野菜 野菜分野の各種業務の情報、情報誌「野菜情報」の記事、統計資料など

ホーム > 野菜 > 野菜の情報 > キャベツのあれこれ~ピタゴラスが「元気を保つ野菜だ」と記したキャベツ~

今月の野菜 野菜情報 2026年3月号

キャベツのあれこれ~ピタゴラスが「元気を保つ野菜だ」と記したキャベツ~

印刷ページ
調査情報部

主要産地

タイトル: p052
 

 キャベツは、アブラナ科アブラナ属の野菜で、ヨーロッパの地中海・大西洋沿岸を原産とする。原種は非結球性の野生ケールとされ、古代ギリシャ時代からキャベツは薬用植物として食されており、「サモスの賢人」と呼ばれたピタゴラスが「キャベツは元気と落ち着いた気分を保つ野菜だ」とした記録が残っている。中世以降、ヨーロッパ各地で選抜育種が進み、結球性の形質が確立した。日本には江戸時代に渡来して「(かん)(らん)」と呼ばれ、当初は葉ぼたんのように観賞用であった。一般に栽培が普及したのは、明治期以降である。その後、洋菜としての需要拡大とともに生産体系が確立し、明治末から大正時代にかけてポークカツレツ(とんかつ)が流行すると、さっぱりした味を好む当時の日本人に合わせ、キャベツのせん切りが添えられたことにより生食が急速に普及した。
 比較的冷涼な気候を好むことから、南から北へ、平地から高原へと各産地をつなぐリレー出荷や作型の多様化により、周年供給体制が確立され、わが国の野菜生産において重要な位置を占めている。
 一般的に春を中心に出回る「春系キャベツ」、夏秋期から冬に出回る「寒玉」のほか、紫キャベツ、芽キャベツ、ケールと芽キャベツをかけ合わせたプチヴェール®(注1)などさまざまな種類がある。

(注1)「プチヴェール」は、株式会社増田採種場の登録商標です。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和6年の作付面積は、3万2700ヘクタール(前年比97.0%)と、前年よりやや減少した。
 上位5県では、
●愛知県  5570ヘクタール(同 101.1%)
●群馬県  4090ヘクタール(同 94.5%)
●千葉県  2640ヘクタール(同 99.2%)
●茨城県  2380ヘクタール(同 99.6%)
●鹿児島県1670ヘクタール(同 89.8%)
 となっている。
 上位5県の割合は、全国の50.0%と半数を占めている。
 
タイトル: p053a
 
 令和6年の出荷量は、117万7000トン(前年比91.2%)と、前年よりかなりの程度減少した。
 上位5県では、
●群馬県  24万6700トン(同 101.5%)
●愛知県  20万9600トン(同 81.1%)
●千葉県  9万5300トン(同 87.8%)
●茨城県  9万2900トン(同 96.7%)
●長野県  5万6500トン(同 87.2%)
 となっている。
 上位5県の割合は、全国の59.6%と約6割を占めている。
 
タイトル: p053b
 
 出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、群馬県の6.64トンが最も多く、次いで長野県の4.53トン、茨城県の4.12トンと続いている。その他の都道県で多いのは、北海道の4.89トン、徳島県の4.58トンであり、全国平均は3.96トンとなっている。
 
タイトル: p053c

作付けされている主な品種等

 主なキャベツの品種は、春系(春玉)と冬系(寒玉)に大別される。かつては、巻きの堅い冬系が流通の大半を占めたが、その後、生のままでも軟らかい春系が好まれ、需要が拡大した。最近は、加工・業務用需要が増加しており、外食・中食産業の基本食材として使われることが多く、巻きが固く歩留まりの良い冬系の生産量が増加している。
 
タイトル: p054a

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 令和6年から7年春ごろにかけては、キャベツの高値がニュースなどでも話題となった。高値となった時期は5月と11~12月の2回あり、東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和6年)を見ると、6年1~2月上旬は、高温により愛知産、千葉産、神奈川産などが前進出荷した。しかし、その後2~3月の冷え込みや降雪により神奈川産の春系の生育が進まず、さらに夏秋キャベツへの切り替わり時期である5月に、主産地の千葉産の入荷量が多雨の影響で減少し、5月の市場入荷量は平年を16パーセント下回り、品薄感から価格は高値となった。二度目の高騰は、夏場の高温による定植遅れや干ばつの影響を受けて数量がまとまらず、11月の入荷量が平年を21パーセント、12月が同26パーセント下回るなど、絶対量不足によるものである。
 
