調査情報部 調査情報第二課
1)品種と種類
2)主な産地
我が国のしゅんぎくの収穫量は、年間4万900トン(平成17年産)です。都道府県別にみた収穫量の割合は、千葉県が全国の13%、次いで大阪府が10%、茨城県が9%、群馬県が8%の順となっています。
3)プロフィール
しゅんぎくの原産地は、地中海沿岸です。しかし、ヨーロッパでは独特の香りが食用には好まれないため、もっぱら観賞用として栽培されています。野菜として食べられているのは、中国や日本、インドなどのアジア地域のみです。
日本へは、中国から室町時代に渡来したと考えられています。江戸時代の事典「和漢三才図会」には「春に花を開き、菊に似るが故」というような記述で、その名のゆえんが書かれています。
関西地方では、‘菊菜(きくな)’とも呼ばれているしゅんぎくの生産量は、関西地方では大阪府が第1位で、全国でみても千葉県に次いで第2位です(平成17年産)。それゆえ、しゅんぎくは「なにわの特産品」に挙げられています。収穫後の痛みが早いしゅんぎくは、消費地近郊で栽培されていることが多く、そのため、産地も千葉県や大阪府、茨城県など大都市に近いところが上位となっています。
4)栄養
しゅんぎくは、ビタミンやカリウム・カルシウム・鉄などのミネラル、食物繊維などが豊富に含まれている緑黄色野菜です。その中でもカロテンは、こまつなやほうれんそうよりも多く含まれています。カロテンは、体内でビタミンAに変わり、抗酸化作用により活性酸素の働きを抑制したり、肌の老化防止にも効果があるとされています。
また、しゅんぎくの独特の香りは、α-ビネンやベンツアルデヒドなどの成分が原因です。これらは、自律神経に作用して胃腸の働きを促し消化吸収を良くしたり、タンを切って咳を鎮める作用があります。このようなことから、しゅんぎくは漢方薬の本場中国でも昔から珍重され、「食べる風邪薬」といわれています。
食用の他にも、乾燥させた茎葉を布袋にいれてお風呂にいれると、体が温まり、冷え性などに効くそうです。
5)選び方と保存方法
○選び方
1 緑色がみずみずしく、茎があまり太くないものを選びましょう。
2 茎が伸びすぎていない、葉が根元から密集しているものの方がやわらかくておいしいです。
3 葉が黄色や黒色に変色しているものは避けましょう。