ちばみどり農業協同組合 営農センター干潟
販売課長 石毛 美津男
1.産地の概要
JAちばみどりは千葉県の最東端に位置し、平成13年1月1日に銚子市、旭市(旧旭市、飯岡町、海上町、干潟町)、匝瑳市(旧八日市場市、野栄町)、横芝光町の一部(旧光町)の3市5町の5JAが広域合併した農協で総耕地面積は17,550km2、東西32km、南北20kmで首都圏から100km圏内にあります。
旭市は九十九里海岸に接する「海岸砂地地帯」と、広大な干潟耕地を含む「沖積平坦地帯」、およびその後背地に位置する沖積関東ローム層地帯の「北総東部台地地帯」に大別でき、干潟地区は「沖積平坦地帯」と「北総東部台地地帯」に属します。台地の畑土壌は火山灰土、土質は壌土、地力は中程度で表土の深さは20cm~25cm程度で、有効土層の深さは1m以上に達し、地下水が低く地力が高い土壌です。
気象条件としては年平均気温で15℃前後、年間降雨量は1,600mm前後で、積雪はほとんど見られない温暖な気候です。
2.農業の概要
当JA管内の旭市干潟は畑作農業が中心で、特にビニールハウスによる施設園芸が盛んな地域です。北の標高40m~50mの台地では根菜類のやまといも、南の標高2.5m~5mの水田地帯では、昭和40年代頃の水田転作品目として始まったしゅんぎく・ししとう・白瓜、砂壌土地帯では、きゅうり・ミニトマトの栽培が盛んです。
3.栽培の概要
当地区は、「干潟八万石」と呼ばれる有数の穀倉地帯であり、水田を昭和38年頃に基盤整備し、裏作にしゅんぎくを取り入れ栽培したのが、当地区におけるしゅんぎく栽培の始まりです。
栽培技術もトンネルの2重被覆栽培方式から始まり、現在は無加温のパイプハウス、鉄骨ハウスを利用した冬とり長期摘み取り栽培が中心です。
毎年9月中旬頃、生産組織を中心に種苗メーカー・農林振興センター・全農営農部を招き、栽培講習会を行っています。肥培管理、病害虫防除等について開講し、安全で安心な高品質のしゅんぎくを栽培する意志統一を行っています。
栽培は、直播き方法と移植方法の2通りがあり、は種は9月下旬から10月上旬頃の収穫始まりに、連日出荷できるようにずらしては種を行います。その後、保温を目的として内張フィルムを12月上旬頃張りますが、これが早すぎると軟弱徒長になり、寒害を受け品質の低下を招くので慎重に行う必要があります。
ポリオフィレン系の被覆資材の普及に伴い、資材の張替え期間が長くなり、雨水による除塩の回数が少なくなっているので、年に1度は土壌分析を実施し、分析結果に基づいた施肥を行っています。病害虫対策としては、ハウスの出入口や換気口に防虫ネット等を張り、害虫の侵入を防いでいます。また、ハウス内には粘着板等を吊るし害虫を捕殺する方法を勧めています。病気については、かん水方法、換気に気をつけ病気の発生しない環境づくりに努めています。
4.出荷体制
出荷は、共選出荷体制による一元集荷を行っています。生産者は、収穫したしゅんぎくをポリ袋に詰めた後、段ボールに入れ、干潟地区集出荷場へ運びます。集出荷場では、生産者ごとに出荷規格に合っているかを、7人の選任検査員による厳しい目で、段ボール1箱(200g×20入)毎に鮮度、葉の色つや、全体の長さ、本数等で検査をし、A、Bの規格に分けます。しゅんぎくの鮮度を保つため差圧予冷庫で冷やし、傷みを最少限にするべく集荷場より各市場へ直送しています。
主に京浜市場を中心に、10月から翌年3月までの期間で約15万ケース(60t)を出荷していて、販売先からは鮮度がよいので棚もちすると大変好評を得ています。
昨年からスーパー等実需者の要望により、現在の1袋量目200g入に対し150g入と100g入のものを試験的に導入販売したところ、販売店独自のオリジナル商品として付加価値があると、大変好評を得たので、今年も行っています。