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福島県会津地区(アスパラガス)
太くて甘い「会津アスパラ畑」を栽培しています。

JA全農福島県本部 会津営農事業所
園芸センター 渡辺 政重


産地の概要

 会津地区は、福島県の西部に位置し、山形県、新潟県、群馬県、栃木県と接し、喜多方市、会津若松市の2市と耶麻郡、南会津郡、河沼郡、大沼郡で構成されています。地形的には、奥羽山脈と越後山脈にはさまれています。気候は、日本海側の気候で、夏は、山間部では涼しく、平地では、盆地のため蒸し暑くなります。冬は、たくさんの降雪があります。年間平均気温は11.4℃、年間平均降水量は1,133.8mmで、福島県の中では、気温がいちばん低いので、冷涼な地域といえます。

 会津地区は、稲作のほか、きゅうりやトマト、アスパラガス、いんげんなどの園芸作物の栽培を行っています。当地区全体の販売金額は、米穀6割、次いで、きゅうり、トマト、アスパラガスの順番で、アスパラガスは、全体の4%程度となっています。当地区では、冷涼な気候を生かしてアスパラガスを含めた園芸作物の栽培を行っています。


福島県のアスパラガスは、95%以上が会津地区から出荷

 この地区で、アスパラガスの栽培がはじまったのは、ホワイトアスパラガス栽培がきっかけで、稲作からの転作品目として露地のグリーンアスパラガス栽培が増加したといわれています。現在、管内のJAは、JAあいづ、JA会津いいで、JA会津みどり、JA会津みなみの4JAで、アスパラガス部会員は、約1,500名です。部会員がいちばん多いのは、JA会津いいでで、部会員は650人です。生産者の年齢層は60~70代が中心ですが、若い人もおり、若い人は1人当たりの作付面積が大きく、アスパラガスを1ha栽培している人もいます。

 現在、福島県内で栽培されているアスパラガスのうち、95%以上は会津地区から出荷されています。図1のとおり、3月下旬から10月上旬にかけて出荷しており、長野県、北海道、佐賀、長崎と並ぶ主力産地のひとつになっています。福島県の平成19年度の販売実績は、出荷数量は1,593t、販売金額は13億円で、平成16年度と比較すると、数量、金額ともに110%となっており、増加傾向を示しています(表1参照)。


図1 平成19年度 東京都中央卸売市場 アスパラガス入荷実績
※クリックすると拡大します。

表1 福島県産 アスパラガス販売実績

 20年度の会津地区の栽培面積は304ha(計画ベース)で、19年度と比較すると、今年は、5%伸びています。

 会津地区を中心に県内各地で、アスパラガス栽培の機運が高まっており、毎年、アスパラガスセミナーを開催し、生産者が栽培技術を習得するために、JAは先進地区から講師を招き優良事例を報告したり、労力軽減・単収向上の目的でアスパラガス栽培マニュアル(冊子)を作成するなどの取り組みを行っています。また、福島県会津農林事務所では、会津管内のJAアスパラガス担当者によるアスパラガス推進チームを立ち上げ、生産現場での収量向上や病害虫等の問題解決、出荷・流通段階での品質向上、販売面でのPR商品開発など、アスパラガスに関する問題を会津地区全体で改善する取り組みを行っています。

栽培の概要~品種は、ウエルカムが中心~

 前述したように、京浜地域の市場を中心に、3月下旬から10月上旬にかけて出荷しています。栽培品種はウエルカムが中心です。

 最近のアスパラガスの栽培は、長期二期どり栽培が行われていて、春に地下部の貯蔵養分を使って萌芽している若芽を収穫する「春どり」を行い、その後春どり打ち切り後に茎を伸ばし、茎葉を繁茂させながら、萌芽してくる若茎を収穫するという「夏秋どり」の2回の収穫をこの地区でも行っています。毎年、11月になると、根を残して葉を刈り取りします。

 アスパラガスの特徴としては、苗を定植してから出荷できるようになるまで丸2年間、株養成(地下にある根部を肥大)させる期間が必要ですが、平均7~10年は収穫適期となります。毎年全体の1割から2割にかけて、株の更新を行っていて、5月になると、新しい苗を定植します(写真1)。苗は、JA等から購入します。

