榛沢農業協同組合 販売課長
茂木 均
2 生産体制
(1) 優良品種の発掘、選定について
当JA管内に全農埼玉指定の品種比較ほ場を設置し、県内全地域に呼びかけ、年3回全農埼玉県本部、種苗メーカー、関係機関、農協、生産者らが参加し検討会を行っています。
それらの結果を踏まえ、裁培講習会時に生産者が中心になり話し合いの中で、毎年品種の選定、見直しを行っています。
埼玉県では当JAで導入された品種が2~3年後に普及されます。JA榛沢はいわば「種の流行の先端」を生む「品種の発信基地」となっています。
(2) セル成形苗と機械化による省力化とコスト低減
生産拡大と低価格な輸入ブロッコリーに対抗するため、他産地に先駆けいち早く新技術を導入定着させています。
セル成形苗の定着により、は種機・定植機の導入が可能となり、は種から定植までの作業の省力化が図られました。
は種機は農協が購入し、農協職員と農家で共同は種作業を行い、育苗は農家自身が行う方式が取られています。定植機は平成2年頃から本格的な導入が始まり、タイプ的には農家の苗を選びながら定植できる半自動タイプの定植機で、現在では当JA管内に60台以上導入されています。
(3) 土壌診断と施肥指導の実施
各作型作付け前には必ずほ場毎の土壌分析を行い、施肥指導会を当JAにて年2回開催し、年2回春ブロッコリーと秋冬ブロッコリーの生産農家と個別面談を行い、品種別、作型別に栽培暦に沿った指導により栽培の高位平準化を図っています。
ブロッコリー収穫作業
(4) 有機質投入の義務づけ
「地力を高めることが作物の品質を高める」という認識のもとで当JAでは、農家に堆肥等の有機質肥料を使用するよう義務づけています。特により多く堆肥を利用してもらうため、農協が町内畜産農家と野菜農家の仲介役を務めています。このような方式により、地域内堆肥流通も大幅に高めています。
3 出荷体制
(1) 規格選別・包装方法
箱詰めまでの規格選別は全て生産者に、写真図解によるブロッコリーの選果規格表を配布し、農家個々で完全に箱詰めしています。その際には鮮度保持対策として活性炭とFGフィルムを使用しています。
また、「産地の評価は品質に対するチェック機能・検査体制の確立如何で決まる」との考えから、集荷所ではJA職員3人の「目による」厳しい検査を実施しています。
(2) 集出荷関連施設
(1) 真空予冷庫:2チャンバー4パレット方式(平成9年度事業で増強)
(2) 集出荷場 :面積 900m2
(3) 保冷庫 :面積 105m2
4 販売戦略
(1) 他産地との差別方法
(1) 数量決め販売を重視
現在、秋冬ブロッコリーの11月~翌年1月迄の3ヶ月間、月単位で数量決め販売を実施しています。数量決めの出荷販売量は、8kg箱で全出荷量の約4割程度となっていますが、これは量だけを予約とし、値段を当該市場平均価格を基準とすることで、相場変動による生産者と市場両方のリスクを回避しようとするものであります。
(2) 流通合理化・労力軽減のための横詰め8kg箱の導入
生産者の選別・箱詰め労力軽減とコスト低減のため、横詰め8kg箱の出荷を行っています。内容はL中心(LL含む)に上下段24玉入りです。
(3) 数量コントロールのための出荷申告制度の導入
JA榛沢は、1ヵ月を通して出荷数量をコントロールできる全国でも数少ない産地です。それを可能にしているのが農協と生産者の取り決めによる出荷申告制度です。
農協では、生産者が無申告で出荷をした場合は1日につき1品目1回につき2,000円、また申告数量の上限5割以上、下限3割未満出荷した場合は1品目1回につき1,000円のペナルティを徴収しています。
(2) 産地・作物の将来展望
(1) 生産体制
さらなる省力化と、数量決め販売等による安定的な出荷で、天候による作柄に左右されない計算できる農業への転換を図ることで、いつでも若者が農業に興味を示してもよいよう、あるいは社会構造の変化で定年後に農業に従事する人がでてきてもいいように、作付けから出荷迄のマニュアルを作成し、誰でも農業に従事できる体制作りを目指します。
(2) 出荷体制
農協と生産者の強固な信頼関係を基にした、他産地には真似の出来ない数量コントロール機能をさらに強化する。具体的には、数量決め販売の拡大と8kg箱出荷の全面的導入を検討し実践していく予定です。安価な輸入物に対抗するため、生産・出荷両面からの省力化とコスト低減で、1個100円で出荷が可能な体制作りを目指します。
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