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今月の野菜 野菜情報 2026年7月号

にらのあれこれ~スタミナ野菜「にら」で暑い夏を乗り切る~

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調査情報部

主要産地

タイトル: p030 

 にらは、ヒガンバナ科ネギ属の多年草である。原種は東アジア各地に自生し、古代から体が温まり精力がつく薬用植物として栽培されていた。日本では、9~10世紀頃から栽培されていたといわれ、古事記や日本書紀にも記載がある。欧米では栽培されない東洋を代表する野菜である。
 にらは、緑色の葉を利用する葉にら、(とう)立ちした若い花茎を利用する花にら(注)、遮光して栽培する黄にらと大きく3種類に分類できる。一般的に「にら」といえば葉にらを指し、一つの株から何度も収穫でき、多い場合は5回程度収穫できる。ハウス栽培が主流で、西日本と東日本では加温のタイミングや品種選定で違いはあるものの、周年栽培され流通している。黄にらは、被覆資材で太陽光を遮断する軟化栽培により新芽を黄色くしたもので、葉は細長くてやわらかく、上品な香りとほのかな甘さが特徴である。
(注)観賞用植物で有毒物質を含むハナニラ(イフェイオン)とは別種

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和6年の作付面積は、1870ヘクタール(前年比101.1%)と、前年よりわずかに増加した。7年前の平成29年(2060ヘクタール)と比べ、9%減少している。
 上位5県の令和6年の作付け面積は、
●栃木県  289ヘクタール(同 96.3%)
●高知県  265ヘクタール(同 105.6%)
●山形県  206ヘクタール(同 100.5%)
●茨城県  205ヘクタール(同 106.8%)
●福島県  140ヘクタール(同 97.9%)
 となっている。

タイトル: p031a
 
 令和6年の出荷量は、5万700トン(前年比100.0%)と、前年並みであった。平成29年(5万3900トン)と比べ、6%減少している。
 上位5道県では、
●高知県  1万5600トン(同 105.4%)
●栃木県  7600トン(同 97.2%)
●茨城県  6470トン(同 103.2%)
●大分県  2990トン(同 99.7%)
●北海道  2820トン(同 106.4%)
 となっている。

タイトル: p031b
 
 出荷量上位5道県について、10アール当たりの収量を見ると、高知県の6.07トンが最も多く、次いで大分県の5.15トン、北海道の4.56トンと続いている。その他の県で多いのは、福岡県の4.81トン、熊本県の3.27トンであり、全国平均は2.95トンとなっている。
 上位5道県であっても単収の差は大きく、その要因として、地域ごとの気象条件の違いや、作型・加温・かん水方法の違いなどが挙げられる。

タイトル: p031c

作付けされている主な品種等

 多年草のにらは、低温と短日により休眠し、一定期間以上の低温に遭遇することで休眠が打破されるが、一度休眠した株は、萌芽の遅れや生育遅延が起こるため、保温開始時期が収量に影響するとされる。2~3年かけて同じ株から収穫を繰り返すため、冬場の休眠を考慮して休眠の浅い品種を導入するなど、品種選びも収量を左右する。にら生産では、収穫および調製作業の効率も重要なことから、分げつ数は少ないが葉鞘がしっかりした「ミラクルグリーンベルト」や「タフボーイ」を導入している産地も多い。

タイトル: p032a

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和6年)を見ると、栃木産、茨城産が大きな割合を占めている。気温が高くなる5~9月は、山形産や北海道産など東北以北の産地からの入荷がある。10月~翌6月までは、高知産や宮崎産など西日本の温暖な産地からの入荷が見られる。また、千葉産は、多くはないが周年で一定量の入荷がある。

タイトル: p032b
 
 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和6年)を見ると、年間を通して高知産と大分産で大部分を占めている。その他に、宮崎産や福岡産などが見られる。入荷量のピークは、東京都中央卸売市場同様に5月となっている。

タイトル: p033a

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場における令和7年の卸売価格は、1キログラム当たり456~1291円(年平均807円)で推移した。1月の価格が最も高く、その後、2月から下げ基調で推移し、入荷量の最も多い5月が最も低くなっている。ただし、この5月の価格は直近3年ともに同程度となっており、安定した需要があることが分かる。

タイトル: p033b

輸入量の推移

 にらの生鮮品の輸入量は、平成29~令和元年は30トン程度で推移していたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による移動制限があった令和2年には、それまでの半分程度まで減少した。輸入先は台湾が多い。また、冷凍品は、平成29年以降3000トン近くで推移し、輸入先は中国が主となっている。冷凍品はカットされた状態で輸入され、主に業務用として食品加工会社の総菜向け原材料などとして使われている。

タイトル: p034

消費動向など

 にらは、日本では古くから薬草として利用されてきた。比較的においが強いため、仏教(精進料理)の世界では、にんにくやらっきょうなどと共に「五葷(ごくん)」とされるなど、にら特有のにおいは好き嫌いが分かれるところである。かつては、にら好きでも食べるのは金・土曜日に集中し、「週末野菜」とも言われた。戦後、食の多様化などにより消費が伸び、現在では全国的に栽培され、栄養価の高い緑黄色野菜として、1年を通じ、曜日にとらわれず安定した需要を保っている。
 にらは、その強い臭気の元となる硫化アリル(特に根元の白い部分に多い)を含み、ビタミンB1の吸収を高めるため、ビタミンB群が豊富な豚肉やレバーとの相性は抜群である。また、β―カロテンを豊富に含み、これが体内で変換されたビタミンAは、皮膚や粘膜を丈夫にして抵抗力を強め、健康維持を助ける効果が期待される。そのほか、強い抗酸化力を持ち老化を防ぐビタミンEや、血液凝固を助けたり骨形成を促進したりするのに重要な役割を果たすビタミンK、さらにビタミンB群の一種で、胎児の正常な発育に重要で、認知症予防にも効果のある葉酸など様々な栄養素を豊富に含んでいる。
 日本全国に、にらを使ったご当地レシピがあり、福岡の「もつ鍋」、大分の「にら豚」、高知の「にら塩焼きそば」、岡山の「黄にらのおひたし」、栃木の「にらそば」、茨城の「スタミナラーメン」などがある。食べると元気の出るスタミナ野菜であるにらは炒め物、煮物、おひたし、餃子の具など、いろいろな料理で楽しめる。
 にらを使ったレシピを以下に紹介する。

タイトル: p035