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今月の野菜


ブロッコリー
今や食卓でおなじみの顔となったブロッコリーは、緑黄色野菜の代表格で、栄養満点。鮮やかな緑色なので、サラダにもシチューにも使える万能野菜です。

調査情報部 調査情報第二課



学名:Brassica oleracea L. var. italicaPLEN.
英名:broccoli仏名:brocoli
日本での呼び名:ブロッコリー、緑花野菜、芽花野菜
植物学上の分類:アブラナ科
ブロッコリーの花

1)プロフィール
 ブロッコリーは、原産地を地中海東部とするケールが起源の野菜です。キャベツもケールを起源とする野菜で、つまり、ブロッコリーは、キャベツの仲間ということです。ケールの葉が結球したものがキャベツ、根が発達し食べるようになったものがコールラビ、花の部分を食べるようになったものがブロッコリーおよびカリフラワーという分化をたどったといわれています。私たちが通常食べている蕾の部分のことを、花蕾と呼びます。

 現在の形のブロッコリーがいつ頃から食べられていたかは、定かではありません。しかし、地中海沿岸では、古くからケール起源の野菜を食べていたようで、その中でブロッコリーは、レパント、キプロス、クレタ島あたりからイタリア半島に伝播し、16世紀から17世紀の初めにドイツやフランス、イギリスへ伝わり栽培が始められたようです。日本へは、明治時代の初めにカリフラワーとともに西洋の野菜として導入されましたが、一般には普及しませんでした。しかし、第二次世界大戦後、食の洋風化とともにカリフラワーやブロッコリーが注目され始め、食卓に上がるようになりました。はじめはカリフラワーの方が人気があったため、生産量・消費量ともに多かったのですが、国民の栄養意識が高まった時期である昭和57年(1982年)に日本食品標準成分表が改訂され、緑黄色野菜であるブロッコリーの栄養価が評価されると、その消費量は一気に伸び、今ではカリフラワーの3倍程度の生産量となっています。


ブロッコリーの箱に砕い氷を入れるアイシングマシーン

 スーパーなどの小売店では、アメリカ産などの輸入ブロッコリーを見かけます。これらアメリカから輸入されるブロッコリーは、「氷結輸送」と呼ばれる方法により運ばれています。ブロッコリーは、蕾を食べる野菜であるため、輸送などで日が経ってしまうと、花が咲いてしまったり、茎が乾燥したりして、おいしさが損なわれます。そこで、発泡スチロールや蝋を塗ったダンボールにブロッコリーと砕いた氷を一緒に詰めて輸送します。この氷結輸送は、輸送中の乾燥が防止できるため新鮮さを保持したまま、日本へ運ぶことができるのです。


氷結輸送により運ばれたブロッコリー


2)品種と種類





3)主な産地
 日本国内のブロッコリーの収穫量は、93,300トン(平成16年産)です。ブロッコリーは冷涼な気候を好むため、国内の主要産地である埼玉県や愛知県では、10月頃から出荷が始まります。また、夏場は涼しい北海道や長野県が産地となります。平成16年度の都道府県別収穫量の割合は、埼玉県が15%、愛知県・北海道がともに12%となっています。しかし、市場の入荷量をみてもわかるように、アメリカからの輸入が年間を通じて大変多いことが特徴です。

□東京都中央卸売市場における「ブロッコリー」の月別入荷割合及び県別割合(平成16年)


□大阪中央卸売市場における「ブロッコリー」の月別入荷割合及び県別割合(平成16年)

資料:東京都中央卸売市場年報、大阪府中央卸売市場年報、大阪市中央卸売市場年報
注:()はその月の県別出荷割合

○世界のブロッコリー
 ブロッコリーを使用した中華料理やイタリア料理をしばしば見受けられることからもわかるように、ブロッコリーは、原産地である地中海沿岸を始め、アメリカ、中国と世界中で食べられています。アメリカでは、花蕾のみでなく、ブロッコリーの茎を袋詰にして商品として売られています。



袋詰にされたブロッコリーの茎
アメリカのスーパーで陳列されているブロッコリー


4)栄養
 ブロッコリーは、「Crown of Jewel Nutrition(栄養宝石の冠)」と呼ばれるほど、その栄養価は大変優れています。特に、ビタミン、ミネラル、食物繊維は、豊富に含まれています。

 まずビタミン類に着目してみると、目の疲労回復や発ガン抑制効果があるといわれ、体内でビタミンAに変わるカロテンを始めとして、造血に必要な葉酸、ストレス・疲労回復や美容効果が期待されるビタミンCも多く含まれています。生のブロッコリーのビタミンCの量を比べてみると、いちごの約2倍、レモン果汁の2.4倍もの量となります。また、カルシウム摂取に必要なビタミンKがカルシウムとともにバランス良く含まれていることも、他の野菜にはなかなか見られない特徴です。その他、ミネラルに関しては、細胞内外のミネラルバランスを保つのに必要なカリウムも豊富に含まれていますし、ほうれんそうにはかなわないものの、ブロッコリーの鉄分は、野菜の中では上位に入る水準です。

 このように、ブロッコリーは、優れた栄養成分を背景に、健康意識に敏感となった日本の食卓におなじみの野菜となったのです。

5訂 日本食品成分表 可食部100g当たり


5)選び方と保存方法
○選び方
1 花蕾の部分が、こんもりと密集し、緑色が鮮やかなものを選びましょう。花が咲いているものや黄色くなったものは鮮度が落ちている目印です。時々、低温に遭遇したため紫がかったブロッコリーも見られますが、茹でれば鮮やかな緑色になります。

2 茎の切り口がみずみずしく、スの入っていないものを選びましょう。

○保存方法
 ブロッコリーの鮮度の良さと甘さは比例します。冷蔵庫で保存する時は、洗わずにポリ袋に入れる、冷凍庫の場合はさっと硬めに茹でて保存するのが良いでしょう。
  ブロッコリーに含まれるビタミンCは、水溶性です。茹で時間は、なるべく短くすることをお奨めします。

○まめ知識 〈茎も残さず!〉
 茎にも栄養がたっぷり含まれています。花蕾と一緒に茹でてそのまま食べてもおいしいです。ブロッコリーは、サラダに利用したり、スープや味噌汁の具として利用しても、おいしく食べられます。色鮮やかな緑が、料理のアクセントともなります。
 また、茹でるだけでなく、蒸してもおいしく食べられます。蒸した場合は、ビタミンCの残存率が茹でた場合よりはるかに高いことも知られています。



産地紹介
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