東京都区部の小売価格は、平成29年に1キログラム当たり945円の高値をつけ、その後同800円前後で推移していたものの、令和5年は同872円と値を上げた。
ながいもは、粘りが少なめで水分が多くシャキッとした歯触りのため、千切りやたたきで酢の物にする他、山かけや揚げ物のつなぎに利用される。やまといもは、ながいもよりも粘りが強くあくが少ないので、すりおろしたとろろに向く。丹波いもや伊勢いもに代表されるごつごつしたこぶしのような形状のやまといもは、粘り気が最も強く、肉質も良いことから高級食材として需要があり、また、和菓子や練り物のつなぎとしても利用される。
自然薯は、粘り気が強く風味がよいため、とろろに最適である。
近年、このとろろが、胃腸の働きを助ける「腸活食材」や、体を温めて体調を整える「温活食材」として注目されている。とろろには夏の食欲増進食材というイメージがあるが、近年は鍋物に取り入れる需要が高まっている。株式会社ぐるなびが選出した「2023年トレンド鍋
®」に「とろみ鍋
TM」が選ばれ、同社調べによると、23年7月までの1年間でとろみメニューを扱う飲食店が1.5倍に増え、このとろみをイメージする食材として、とろろがメニューに活用されている。また、季節を問わないこれら飲食店の需要や、コンビニ・居酒屋メニューとして加工業務用向けの需要が高まっており、このニーズを受けて皮むき加工し、冷凍とろろとして供給する取り組みを行う産地も出てきている。
