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熊本県菊池地域(ごぼう)
名水で栽培された色白で柔らかい、 香り豊かな菊池水田ごぼう

菊池地域農業協同組合
営農部園芸特産課調査役 甲斐 浩


産地の概況

 菊池地域は熊本県の北東部に位置し、東部並びに北部は、阿蘇外輪山系を有する中山間地、西部並びに南部は菊池川、白川流域に広がる台地、平野部であり、自然豊かな地域です。交通網は、国道を中心に道路網が整備され、南端に57号、南北に325号、387号が走り、西端を九州自動車道が走っています。また、南端には、空の玄関口である熊本空港があり、農畜産物の輸送に大きな役割を果たしています。

 年平均気温15度、年平均降雨量は2,075ミリメートルで比較的温暖ですが、夏は暑く、冬は冷え込みが強い盆地型気候の厳しい一面もあります。管内を作物別に地帯区分すると、菊池川流域を中心とする菊池・七城の水田地帯、旭志・泗水を中心に畜産地帯、さらに菊池・旭志・大津の中山間地での特産、大津・菊陽における露地野菜、また、合志・西合志を中心に施設園芸と、さまざまな農畜産物を生産しています。管内の農業用施設についても、地域の特性を生かし作物別に総合集荷施設を設け、地区を越えた集出荷体制を確立しています。


産地の歴史

 昭和40年の旧菊池市農協合併当時、ごぼうは畑地で栽培されていましたが、連作障害など問題を抱えていました。そこで、対策として試験的に水田での栽培を検討したところ、柔らかく、香り豊かなごぼうが生産できることがわかり、本格的に水稲の裏作として導入することとなりました。栽培開始から2年後の昭和42年には共販がスタートしたものの、当時の水田ごぼうは根長が短く、本来のごぼうとしてのイメージとは大きくかけ離れたものであったため、消費が伸びず厳しい船出となりました。そこで、昭和44年にトレンチャーによる深耕を試みたところ問題は解消され、水田ごぼう本来の香りと柔らかさが受け、消費者に認知されるようになりました。その後、昭和45年には品種の変更を行い、昭和55年には出荷資材を段ボールに切り替え、昭和57年には、ついに関東進出を果たしました。現在、管内では生産農家124戸、栽培面積140ヘクタール、生産量1,800トンとなっています。

生産・栽培上の特色

(1) 土作り、減農薬栽培
管内は、西日本でも有数の畜産地帯であり、畜産農家との稲ワラ交換によるたい肥利用を基本として、減化学肥料栽培に取り組んでいます。また、湛水田裏作による減農薬栽培の実践も行い、「安全」・「安心」なごぼう栽培に努めています。

(2) 省力化の推進
  以前の水田ごぼう栽培は、一般的な露地野菜に比べて2倍以上の労働時間を要していました。このために土地利用型の栽培が難しく、1戸当たりの平均栽培面積は50アール程度とやや集約的な管理となっていました。そのため、水田ごぼうにおいても他の品目と同様、高齢化の波に押されて平成5年をピークに徐々に陰りがみえはじめました。そこで、平成14年度から機械化一貫体系を見据えた省力化を推進し、県単独事業を利用し平成15年度に収穫機、平成17年度には種同時マルチャー、平成18年度に葉切り機、平成19年度には選別機の導入を行いました。その結果、1戸あたりの平均栽培面積は1ヘクタールに増え、現在の生産量が維持されています。

(3) 新たな作型の取り組み
  従来、管内の水田ごぼうは3月~6月出荷の作型でありましたが、平成13年度より冬場の収益確保と休耕田の利用を目的として、12月~2月出荷の作型に取り組みました。この作型は、8月下旬~9月上旬の残暑が厳しい時期には種するため発芽率が落ちやすく、また、害虫の多い時期でもあることから色々な問題がありましたが、年々栽培技術が向上したことにより、平成20年度には栽培面積35ヘクタールまで増やすことができました。もちろん、この作型も安全・安心ということを念頭に栽培前3カ月以上にわたって、作付ほ場に水を張り、土壌消毒を行わずに栽培されています。

産地栽培カレンダー JA菊池水田ごぼう栽培暦

※クリックすると拡大します。


畜産農家との稲わら交換
たい肥散布作業


ごぼう収穫機
ごぼう葉切り機


12月~2月出荷の栽培風景
3月~6月出荷の栽培風景

出荷の工夫

 高付加価値をつけるために、洗浄後に灰汁抜き作業(真水で行う)をし、袋詰めして洗いごぼうの姿で出荷・販売しています。しかし、例年5月中旬頃から高温などが原因で腐敗が発生します。そこで、平成18年度に国庫事業を活用して集荷場に予冷施設を整備しました。その結果、腐敗も大幅に減り、出荷期間全般を通して鮮度を保ったまま消費地へ届けられるようになりました。



灰汁抜き作
予冷施設

販売戦略

(1) 「市場集約」による販売力の強化
出荷市場の見直し・集約を行い、出荷ロットの拡大、安定出荷を図り、「市場取引における販売力強化」に取り組んでいます。

(2) パッケージ・加工など付加価値を追及した「市場外流通」の展開
  多様な消費・実需・流通ニーズを踏まえ、パッケージマシンによる出荷対応や農産物の加工販売による「付加価値を追求する販売」に取り組んでいます。

(3) 「インターネット」を利用した販売
  管内で生産された農産物を、「ちょっと贅沢な贈り物」とネーミングし、季節ごとに全国に発送しています。

(4) 海外市場を視野に入れた「農産物輸出販売」の展開
  管内で生産された農産物・加工品を行政・JAグループなどと連携し、海外市場への「農産物輸出販売」に取り組んでいます。

(5) 女性部による「試食宣伝販売会」の強化
  生産者であると同時に、毎日の食卓を守る消費者でもある女性部会員による、水田ごぼうのPR、さらに消費地での女性同士の会話からいち早く消費者ニーズを的確につかみ、そこで得られた情報を部会へくまなく報告することで、部会発展の大きな原動力になっています。



試食宣伝会
試食宣伝会
一言アピール

熊本県名水100選にも選ばれた、菊池水源の水系から流れる清らかな水で育った、食物繊維がたっぷりで、色が白く、柔らかく、香り豊かな「菊池水田ごぼう」を是非、ご賞味下さい。

お問い合わせ先

菊池地域農業協同組合 営農部 園芸特産課 調査役 甲斐 浩
〒869-1205 熊本県菊池市旭志川辺1875番地
TEL0968-23-3202 Fax0968-37-3840
e-mail:ja-mamma@proof.ocn.ne.jp

 
今月の野菜「ごぼう」 

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