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今月の野菜 野菜情報 2024年7月号

メロンの需給動向

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調査情報部

主要産地

タイトル: p030
 
 メロンはウリ科のつる性一年草で、ドイツのミュンヘン大学の研究者らによって原産地はインドであることが2010年に証明された。インドからイランへ伝播し、紀元前3000年頃のイラン南東部の古代遺跡から種が発見されている。栽培の歴史は古く、紀元前の資料にも記録が残っているが、古代のメロンは現代のような甘いメロンではなかったと考えられている。
 日本には中国から伝わった東洋系品種であるマクワウリが弥生時代からあったが、西洋系品種のメロンは明治時代に欧米から伝来し、大正時代に英国から温室メロンの技術が導入され品種改良が始まった。
 昭和30年代後半に人気が出た「プリンスメロン」の登場で、それまで高級であったメロンが一般家庭にも身近なものとなった。また、メロンはその果肉の色から「青肉種」「赤肉種」「白肉種」の3つに分類されるが、平成に入ってから「クインシーメロン」に代表される赤肉メロンブームが始まった。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和4年の作付面積は、5790ヘクタール(前年比95.1%)と、前年に比べてやや減少した。
 上位5道県では
●茨城県  1170ヘクタール(同 96.7%)
●北海道  835ヘクタール(同 90.3%)
●熊本県  832ヘクタール(同 98.0%)
●山形県  475ヘクタール(同 96.0%)
●青森県  407ヘクタール(同 90.6%)
 となっている。

タイトル: p031a
 
 令和4年の出荷量は、13万500トン(前年比95.5%)と、前年に比べてやや減少した。
 上位5道県では、
●茨城県  3万1700トン(同 92.7%)
●熊本県  2万3100トン(同 96.3%)
●北海道  1万8400トン(同 97.4%)
●愛知県  9280トン(同 102.7%)
●山形県  8350トン(同 91.9%)
 となっている。

タイトル: p031b
 
 出荷量上位5道県について、10アール当たりの収量(単収)を見ると、熊本県の2.93トンが最も多く、次いで茨城県の2.88トン、愛知県の2.66トンと続いている。その他の県で多いのは、島根県の2.70トンであり、全国平均は2.46トンとなっている。
 
タイトル: p031c

作付けされている主な品種等

 メロンの分類は、果肉色によって分けられるほか、果実外観(網目)から、アールスやクインシーのようなネット系と、プリンスのようなノーネット系に分けられる。またメロンの品種は、県や地域のオリジナル品種も多いのが特徴である。

タイトル: p032a

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和5年)を見ると、数量は少ないものの通年で静岡産が入荷する。5月に茨城産と熊本産の入荷量が急増し、ピークとなる6月には千葉産も加わる。7~10月は減りながら推移するなかで山形産、北海道産、青森産など冷涼地からの入荷が増える。年末年始は再び熊本産が増える。

タイトル: p032b
 
 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和5年)を見ると、数量が増える5月は熊本産と茨城産が大半を占め、ピークとなる6月は茨城産が最も多いが、翌7月から10月は北海道産のウエイトが高くなる。9月以降は一気に数量が減って、島根産、長崎産、鳥取産、熊本産、高知産といった西南暖地に産地が移行する。11月から翌4月までは、オーストラリア産やメキシコ産などの外国産も見られる。
 
タイトル: p033a

東京都中央卸売市場における価格の推移

 令和5年の東京都中央卸売市場における卸売価格は、国内産が1キログラム当たり474~1646円(年平均641円)、外国産が同298~520円(年平均376円)の幅で推移している。国内産は、年末から3月にかけて値上がりし、1キログラム当たり単価が1000円を超え、出荷が増える4月以降10月にかけては1キログラム当たり600円前後で推移する傾向がある。外国産は、国内産ほど価格の変動が大きくなく、令和5年は年間を通じて同400円前後で推移している。





タイトル: p033b
 

 

輸入量の動向

 生鮮メロンの輸入量は年々減少しており、メキシコ産と米国産が減少する一方で、近年は豪州産やホンジュラス産の輸入が増えている。生鮮メロンはカットフルーツやケーキの材料などとして利用されることが多く、品種はノーネットメロンのハネデュー系がほとんどである。
 
タイトル: p034b

輸出量の動向

 生鮮メロンは近年、急速に輸出が伸びている。メロンの追熟期間は、収穫後2週間程度であるため長距離輸送には向かず、仕向け先としては香港が圧倒的に多く、次いでシンガポール、台湾、マカオと近距離のアジア圏が多い。
 
タイトル: p034b

メロンの消費動向

 令和5年の1人当たり年間購入量は475グラムで、平成28年に比べて70%程度と大きく減少している。平成18年頃から、1個単位ではなくカットされたものが購入されるようになったことも要因のひとつである。
 メロンには、体内のナトリウムを排出する働きのあるカリウムを多く含み、むくみ解消や高血圧予防に効果がある。塩分の多い食事の最後に、デザートとしてメロンを食べることもおすすめである。赤肉のメロンには皮膚や粘膜を保護するカロテンも多く含まれている。
 メロンは追熟することにより香りと甘みが増すため、購入後は常温で保存し、食べる1~2時間前に冷蔵庫に入れると良い。冷やし過ぎは味が落ちる原因になる。
 
タイトル: p035b