農林水産省 生産局園芸作物課
平成31年度予算案及び平成30年度補正予算における野菜関係予算について概要を紹介します。
A 平成31年度予算案
1 野菜価格安定対策事業
【所要額:15,668百万円】
<対策のポイント>
野菜の生産・出荷の安定と消費者への安定供給を図るため、価格低落時における生産者補給金等の交付等により、野菜価格安定対策を的確かつ円滑に実施します。
<内容>
⑴ 指定野菜価格安定対策事業
指定野菜の価格が著しく低下した場合に、生産者補給金を交付します。
⑵ 特定野菜供給産地育成価格差補給事業
特定野菜の価格が著しく低下した場合に、価格差補給金を交付します。
⑶ 契約指定野菜価格安定対策事業
契約取引される指定野菜の価格が著しく低下した場合等に、生産者補給金等を交付します。
⑷ 契約特定野菜等安定供給事業
契約取引される特定野菜の価格が著しく低下した場合等に、補給金を交付します。
⑸ 契約野菜収入確保モデル事業
産地要件によらず契約取引される指定野菜の価格が著しく低下した場合等に、交付金を交付します。
【交付先】
(独)農畜産業振興機構
【補助率】
定額等
2 持続的生産強化対策事業【新規】
【20,079百万円】
<対策のポイント>
産地の持続的な生産力強化等に向けて、農業者や農業法人、民間団体等が行う生産性向上や販売力強化等に向けた取組を支援するとともに、地方公共団体が主導する産地全体の発展を図る取組を、関連事業における優先採択と併せて総合的に支援します。
<内容>
農産・畜産を問わず、現場の課題が迅速に解決されるよう、生産強化対策等を1つの事業に大括り化し、総合的に支援します。
3 持続的生産強化対策事業のうち新しい園芸産地づくり支援 【964百万円】
<対策のポイント>
実需者ニーズに対応した園芸作物の生産拡大・安定供給を実現するため、水田地帯における水稲から園芸作物への転換による新たな園芸産地の育成や、加工・業務用野菜の生産・供給の安定化に必要な作柄安定技術の導入等の取組を支援します。
<内容>
⑴ 園芸作物生産転換促進事業
水田地帯での新たな園芸産地の育成による園芸作物の生産拡大を実現するため、生産者や実需者等の関係者による推進体制で取り組む、①産地の合意形成、②品種の選定や出荷先の確保、③排水対策や栽培技術の確立、④機械・施設のリース導入を支援します。
⑵ 加工・業務用野菜生産基盤強化事業
加工・業務用野菜の生産・供給の安定化を実現するため、①土壌・土層改良等の実施、②被覆資材の使用など作柄安定技術の導入等の取組を支援します。
【事業実施主体】
協議会、民間団体
【補助率】
定額、1/2
4 持続的生産強化対策事業のうち次世代施設園芸の取組拡大 【2,330百万円】
<対策のポイント>
施設園芸の生産性向上と規模拡大に必要な技術の実証・研修、次世代型大規模園芸施設の整備や次世代施設園芸拠点のノウハウの分析・情報発信等を支援します。
<内容>
⑴ 次世代施設園芸拡大支援
施設園芸産地における生産性向上と規模拡大を加速化するため、以下の取組を支援。
① 次世代施設園芸の技術習得
高度環境制御技術、雇用型の生産管理技術、省力化技術等について、産地の実情に合わせた実証や実証温室での研修受入れ等を支援します。
② 次世代施設園芸の地域展開
次世代施設園芸拠点のノウハウや施設の設置コスト低減方策を分析・整理した手引きの作成や全国フォーラムの開催等を支援します。
⑵ 強い農業・担い手づくり総合支援交付金(優先枠)
高度環境制御技術や地域エネルギー等を活用した次世代型大規模園芸施設や生産性向上と規模拡大の技術習得に必要な実証温室の整備について、優先枠を設定して積極的に支援します。
【事業実施主体】
協議会、民間団体、農業者団体等
【補助率】
定額、1/2
5 持続的生産強化対策事業のうち養蜂等振興強化推進 【45百万円の内数】
<対策のポイント>
花粉交配用昆虫の安定確保を図るため、園芸産地と養蜂家の連携や在来種マルハナバチの利用拡大の取組を支援します。
<内容>
園芸産地が特定外来生物であるセイヨウオオマルハナバチの利用量の半減に向けて在来種マルハナバチに転換するための実証や講習会の開催等を支援します。また、園芸産地が養蜂家と連携して安定的に蜜蜂を確保するための協力プランの作成や蜜蜂の効率的な利用技術の実証等を支援します。
【事業実施主体】
協議会等
【補助率】
定額
6 農業用ハウス強靱化緊急対策事業【新規】
【31年度予算案:522百万円、30年度補正予算:516百万円】
<対策のポイント>
平成30年の豪雨、台風、大雪被害等の多発と被害拡大を踏まえ、老朽化等により十分な耐候性がなく対策が必要な農業用ハウスについて、被害防止計画を策定した上で実施する農業用ハウスの補強や防風ネットの設置等を支援します。
<内容>
重要インフラの緊急点検で判明した、十分な耐候性のない農業用ハウスについて、都道府県が被害防止計画を策定し、それに基づき市町村等が行う、①農業用ハウスの災害被害防止技術の講習会の開催、②既存の農業用ハウスの補強、防風ネットの設置等を支援することで、災害による農業用ハウスの倒壊や損傷を防止します。
【事業実施主体】
市町村、農業者の組織する団体等
【補助率】
定額、1/2
7 施設園芸等燃油価格高騰対策
<対策のポイント>
施設園芸等において、燃油価格高騰の影響を受けにくい経営への転換を進めるため、省エネルギー化等に取り組む産地に対し、セーフティネットの構築を支援します(事業期限:平成31年度まで)。
