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今月の野菜 野菜情報 2024年11月号

ブロッコリーの需給動向

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調査情報部

主要産地

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 ブロッコリーはつぼみの固まり(()(らい))と()(けい)を食べるキャベツの仲間が原型で、ローマ時代からとう立ち(花芽のついた花茎が伸びた状態)した()(へい)が野菜として利用され、地中海沿岸で発達しいくつかの種が生まれた。明治時代に日本に渡来したものの、すぐには広まらず戦後の1970年代に、食の洋風化に伴って食卓に上るようになった。国民の栄養意識が高まった1980年代に入って、米国カリフォルニアからの輸入物などによって一年中出回るようになると、その栄養価が評価されて消費量が一気に伸びた。その後、国内産地も増え、予冷施設や冷蔵輸送が整うことで、国産ブロッコリーの周年供給体制が確立した。
 ブロッコリーの出荷量はこの30年で2倍にまで増え、令和8年度から指定野菜に追加されることとなった。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和5年の作付面積は、1万7300ヘクタール(前年比100.6%)と、前年に比べてわずかに増加した。
 上位5道県では、
●北海道  3230ヘクタール(同 105.6%)
●香川県  1290ヘクタール(同 99.2%)
●埼玉県  1210ヘクタール(同 101.7%)
●長野県  1150ヘクタール(同 101.8%)
●長崎県  1040ヘクタール(同 100.0%)
 となっている。

タイトル: p031a
 
 令和5年の出荷量は、15万6400トン(前年比99.6%)と、前年に比べてわずかに減少した。
 上位5道県では、
●北海道  2万5500トン(同 97.3%)
●愛知県  1万3300トン(同 94.3%)
●埼玉県  1万3100トン(同 98.5%)
●香川県  1万3100トン(同 103.1%)
●徳島県  1万1100トン(同 101.8%)
 となっている。

タイトル: p031b
 
 出荷量上位5道県について、10アール当たりの単収を見ると、愛知県の1.53トンが最も多く、次いで埼玉県の1.26トン、徳島県の1.21トンと続いている。その他の府県で多いのは、大阪府の1.42トンであり、全国平均は0.99トンとなっている。

タイトル: p031c

作付けされている主な品種等

 現在の主流となっているのは「頂花蕾型」で、これは主枝に大きな花蕾を1つだけつけるタイプである。その他、わき芽が次々に生育し、各頂部に小さな花蕾をつけるスティック状の「側花蕾型」は茎ブロッコリーとして人気を集めており、そのほかにブロッコリーの種子を発芽させその機能性成分からスプラウト(発芽野菜)人気の火付け役となった「ブロッコリースプラウト」や、アントシアニンにより花蕾が紫色になる「紫ブロッコリー」などがある。
 気温に敏感で、花蕾の発育は高温により阻害されるため、夏場は北海道などの冷涼な地域で、冬場は温暖な地域で栽培されており、春から秋の収穫を目指すものは早生種(わせしゅ)(なか)()()(しゅ)、気温が低下する晩秋から冬の収穫を目指すものは、中生種(なかてしゅ)中晩生種(なかおくてしゅ)晩生種(おくてしゅ)が用いられる。クリアやベルネは、寒さに当たっても紫色に変色しないアントシアニンレス品種である。

タイトル: p032a

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和5年)を見ると、11月~翌5月までは熊本産、香川産、愛知産、長崎産といった西南暖地に加えて埼玉産が入荷する。6月以降10月までは産地が北に移り、長野産、北海道産、福島産のほか、中国や米国からの輸入ものの入荷も見られた。

タイトル: p032b
 
 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和5年)を見ると、10月~翌5月までは徳島産の入荷が多く、鳥取産、長崎産、香川産、熊本産など九州・中四国からの入荷が多い。6~9月は産地が移行して長野産、北海道産、などの入荷が増える。徳島産は周年を通して一定量以上の入荷が見られる。

タイトル: p033a

東京都中央卸売市場における価格の推移

 令和5年の東京都中央卸売市場における国内産ブロッコリーの卸売価格は、1キログラム当たり330~730円の間で推移し、価格の上下が大きく、野菜全体の高騰の影響を受けて比較的高値で推移した。直近3年間の動きを見ると、8~10月は上昇する傾向がある。外国産については、年間を通して同350~500円で安定して推移している。

タイトル: p033b
 
タイトル: p034

輸入量の動向

 生鮮ブロッコリーの輸入量は、減少傾向にあり、平成28年の2万6000トンから令和5年は2000トンまで約9割減少した。これは国内で周年供給体制が構築され、夏場の産地も増加したことが大きな要因となっている。また、令和3年までは米国産が大きな割合を占めていたが、近年はそのシェアが激減し、米国産より安価な中国産の割合が高まっている。
 一方、冷凍ブロッコリーの輸入量は年々増加しており、輸入先は、中国産とエクアドル産で9割以上を占めている。生鮮と冷凍を合わせた輸入量は6~8万トンで推移しているが、冷凍の比率が大きく伸びており、平成28年は64%であったが、令和5年には97%を占めている。近年国産価格の高騰もあり、家庭で冷凍ブロッコリーの購入が定着していると考えられる。

タイトル: p035

ブロッコリーの消費動向

 1人当たりの年間購入数量は増加傾向にあり、平成28年の1228グラムから令和5年には1541グラムと313グラム増加した。 令和2年以降はコロナ禍での家庭内調理などが増えたこともあり、1600グラム前後で推移した。
 近年の東京都区部における小売価格は、1キログラム当たり約600~750円台で推移している。
 ブロッコリーは「栄養素の宝庫」と呼ばれるほど、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素を含む緑黄色野菜であり、火を通しても鮮やかな緑が映えるため、食卓やお弁当の彩りとして年間を通して需要がある。また比較的たんぱく質を多く含んでおり、昨今の健康志向の高まりや、筋肉を意識したボディメイキングを行う人の増加など、ブロッコリーの魅力がさまざまな観点から注目を浴び、需要が伸びている。



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