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今月の野菜 野菜情報 2024年1月号

れんこんの需給動向

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調査情報部

主要産地

タイトル: p028
 
 中国原産ともエジプト原産ともいわれるれんこんは、ハスの地下茎が肥大したものである。日本へは奈良時代以降に中国から伝わったものが各地に広まったとされている。これが在来種と呼ばれるれんこんであるのに対し、現在主流となっているのは明治以降に導入された中国種と呼ばれるれんこんで、病気に強く収量も高いため、急速に普及した。
 れんこんは、ほかの野菜のように畑で栽培されるのではなく、水田や沼沢地で育つ。収穫は、水を張ったまま行う「水掘り」と、水を抜いて行う「(くわ)掘り」がある。「水掘り」は、ポンプを使って水圧を加え、れんこんを浮かび上がらせて収穫する。「鍬掘り」は、水を抜き鍬で土を除きながら収穫する。いずれの収穫方法も、れんこんを傷付けないよう細心の注意を払いながらの繊細な作業である。
 新潟県長岡市の大口地区で栽培されている大口れんこんや、山口県岩国市で栽培されている岩国れんこんなど、地名をとった地域の特産となっているものもある。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和4年の作付面積は、4020ヘクタール(前年比101.0%)と、わずかに増加した。
 上位5県では、
●茨城県  1730ヘクタール(同 101.2%)
●徳島県  525ヘクタール(同 101.0%)
●佐賀県  461ヘクタール(同 101.5%)
●愛知県  217ヘクタール(同 98.6%)
●山口県  203ヘクタール(同 100.0%)
 となっている。

タイトル: p029a
 
 令和4年の出荷量は、4万7300トン(前年比109.5%)と、かなりの程度増加した。
 上位5県では、
●茨城県  2万4500トン(同 110.4%)
●佐賀県  5460トン(同 115.9%)
●徳島県  4050トン(同 102.3%)
●愛知県  2600トン(同 101.2%)
●山口県  2030トン(同 112.8%)
 となっている。

タイトル: p029b
 
 出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、茨城県の1.63トンが最も多く、次いで佐賀県の1.59トン、愛知県の1.27トンと続いている。その他の県で多いのは、岐阜県の1.69トンであり、全国平均は1.40トンとなっている。

タイトル: p029c
 

作付けされている主な品種等

 れんこんの品種は、在来種と、明治初期に中国から導入された中国種に分けられ、現在流通しているのは中国種がほとんどである。関東ではふっくらと丸い(かな)(すみ)系やだるま系と呼ばれる品種が比較的好まれる。「金澄」は中国種と在来種を交配して誕生したもので、シャキシャキ感が強いのが特徴である。関西では長い形状が好まれ、節間が細長い「備中」や、「白花種(しろばなしゅ)」など地域特産に利用されている品種は、もっちりとした食感でうま味が強い。

タイトル: p030a
 

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和4年)を見ると、茨城産が周年で入荷されている。秋から冬が旬であることから、9月から入荷が増え始め、正月用の商材としても用いられるため、12月は需要の最盛期となる。

タイトル: p030b
 
 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和4年)を見ると、徳島県が主産地で周年入荷されている。東京市場と同様に1~6月にかけて減少しながら推移し、7月以降、年末にかけて増量し12月がピークとなる。徳島産が大部分を占めるが、佐賀産、茨城産もほぼ通年で入荷する。数量が少なくなる夏場は熊本産がみられる。

タイトル: p031a
 

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場における卸売価格は、入荷量の増減に反比例して6月がピークとなり、年末にかけて下落する傾向がある。

タイトル: p031b

輸入量の動向

 れんこんの輸入は、塩蔵等れんこんが大部分を占め、そのほとんどが中国から水煮など加工・業務用として周年輸入されている。平成27年以降、年々減少傾向で推移している。

タイトル: p032a
 

れんこんの消費動向

 近年のれんこんの1人当たり年間購入数量は、400グラム前後で推移しており、大きな変動はない。周年店頭に出回っているが、旬は9月から年末にかけてであり、特におせち料理向けに年末に出荷量が多くなる。
 穴がたくさん開いていることから「見通しが良い」縁起物として、また「ん」がたくさんつくものを食べると「運」がつくという(げん)担ぎからも、正月や慶事の食材として古くから利用されてきた。
 れんこんは、食物繊維とビタミンCを豊富に含む。食物繊維には整腸作用や血中コレステロールの低下作用、ビタミンCには強い抗酸化力があり、動脈硬化や脳卒中、がんなどの病気の予防、皮膚や骨粘膜を強化する働きが期待できる。そのほか、野菜に含まれることが少ないビタミンB群も含まれており、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素として、口内炎や肌荒れに効くといわれている。

タイトル: p032b


 
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