 3月から4月にかけて出荷するものは、ハウス栽培で行っています。ハウス栽培では、2月になったらハウスにビニールをかけ始めますが、積雪が1メートルぐらいあるので、除雪をしながら、行います。芽がでる直前には、株開きといって秋に土盛りした土を5センチほど残してどかすという作業を行い、芽を出やすくします。その後、土からニョキニョキと芽がでてきて、一週間近くで収穫となります。早いと3~4日で収穫することもあります。ハウス栽培ものは、出荷のピークを4月に迎えますが、それ以降10月上旬まで収穫が続きます。

 露地栽培ものは、4月末からが出荷となります。出荷のピークは5月ですが、その中でも特にゴールデンウィーク前後がピークとなり、また、太くて甘い一番勢いのあるアスパラガスが出荷されます(写真2)。その後、10月上旬まで収穫は続きます。



写真1 グリーンアスパラ セル苗
写真2 グリーンアスパラ露地写真


図2 主な栽培体系

 最近は、グリーンアスパラガスだけではなく、アントシアニンを含む紫アスパラガスやホワイトのアスパラガスを栽培している生産者もいます。紫は、見た目とゆでたときの甘さが特徴ですが、グリーンより少し収量がおちます。このためどうしてもグリーンより単価が高くなるのですが、最近各地で紫が増えてきて、期待するほど単価が上がらない状況になっています。ホワイトについては、遮光被覆するため、資材の初期投資が必要で、生産者が限られますが、最近は、地区内において、グリーン、紫、ホワイトを作り3色セットで販売しているJAもあります。

平成18年よりアスパラガスの選果施設が稼働

 収穫のピーク時期は、朝日が昇る前のまだ暗い時間から収穫を始め、夜遅くまで調製・選果選別・出荷作業(長さを切り揃え、各等階級に分け、150gに束ねる作業)が続く生産者にとって過酷な季節です。

 このような厳しい労働環境を改善し、これまで以上に会津産アスパラガスの生産振興を図ることを目的として、平成18年4月に会津地区4JA(JAあいづ、JA会津いいで、JA会津みどり、JA会津みなみ)の共同でアスパラガスの選果を行う会津アスパラガス広域選果施設を稼働させました(選果場実績は表2)。

 この施設では、生産者が午前中に収穫し荒選別をしただけの状態のアスパラガス(写真3)を午前中に選果場に持ち込み、自動選果機にて選果選別・結束します(写真4)。規格は、A3LからBSまで、8規格あり、1束5~8本程度のALがいちばん多く出ます(表3)。

 東京の卸売市場を中心に「会津アスパラ畑」(写真5)というネーミングで出荷しています。この選果施設の導入によって、これまで寝る間も惜しんで出荷調製作業にあたっていた生産者の労働時間が軽減されただけでなく、その時間を規模拡大や圃場管理に転換することができるため、増反・単収アップが見込まれます。選果場は、3月下旬から10月上旬まで稼働しています。現在の選果場利用者は、全出荷量のうちの3割程度ですので、利用率の拡大を図ることが、今後の課題となっています。

表2 会津アスパラガス広域選果施設 稼動実績

※平成20年は5/31までの実績

表3  規格表

販売戦略

 当地区のアスパラガスは、市場流通が主で、ほとんどが京浜地区に出荷されます。

 毎年、5月には、卸売市場と取り引きのあるスーパーで、傘下JAによる消費宣伝を行っています。当地区のアスパラガスを消費者が直接食べて旬を感じてもらっています。

 また、地元の学校給食にグリーンアスパラガスを提供し、子どもたちに喜ばれています。

 このように会津地区のアスパラガスをさらに消費者などに知ってもらうため、様々な取り組みを行っているところです。


写真3 広域選果場に持ちこまれたアスパラガス



写真4 広域選果場の選果ライン
写真5 太くて甘い「会津アスパラ畑」

一言アピール  寒暖の差が大きい会津地区で栽培されたアスパラガスは、やわらかく甘味があります。とくに5月のゴールデンウィーク前後にとれるアスパラガスは、太くて食べ応えのあるアスパラガスです。

 塩ゆで・ベーコン巻き・ホイル焼き・サラダ等、どんな料理にも向き、この時期に欠かせない春野菜のひとつとなっています。

 しかも、アスパラガスには疲労回復・滋養強壮に効果があるといわれるアスパラギン酸が含まれていますので、ぜひ当地区のアスパラガスをご賞味ください。

お問い合せ先
JA全農福島県本部 会津営農事業所 園芸センター
〒965-0076 会津若松市高野町大字中沼字東坂才甲594
TEL 0242-25-0821 FAX 0242-25-1647
URL:http://www.fs.zennoh.or.jp/?

 

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