かぶは、春の七草の「すずな(鈴菜)」として古くから親しまれている。キャベツやはくさいと同じアブラナ科で、アフガニスタンを原産地とする「アジア系」と、地中海沿岸に自生していた「ヨーロッパ系」の2種類がある。日本へは、弥生時代に中国から伝わったとされ、「日本書紀」には
持統天皇(645~703)が五穀を補う作物として栽培を推奨したとの記録が残っている。このような長い栽培の歴史の中で、日本は世界的に見ても品種発達の重要な中心地となっている。日本では、アジア系とヨーロッパ系の分布が関ケ原辺りで分かれ、通称「かぶらライン」と呼ばれる(27ページを参照)。東日本のヨーロッパ系は、耐寒性があり、
温海かぶや
金町小かぶ、
暮坪かぶなどがある。西日本のアジア系は、肥大した根が中型から大型のものが多く、天王寺かぶや
聖護院かぶ、長崎赤かぶなどがある。根は食べずに葉だけを使うかぶもあり、特に有名なのは野沢菜で、実はかぶの仲間である。