四万十農業協同組合 営農総合センター
営農推進課 指導班 牧野 剛史
1.産地概要
JA四万十は、四万十町(平成18年3月に窪川町・大正町・十和村が合併)の窪川地域と中土佐町(平成17年12月に中土佐町・大野見村が合併)の大野見地域を管内としています(正組合員数:4,155人)。
JA本所のある窪川地域は、高知県の西部に位置し、標高約230mの高南台地と美しい海岸美が続く沿岸部を有し、また日本最後の清流と呼ばれる四万十川の中流域に属しており、高知県西南部を指す高幡地域における経済、産業、交通、文化の中心地となっています。
当地域は昼夜の温度差が大きく、冷涼で濃霧多発地帯の台地であることから、米作の適地とされ、「仁井田米」と呼ばれる良質米を産する県内有数の米作地域です。また、露地しょうがや、にら・ピーマン・ミョウガなどの施設園芸、養豚・酪農・肉用牛などの畜産も盛んです。
高知県は、国内で最も多く露地しょうがの生産を有してます。中でも窪川地域は肥沃な耕地と、濃霧の発生、夏場の多雨など、良質しょうがの栽培に適しているうえ、生産基盤が整っていることから、県内最大のしょうが産地となっています。しょうが栽培への取り組みは、稲作の減反に伴う、転作作物として導入が進み、1970年代にピークを迎えました。しかし高齢化や、中国を中心とした輸入しょうが急増に起因する価格低迷などから、現在は現状維持、又はやや減少傾向にあります。
2.栽培概要
当地で栽培している品種は、通称:土佐一、カンボジアなどの系統の大しょうがです。植付前に、前年収穫したしょうがを貯蔵庫からだして手で割り、2コブ程度(約200g)を1株として、4月に植えつけます。6月から7月にかけて、株が成長してきたら、土寄せし、敷きワラをします。そして7月から9月にかけて、潅水します。しょうがにはたいへん優れた殺菌効果があるのですが、それ自体は大変デリケートな植物で、河川水などを直接使うと病気が入ってしまいます。このため地下水をポンプで汲み上げ、スプリンクラーなどによる潅水を行います。水をたっぷりあげると芋が大きくなるのです。収穫は降霜の関係で10月下旬から11月上旬です。収穫は、茎を引っぱって、しょうがを掘り起こします。現在は、機械収穫の方が多くなり、しょうが専用の収穫機で茎をまき上げてしょうがを掘っていきます。約200グラムの親しょうが一株から、2kgのしょうがができることもあります。秋に収穫したしょうがは、一旦貯蔵庫に保管します。JAでの販売は、高知県園芸連を通じ行われ、翌年の1月から12月まで、一年間かけて、「囲しょうが」として、低温倉庫で貯蔵したものを販売計画にそって全国の市場に出荷販売します。なお、十分に成熟したしょうがは、14℃前後の温度と適当な湿度のなかで一年以上貯蔵することができます。
3.JA四万十の出荷体制
出荷は、4kgダンボールとシュリンクと呼ばれる100g、130gのトレーおよび袋の小包装で出荷します。以前は、ダンボール出荷が主体でしたが、近年はスーパーなど量販店の引き合いの強いシュリンク出荷が約8割を占めるようになりました。JAの出荷場では、一度水洗浄したものを作業員が、一つずつ丁寧に包丁をいれ、原料から商品へと仕上げます。
4.販売戦略
JA四万十生姜部会員(JAを通じて生産販売するしょうが生産者 現在部会員:58名)には、生産台帳(生産履歴)の記入とJAへの提出を義務づけ、消費者からの問い合わせに、瞬時に対応できる体制をとっています。
また、毎月高知県農産物安全検査センターによる囲しょうがの残留農薬検査を実施し、日頃の農薬適正使用の徹底に加え、第三者の厳格な検査受検により消費者の安全・安心に対する要請に応えています。
5.しょうがの効能
しょうがは、漢方薬にはなくてはならない生薬として日本に入ってきたもので、中国名を生姜(ションチャン)といい、今でも多くの漢方薬に混合されています。ちなみに、ある大手の製薬会社では、取扱っている漢方薬の約半分にしょうがが入っているそうです。中国では鎮吐(ちんと)、去痰(きょたん)、鎮咳(ちんがい)、解熱、解毒、消化器の機能回復、腹痛、胃痛などの治療に用いられてきました。これらの効能は、辛味のあるジンゲロンとショーガオール、香り成分のシネオール、ジンギオール、ジンギベレンなどによるものです。
このほか、次のような効能があるといわれています。
①老化抑制効果
しょうがには強い杭酸化作用があり、血液や細胞内の脂質の酸化を防止するといわれています。また老化の原因とされる活性酸素から体を守る働きもあります。
②冷え性改善、ダイエット効果
血管を拡張させて血のめぐりを良くすることから、女性の冷え性の改善や、体温が1~2度上昇することから、体内の脂肪を燃やす効果があります。
このようなしょうがの効能は、まだまだ一般の消費者に浸透していないため、PRを積極的に行い、ぜひもっとたくさん食べてもらいたいと考えています。