上伊那農業協同組合 営農部 野菜課長
保科 峰人
1 産地の概況
JA上伊那は県南部に位置し、東は南アルプス、西は中央アルプスに囲まれ、諏訪湖を水源とする天竜川が北から南に貫流し、これを挟んで南北に長い段丘を形成しており、農地は標高400m~900mに分布しています。
JR飯田線、国道153号線が天竜川西側を縦貫しているのに加え、中央自動車道によって中京、京阪神地域をはじめ主要都市への輸送は短時間で可能となっており、都市近郊産地として発展しています。
上伊那地区総面積は1,348Km2・耕地面積13,400ha・農業総生産額284億円・農家戸数14,571戸です。
JA上伊那は、平成8年6月に郡下5JAが合併し誕生しました。平成17年度伊那農産物販売額は169億円で、米・きのこ・畜産・野菜・花卉・果実の順であり、野菜総販売額は22億円となっております。現在は、米に変わる所得確保対策として園芸作物、特に野菜としては、アスパラガス・スイートコーン・ねぎ・ブロッコリーなどへの栽培拡大を推進しています。もともと多品目の野菜が栽培できる豊かな産地であり、特に標高差を利用した出荷時期の拡大、夏場の昼夜寒暖差を利用した光沢・甘さの追求など、安全安心で新鮮な信州の農産物を供給すべく努力を重ねているところです。
2 スイートコーンの栽培カレンダー
3 栽培概況
主な栽培品種は、バイカラー種(カクテル系品種)栽培面積160ha、イエロー種22haであり、合計約180haの栽培を行っています。
平成18年度の出荷計画は、7月中旬より9月上旬までで約26万ケースです。
今年の栽培状況は、春からの低温の影響で不発芽・生育遅れ等があり、出荷が昨年より遅れて始まりました。また、本年は特に大雨による倒伏で品質低下と減収が懸念されています。
当管内での栽培の特徴は、前進出荷の作型(ポリマルチとポリトンネル)の採用、生分解性マルチの活用、後作にブロッコリー・カリフラワー・いんげんなどを取り入れた年2作付け等となっています。
また、シーダーマルチ同時播種機による機械化およびセル成型苗育苗による機械移植の普及など、高齢化に対応した労力軽減対策とともに、土地利用型作物的な面積拡大にも取り組んでおります。
一方、安全安心対策としては、平成16年から環境負荷軽減事業を推進しており、黄色ナトリウム灯の設置、フェロモントラップを使った害虫駆除、農薬のポジテブリスト制移行によるドリフト対策等、減農薬栽培を進めています。
3 出荷体系
管内のスイートコーンは、10kg・5kgダンボール、コンテナの3タイプの出荷で、特に8月上旬がピークとなり日量約1万箱の出荷を行っています。ここ数年コンテナ出荷による契約取引の拡大にも取り組んでるところです。なお出荷規格については簡素化し、主に重量で2L、L、Mの3種類としています。
収穫は、気温の低い早朝か日没後に行い、手でもぎ取ったスイートコーンを涼しい場所に立て置きし、出荷直前に箱詰めします。すべて個選扱いです。JAでは、野菜選荷場への持ち込みを朝と午後受けの2回とし、選荷場では真空予冷の上、各市場へ保冷車で輸送を行っております。
4 販売戦略
現在のところ主体は10kg箱出荷ですが、平成13年度から名古屋市場への朝取り直送による販売と、コンテナによる量販店への予約相対取引である特流販売を開始し、平成17年度はこれが全体の約1割の出荷量を占めてています。
また、消費者と生産者をつなぐ安全安心の顔の見える販売が年々拡大しております。
集荷・販売システムについては、従来の3選荷場ごとに行っていた集荷・精算・指導を一本化し、コスト低減と、品質の均一化を目指しています。
信州高冷地の澄み切った青空と新鮮な空気の下で、育った美味しいスイートコーンは、上伊那ブランドとして全国の市場・消費者から高い評価を得ております。今後も品質向上と生産拡大に全力で取り組んでまいります。
一言アピール
問い合わせ先