はが野農業協同組合 営農部
関亦 暢広
1 地域の概要
JAはが野がエリアとする芳賀郡は首都圏百キロメートル圏内にあり、関東平野の北部、栃木県の東南部に位置しています。真岡市、二宮町、益子町、茂木町、市貝町、芳賀町の一市五町からなり、総面積は約564km2で県全体の約9%弱にあたります。このうち耕地面積は20,230haで、総面積の36%弱を占めています。
管内の東部は、八溝山系の山間地と芳賀台地を形成する丘陵地帯からなり、西部は鬼怒川左岸のゆるやかな台地で、中央を五行川、小貝川が流れる肥沃な穀倉地帯で形成され、米、いちご、なす、トマト、梨などの園芸作物の生産を主とする豊な地域です。
2 栽培品種
芳賀地域におけるいちご栽培は、昭和初期に真岡市の花屋でいちごの鉢植えを購入し、これを親株にして苗を増殖して栽培したのが始まりと言われています。本格的に栽培されるようになったのは、昭和35年頃になってからです。平成9年の農協合併によりはが野農協の販売額は、全国一になりました。
品種はダナー、麗紅、そして、昭和60年から平成12年まで女峰(その当時東の女峰、西のとよのかと言われた品種)、平成8年からとちおとめになり現在に至っております。
とちおとめは女峰より大玉で、酸味と甘味が程よく調和され濃くのある豊な食味が持ち味です。果皮は光沢のある鮮やかな紅色で、一口食べればきっとそのおいしさが解かるはずです。
3 栽培概要
JAはが野いちご部会は755名で栽培面積は203haになり、品種は全量とちおとめです。昨年の実績では年間出荷量8,720トン、販売額は86億円になります。
生産者はおいしいいちごを届ける為、一年間を通して様々な作業をします。とくに最近は12月はじめからの出荷に照準を合わせるため、6月頃から作業を始めます。まず、生産者は親苗を購入します。親苗から出てくる1番はじめの子苗を太郎苗、順に二郎苗、三郎苗と言いますが、これらの子苗をポットと呼ばれる専用の鉢に植えかえます。この作業は6月下旬から7月中旬位の間に行います。ポットに植えかえられた苗は夏場の暑い時期に育苗ハウスでしっかりと育てます。育苗は、温度管理と水分管理が重要です。特に植付け直後は苗が枯れないよう一日何回も水をかける為、水分管理には神経を使います。その後、経験者によりサンプル苗1本~2本について花芽のチェックを顕微鏡で行い、花芽が確認されたらハウス内に定植されます。
花芽分化までの期間は厳寒期で約45日、暖候期で約30日です。ハウス内は常に保温され、午前中28℃前後、午後は湿度を下げるので25℃以下に保たれています。また、ミツバチによる自然交配を使っており、4月いっぱいまでハウス内に放たれています。
JAでは関係機関と共に、定植時期を判定したり、施肥指導会の実施、栽培管理講習会を開催してます。労力を軽減出来るような新しい技術や資材の導入などを図っています。『安心・安全』を届けるため、農薬の不正な使用がないようチェックもしています。また、出荷の際には厳しい検査をクリアした物のみを出荷し、みなさんに信頼される産地を目指しています。
①生育ステージ(3月~8月)
②生育ステージ(9月~2月)
4 出荷体制
生産者は、各家で予冷庫をもち、収穫後、選別、パック詰めし農協に出荷します。主に1~2kgの段ボール、コンテナで出荷しています。11月から5月末まで出荷していますが、一般の小売店に並ぶのは、12月頃からでしょうか。
車の付いたイスに乗って収穫します
当地域は、京浜市場という大きな消費地に比較的近いことから輸送時間が短く、また1台のトラックで複数の集荷場をまわって積み込むことで、トラック台数の削減を図り、積載効率の向上、出荷ロットの拡大が可能になりました。これらのことは、市場から高い評価を受けています。
最近は、コンテナ出荷に積極的に取り組んでいます。コンテナは、段ボールに比べて、箱の底がしっかりしていること、また通気性がよいことから、輸送期間中の痛みが少なく、また労力やごみの削減を図ることができます。現在、段ボールとコンテナの出荷比率は、半々ぐらいですが、コンテナ出荷の比率を増やしたいところです。
当地域では、新たに農業に従事する人もいて、栽培面積の減少が少ないということが特徴です。これからも農協と生産者が一体となり、コスト削減を図り、生産者の収入の安定を目指していきたいと思います。
問い合わせ先
住所 〒321-4303 栃木県真岡市八条95番地
TEL 0285-83-7623 FAX 0285-83-7754
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