タイトル: p054b
 
 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和6年)を見ると、東京都中央卸売市場と同様に、産地リレーによって周年供給されていることが分かる。価格が高騰した月を見ると、入荷量は5月は平年を14パーセント、11月は同22パーセント、12月は同26パーセントそれぞれ下回った。
 
タイトル: p055

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場における令和6年のキャベツの価格は、1キログラム当たり76~239円(年平均121円)と変動が大きかった。6年5月には、同170円(平年の1.8倍)の高値となったが、産地の切り換えにより、入荷が安定し、夏場はやや軟調に推移した。11月は絶対量不足から高騰し、同207円と平年の2.5倍を超えた。12月はさらに上昇し平年の3.5倍を超える同239円となった。令和7年は、1月の価格が同236円(平年の2.8倍)となり、その後、2~3月も引き続き高値の影響が残ったが、4月は平年並みの同117円と落ち着いた。その後5~12月まで同80円前後で推移した。
 
タイトル: p056a

輸入量の推移

 キャベツは、ほぼ生鮮で輸入されている。平成30年以降のキャベツ(生鮮)の輸入量を見ると、平成30年は9万トンを超えたが、それ以外の年は4万トン以下で推移している。令和3年以降の輸入量は、2万トンを下回って推移していたが、令和6年は前述の通り、絶対量不足から、加工・業務用向けを中心に前年の2倍の約2万3000トンと急増し、そのほぼ全量が中国産であった。令和7年は6年から続く国産キャベツの高値の影響により、輸入量は6年の約3倍の7万5000トンとなった。特に1~3月は不作による国産の高騰から、1月は前年比43倍、2月は同42倍、3月は同48倍と、加工・業務用を中心に絶対量不足から輸入品の需要が高まった。4月は国産の出回りが回復したため、輸入量が減少し、前年比9倍とやや落ち着いたものの、年間の上半期を中心に輸入が多かった。
 
タイトル: p056b

消費の動向など

 キャベツは、野菜の中で最も購入量が多く、1人当たりの年間購入量を見ると、平成30年以降は6000グラム前後で推移していたが、コロナ禍による家庭内消費の増加などにより、令和3年は6338グラムまで増加した。その後、コロナ禍が収息すると、同購入量は5000グラム代に減少し、令和6年は高値の影響などを受け、5327グラム、7年は5293グラムとと過去7年間で最も少なかった。それでも他の野菜よりも購入量が最も多く、消費者にとっては大変身近で、購入意欲の落ちにくい重要な野菜であることがうかがえる。
 小売価格(東京都区部)の動向を見ると、価格の高騰した平成30年は1キログラム当たり214円と200円を超えていたが、その後令和元年から5年は、同169~197円の幅で推移した。6年は国内産出荷量の不足による市場価格の高騰などの影響を受け、小売価格は、同244円まで上昇し、7年は250円まで上昇した。
 
タイトル: p057
 
 
 
 キャベツは淡色野菜であるが、ビタミンCを比較的多く含み、その量は100グラム当たり41ミリグラム(注2)程度となっている。ビタミンCの成人の一日の推奨摂取量は、100ミリグラムであるので、キャベツの葉2枚程度(100グラム相当)で、一日の必要量の約半分を摂取できる。そのほか、キャベツならではの成分としては、抗潰瘍性作用のあるキャベジン(塩化メチルメチオニンスルホニウム)がある。キャベジンは、胃粘膜を正常に保ち、胃腸の負担を軽減する効果があることから、食事の最初にサラダとして、また、居酒屋などでお通しとして、ざく切りにした生キャベツを食すことは、理にかなっているだろう。
 諸外国でも、ドイツで「ザワークラウト」というキャベツの漬物がソーセージに添えられたり、古代ローマ時代からあったとされる「コールスロー」というキャベツのみじん切りが入ったサラダは、特に米国南部では、フライの付け合わせやサンドイッチ、ハンバーガー、ホットドッグなどに多く使われている。
 キャベツに多く含まれるビタミンCやキャベジンは水溶性のため、生食できるサラダや、浅漬け、汁ごと食べられるスープなどが、これらの成分を効率的に摂取できる。キャベツを使ったレシピを以下に紹介する。
 
(注2)日本食品標準成分表2020年版(八訂)による。