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今月の野菜 野菜情報 2024年6月号

しょうがの需給動向

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調査情報部

​ 主要産地


タイトル: p030
 
 しょうがの原産地は、熱帯アジアといわれているが、野生種が発見されていないため正確にはわかっていない。高温多湿を好む熱帯植物の多年草だが、温帯での栽培上は一年草として扱っている。日本には2~3世紀頃に中国から伝来し、奈良時代には栽培が始まった。「古事記」にも記載があり、香辛料や薬用植物として古くから利用されている。世界でも香辛野菜としての利用以外に薬用として生産されており、英語のジンジャーは「角の形をしたもの」というサンスクリット語が語源で、その形が鹿の枝角に似ていることに由来している。栽培においては、ネコブセンチュウや根茎腐敗病を防除するため、連作は避けることが必須である。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和4年の作付面積は、1690ヘクタール(前年比97.7%)と、前年よりわずかに減少した。
 上位5県では、
●高知県  420ヘクタール(同 97.2%)
●千葉県  297ヘクタール(同 100.0%)
●熊本県  167ヘクタール(同 97.1%)
●茨城県  125ヘクタール(同 98.4%)
●静岡県  85ヘクタール(同 98.8%)
 となっている。

タイトル: p031a
 
 令和4年の出荷量は、3万6800トン(前年比96.3%)と、やや減少した。
 上位5県では、
●高知県  1万6800トン(同 104.3%)
●熊本県  4450トン(同 105.0%)
●千葉県  2730トン(同 96.5%)
●宮崎県  2110トン(同 89.8%)
●和歌山県  1800トン(平成28年比(※)65.5%)
 となっている。
※前回調査年が平成28年のため

タイトル: p031b
 
 出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、和歌山県の5.40トンが最も多く、次いで高知県の4.87トン、熊本県の3.15トンと続いている。その他の道県で多いのは、北海道の3.50トンであり、全国平均は2.73トンとなっている。

タイトル: p031c

作付けされている主な品種等

 サイズによって、大しょうが(八郎、近江など)、中しょうが(房州、らくだなど)、小しょうが(在来種、谷中、まだれ、三州など)に分類できる。土佐一号は高知県の在来種で、多くの県で生産されている。新高知、バイオ、八郎は土佐一号から選抜された熊本県JAやつしろのオリジナル品種である。

タイトル: p032a

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和4年)を見ると、通年、高知産が5割前後を占め、中国産も周年入荷している。また、5~9月に入荷する和歌山産は大部分が貯蔵せず出荷される新しょうがである。

タイトル: p032b
 
 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和4年)を見ると、通年、高知産の割合が高い。5月~9月は東京市場と同様に和歌山産の新しょうがが増える。

タイトル: p033a

東京都中央卸売市場における価格の推移

 令和4年の東京都中央卸売市場における卸売価格は、国内産が1キログラム当たり470~907円(年平均647円)、外国産が同345~363円(年平均351円)の幅で推移している。国内産は、3~5月に上昇し、新しょうがの収穫が始まる6月以降に下落する。7月以降は、貯蔵物に切り替わり1キログラム当たり600円程度で翌2月まで安定して推移する。

タイトル: p033b
 
タイトル: p034a

輸入量の推移

 しょうがはさまざまな形態で輸入されているのが特徴で、近年の輸入量は8万トン前後で安定して推移している。令和4年の輸入量を見ると、生鮮しょうが1万7940トン、酢調製しょうが1万7234トン、塩蔵しょうが1万5359トン、乾燥しょうが665トン、その他調製しょうが2万8149トンとなっている。塩蔵や酢調製などの加工ものは、甘酢しょうがのガリや紅しょうがなどに利用される。また輸入先を見ると、塩蔵しょうがはタイと中国が多く、それ以外は中国が大半を占めている。

タイトル: p034b
 
タイトル: p035a
 
タイトル: p035b
 
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タイトル: p036a

輸出量の推移

 年によってバラツキがあるが、令和4年の輸出量を見ると、生鮮しょうがが9.72トン、その他調製しょうがが21.26トンとなっている。生鮮の輸出先は安定していないが、その他調製品は香港、米国向けが多い。

タイトル: p036b

タイトル: p037a

消費の動向

 しょうがの供給量(収穫量+輸入量)は、年間約13万トン前後で推移しており、安定した消費傾向となっている。
 野菜として利用するしょうがは、地下で分枝しながら肥大する塊茎の根しょうがと、塊茎が小さいうちに葉付きで出荷する葉しょうがに分けられる。根しょうがは薬味や調理の下味や風味づけに、葉しょうがは日本料理で焼き魚などにあしらいとして盛り付けられている酢漬けなどが有名である。
 葉しょうがの中でも初夏に出回る東京の「谷中しょうが」は盆しょうがとも呼ばれ、夏の盛りの食欲増進のために江戸っ子の食卓に上がっていた。
 しょうがに含まれるショウガオールやシネオールといったさまざまな辛味、香味成分には、疲労回復や新陳代謝を上げる働きがあるとされるが、皮や皮に近い部分に多いので、皮ごとすりおろしたり、皮を厚くむきすぎないようにしたい。
 夏バテ解消や冷房による冷え対策に、これからの季節は特にしょうがを上手に取り入れ、健康な体作りに役立てたい。

タイトル: p037b