺板による情報を元にしています。
(5) 展示ほ設置による品種試験の実施と優良品種の導入を進めています。
長期出荷を実現するためには、品種リレーによる出荷が欠かせません。そこで優良品種の選定と産地への定着のため展示ほを設置しています。普及課・経済連・JA・生産者・種苗会社が連携をとって進めています。
(6) 黄色い旗運動を実施しています。
収穫2週間前に、ほ場へ黄色い旗を立て、収穫間近であることを周囲の農家へ知らせます。
周囲の農家は農薬散布する際、黄色い旗の立っているほ場へドリフト(飛散)しないよう注意しています(写真1)。
出荷の工夫
(1) お客様へ安定して供給するため、冬どり作型と春どり作型を組み合わせ、10月から5月までの長期出荷体制をとっています。
品種の特性を生かした作型の組み合わせについては、部会のなかで取り決め、計画生産・出荷の実現に向け努力しています。
(2) 朝どりや予冷を行い鮮度保持に努めています(写真2)。
高温期(10月~12月上旬と4月~5月)については、収穫を朝に限定するとともに、予冷をかけて出荷しています(写真3)。
(3) 目ぞろえ会の開催により選別の徹底を図っています。
年4~5回開催し、生産者の認識の統一を図り品質の均一化に努めています。
(4) 顧客ニーズに沿ったなかで、出荷作業の軽減を目的とした出荷形態への対応を行っています。
従来からある3キログラム縦詰め規格に加え、5キログラム横詰め・8キログラム葉つき規格を設定しました。さらに一部でコンテナ出荷も行っています。その特徴は次のとおりです。
○5キログラム横詰め:3キログラムに比べ花蕾のボリュームがあり、箱詰め作業の省力化が可能(写真4)。
○8キログラム葉つき:横詰め以上に作業性がよく輸入物との差別化が可能(写真5)。
(5) 一元集荷体制をとり輸送の効率化に努めています。
販売戦略
(1) 契約販売に取り組んでいます。
特定の顧客に、1月~3月の間一本の価格・数量で取り引きしています。生産者にとっては再生産価格が実現できるメリットがあり、顧客側は数量・価格が確約されているメリットがあります。
ただし、価格設定の難しさがあり価格が高いと契約数量が減ってしまうため実施効果が薄くなるといった課題があります。
(2) 加工向販売に取り組んでいます。
下位等級品を給食向けに取り引きしています。課題はスポット的取り引きになってしまい、安定した取り引きになっていないことが挙げられます。
(3) 消費宣伝を随時行っています。
主に、キャベツ、トマト、いちごなどとセットでPRしています。
量販店やイベント会場において、JA愛知みなみフェアあるいは愛知フェアを開催して消費拡大に取り組んでいます。
消費者の皆様へ
お店で購入される場合は、
○緑が濃く、中央がこんもりとしていて、つぼみが小さく締まっているものをお選びください。
○紫がかったものは、アントシアンという色素が出たもので、ゆでると緑色になり、味も変わりません。
○ブロッコリーは鮮度が重要です。お買い上げ後は早めに調理してください。
○保存する場合は、ポリ袋に入れ冷蔵庫で保存するようにしてください。
料理レシピの豆知識
○おすすめは、天ぷら。衣をつけて揚げることで栄養素や旨味が閉じ込められ、ビタミンCを逃がさず食べられます。
○ブロッコリーの茎は柔らかく甘いのできんぴらやギョーザの具にして活用しましょう。浅漬けにしても美味しく食べることができます。
一言アピール
市町村別では田原市が全国一の生産量を誇っています。(平成18年産)量だけではなく、品質も全国トップの産地を目指して努力を続けています。ぜひ、愛知県田原産をご賞味ください。厳寒期に生育したブロッコリーは甘さが違います。
お問い合わせ先〒441-3427
愛知県田原市加治町稲場53番地の1
愛知みなみ農業協同組合 田原集荷センター
電話:0531-23-2323 FAX:0531-22-0168
ホームページアドレス http://www.ja-aichiminami.or.jp/