<内容>
省エネルギー等対策推進計画を策定し、燃油使用量の15%以上削減等に取り組む産地に対して、省エネ等の取り組みだけではカバーできない燃油価格高騰の影響を緩和するセーフティネットにより経営の安定を図ります。
【事業実施主体】
民間団体等
【補助率】
定額
8 強い農業・担い手づくり総合支援交付金【新規】 【23,024百万円】
<対策のポイント>
産地の収益力強化と担い手の経営発展を推進するため、産地・担い手の発展の状況に応じて、必要な農業用機械・施設の導入を農業経営体の規模に応じ切れ目なく支援します(強い農業づくり交付金と経営体育成支援事業を統合)。
<内容>
⑴ 産地基幹施設等支援タイプ
① 地域農業において中心的な役割を果たしている農業法人や農業者団体等による集出荷貯蔵施設等の産地の基幹施設の導入を支援します。
② 品質・衛生管理の強化等を図る卸売市場施設、産地・消費地での共同配送等に必要なストックポイント等の整備を支援します。
⑵ 先進的農業経営確立支援タイプ
広域に展開する農業法人等が、自らの創意工夫と判断により経営の高度化に取り組むために必要な農業用機械・施設の導入を支援します。
⑶ 地域担い手育成支援タイプ
農業者が経営基盤を確立し、更に発展するために必要な農業用機械・施設の導入を支援します。
【事業実施主体】
都道府県、市町村、農業者の組織する団体等
【補助率】
1/2、3/10等
B 平成30年度補正予算
1 産地パワーアップ事業 【40,000百万円】
<対策のポイント>
平場・中山間地域にかかわらず、地域の営農戦略として定めた「産地パワーアップ計画」に基づき、意欲ある農業者等が取り組む高性能機械・施設の導入や集出荷施設等の再編、改植等による高収益な作物・栽培体系への転換を図るための取組を全ての農作物を対象として総合的に支援します。
<内容>
地域一丸となって収益力強化に計画的に取り組む産地に対し、計画策定経費、計画の実現に必要な農業機械のリース導入、集出荷施設等の整備に係る経費等をすべての農作物を対象として総合的に支援します。
⑴ 生産支援事業
① コスト削減に向けた高性能な農業機械のリース導入・取得
② 雨よけハウス等、高付加価値化に必要な生産資材の導入
③ 果樹の競争力のある品種について、同一品種での改植 等
⑵ 整備事業
乾燥調製施設、穀類乾燥調製貯蔵施設、集出荷貯蔵施設、農産物処理加工施設、生産技術高度化施設(低コスト耐候性ハウス等)等の施設整備
〔園芸作物における支援の例〕
・園芸団地育成を図るためのハウスの導入
・輸出に向けた産地づくりを図るための自動ラック式CA貯蔵庫の整備
・ロボット技術の活用による軽労化を実現するための農業用アシストスーツの導入
【支援対象者】
地域農業再生協議会等で作成する「産地パワーアップ計画」に位置づけられている農業者、農業者の組織する団体等
【補助率】
施設整備は事業費の1/2以内、農業機械のリース導入は本体価格の1/2以内等
2 青果物グローバル産地緊急対策事業【新規】 【200百万円】
<対策のポイント>
輸出先の残留農薬基準等に適合した栽培技術や品質保持のための最適輸送技術の導入・実証、統一ブランドの推進のほか、これらの取組と一体的に取り組む機械・施設のリース導入等、グローバル産地の早期形成・発展に必要な生産・流通・販売段階における取組を支援します。
<内容>
⑴ グローバル産地の形成支援
輸出先の残留農薬基準や植物検疫条件に適合した栽培技術、海外ニーズに即した品種・技術の導入・実証、鮮度保持輸送技術の導入・実証等、生産者・産地が抱える輸出上の課題解決に資する取組を支援します。
⑵ グローバル産地間の連携支援
コスト削減やブランド化に向けた使用資材等の共通化の検討や資材の導入・実証、生産・出荷時の共通規格の作成等、産地間の連携により高い効果の発揮が期待される取組を支援します。
⑶ 機械・施設のリース導入の取組
年間を通して切れ目無い輸出を図るための輸出拠点への冷蔵庫や検疫条件を満たすための消毒機器等、グローバル産地形成に必要な機械・施設のリース導入を支援します。
【支援対象者】
協議会、生産者
【補助率】
定額、1/2
3 外食産業等と連携した需要拡大対策事業
【200百万円】
<対策のポイント>
国産農林水産物・食品の輸出等需要フロンティアの開拓を図るため、産地と外食産業等の連携により、国産農林水産物を活用した新商品の開発やそれに必要な技術開発等を支援します。
<内容>
⑴ 生産者と外食産業等との連携体制の構築等
国産農林水産物を活用した新商品の開発やそれに必要な技術開発等を推進するた め、生産者等と、外食・中食・加工業者とを結び付けるマッチングの実施、(2)による新商品やそれに必要な機械の開発等に当たっての技術指導の取組等を支援します。
⑵ 産地と複数年契約を締結する外食産業等による新商品の開発や販路開拓の推進
① 新商品の開発・試作
新商品の開発のためのニーズ調査、新商品の開発に必要な試作費等を支援します。
② 新商品の開発等に必要な技術開発等
新商品の開発等に必要な機械等の開発・改良等を支援します。
③ 新商品のプロモーション
新商品の国内外向けのプロモーションイベントの開催を支援します。
④ 原料原産地表示の促進
新商品に対する効果的な原料原産地表示の検討等を支援します。
⑤ 情報の発信
訪日外国人や海外消費者に向けた国産農産物を使用した食品に関する情報を発信します。
【事業実施主体】
民間団体
【補助率】
定額、1/2