野菜 野菜分野の各種業務の情報、情報誌「野菜情報」の記事、統計資料など

ホーム > 野菜 > 野菜の情報 > さやえんどうの需給動向

今月の野菜 野菜情報 2024年4月号

さやえんどうの需給動向

印刷ページ
調査情報部

​主要産地

タイトル: p032
 
 さやえんどうは、えんどうを早採りしたもので、開花15日程度の小型の若いさやを食べる「絹さやえんどう」が日本では最も馴染みが深い。さや同士がこすれ合う音が(きぬ)(絹)ずれに似ていることから、こう呼ばれるようになったともいわれる。
 えんどうの原産は中央アジアから中東地域で、古代ギリシャ、ローマ時代から麦作の発祥とともに栽培されてきたといわれる。もともとは麦類の間にあった雑草で、マメ科の持つ土壌の肥沃に有効な「根粒菌」により栽培が進んだとも考えられている。日本へは9世紀頃、穀物として中国から渡来したといわれているが、さやえんどうとして本格的に栽培され始めたのは明治時代に入ってからである。
 開花25日程度まで子実を大きくしてさやごと食べる「スナップえんどう」は、1970年代にアメリカから導入された品種で、肉厚で柔らかいさやと甘みの強さが特徴である。また、「豆苗(とうみょう)」は発芽したえんどうの若芽であり、えんどうの風味と香りがある。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和4年の作付面積は、2650ヘクタール(前年比96.7%)と、前年に比べてやや減少した。
 上位5県では、
 ●鹿児島県  426ヘクタール(同 100.0%)
 ●福島県  237ヘクタール(同 97.1%)
 ●愛知県  121ヘクタール(同 97.6%)
 ●千葉県  105ヘクタール(同 93.8%)
 ●秋田県  94ヘクタール(同 101.1%)
 となっている。
 
タイトル: p033a
 
 令和4年の出荷量は、1万3100トン(前年比100.8%)と、前年に比べてわずかに増加した。
 上位5県では、
 ●鹿児島県  4330トン(同 105.1%)
 ●愛知県  1260トン(同 107.7%)
 ●熊本県  943トン(同 122.0%)
 ●福島県  825トン(同 102.6%)
 ●和歌山県  634トン(同 89.7%)
 となっている。
 
タイトル: p033b
 
 出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、熊本県の1.98トンが最も多く、次いで和歌山県の1.38トン、愛知県の1.23トンと続いている。その他の県で多いのは、長崎県の1.16トンであり、全国平均は0.73トンとなっている。
 
タイトル: p033c

作付けされている主な品種等

 さやえんどうには、さやの長さが5~6センチの小型の「絹さや種(姫みどり、美笹など)」と、10センチ以上になる「大さや種(オランダさやえんどうなど)」に大別される。大さや種は少なくなっており、昨今の人気と収穫作業の負担が少ないことなどから、ニムラサラダスナップエンドウに代表されるスナップ種が増えている。

タイトル: p034a

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和4年)を見ると、寒冷地の福島産や青森産などが5~10月に、暖地の鹿児島産や愛知産などが11月~翌春まで入荷し、3月をピークに周年出回っている。また、中国からの輸入物もほぼ年間を通じて入荷されている。

タイトル: p034b
 
 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和4年)を見ると、東京市場と同じく3月がピークで夏場の入荷は少ないが、東京に比べ和歌山産、大分産の入荷が目立つ。

タイトル: p035a
 

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場における令和4年の国内産の卸売価格は、1キログラム当たり924~2493円(年平均1083円)の間で推移した。入荷量が少ない夏場に価格が上昇し、10月以降に下落する傾向がある。
 外国産の価格については、国内産と同じく夏場に上昇する傾向があるが、1キログラム当たり525~1267円(年平均745円)の間で推移し、国内産の7割程度となっている。
 
タイトル: p035b
 
 タイトル: p036a

輸入量の動向

 生鮮えんどうの輸入量は、令和元年は900トン強程度であったが、年々減少し、令和4年は約480トンと半分程度に減少した。平成27年はほぼ全量を中国産が占めていたが、その後大きく減少し、ペルー産、タイ産、グアテマラ産などの割合が増えている。主に外食などの業務用として利用されている。
 
タイトル: p036b
 
 冷凍えんどう(統計上、さやえんどうとグリーンピースが含まれる)の輸入量は、1万2000トン前後で推移しているが、令和4年は近年最も少ない1万トン強となった。主な輸入先は中国、米国、NZで、米国産は減少傾向にある。
 
タイトル: p037a

さやえんどうの消費動向

 さやえんどうは、豆類特有のたんぱく質、糖質を含む栄養価の高い野菜である。βカロテンやビタミンCを豊富に含む緑黄色野菜に分類される。さやえんどうにはいちごと同じくらいのビタミンCが含まれ、細胞の酸化を防ぐ作用があり、生活習慣病や老化を予防する効果がある。
 さやえんどうの美しい緑色と曲線は、日本料理の彩りや付け合わせに欠かせない。関東では料理のアクセントとして用いられることが多いが、関西では和え物や炒め物などのおかずとして食卓に上ることも多いため、「大さや種」も流通している。また、肉厚なさやと大きな豆に食べ応えがあり、甘みが強いスナップえんどうも近年人気が高まっている。
 1人当たりの年間購入量は近年、減少傾向にあるが、春の訪れを感じ、さやと豆から豊富な栄養が取れるさやえんどうをもっと食べたいものである。
 
タイトル: p037b