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今月の野菜 野菜情報 2023年12月号

みずなの需給動向

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調査情報部

主要産地

タイトル: p028

 みずな(水菜)は、アブラナ科アブラナ属の野菜で、京都で古くから栽培された日本原産の野菜である。畑の(うね)と畝の間に水を引いて栽培したことから「みずな(水菜)」と呼ばれるようになったと言われる。
 シャキシャキとした食感とくせのない味、料理に映える緑色の細い葉が、生食で食べられるサラダ需要として広まり、現在では全国の市場に一年中出回る。元々は京都の伝統野菜で、「青果店の店先にみずなが並び始めると冬本番」といわれたほど、冬が旬の野菜である。霜に当たってからが味が良くなる冬野菜で、それによって繊維が柔らかくなり、風味が増して味わいが深くなる。
 細かいギザギザの切れ込みのある葉が特徴的な通常のみずなのほか、丸みを帯びた細長い葉で京都府の壬生(みぶ)地方で栽培されていた変種の()()()、茎の色が紫色の赤みずな(赤軸みずな)などもある。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和4年の作付面積は、2320ヘクタール(前年比95.9%)と、前年よりやや減少した。
 上位5府県では、
●茨城県  996ヘクタール(同 97.6%)
●福岡県  216ヘクタール(同 100.5%)
●京都府  140ヘクタール(同 96.6%)
●埼玉県  110ヘクタール(同 91.7%)
●兵庫県  105ヘクタール(同 97.2%)
 となっている。

タイトル: p029a
 
 令和4年の出荷量は、3万4900トン(前年比94.8%)と、前年よりやや減少した。
 上位5府県では、
●茨城県  1万7500トン(同 91.1%)
●福岡県  3200トン(同 106.7%)
●京都府  2490トン(同 124.5%)
●兵庫県  1330トン(同 97.8%)
●滋賀県  1270トン(同 98.4%)
 となっている。

タイトル: p029b
 
 出荷量上位5府県について、10アール当たりの収量を見ると、京都府の1.95トンが最も多く、次いで茨城県の1.94トン、福岡県の1.52トンと続いている。その他の道府県で多いのは、北海道の2.59トン、大阪府の2.14トンであり、全国平均は1.68トンとなっている。

タイトル: p029c

作付けされている主な品種

 主産県では近年、早生種を導入し、年間5~6回作付けて収穫できる小株品種が主流で、周年出荷されている。露地栽培と施設栽培で一年を通して栽培されており、施設栽培は水耕によるものも多くある。

タイトル: p030a

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和4年)を見ると、通年にわたって茨城県からの入荷が大部分を占める。周年で入荷されているが、暑さに弱いため6~8月まで入荷量が減少する。

タイトル: p030b
 
 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和4年)を見ると、通年にわたり茨城県、福岡県からの入荷が見られ、旬を迎える冬場は大阪府からの入荷も増える。鍋物需要が高まる年末から年始にかけて入荷が増加する。

タイトル: p031a

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場におけるみずなの価格(令和4年)は、1キログラム当たり250~429円(年平均333円)の幅で推移した。天候の影響は受けるものの、暑さに弱いことから、6月以降は入荷量の減少に伴い価格は上昇傾向となる。

タイトル: p031b

消費動向など

 かつては関西地方でのみ知られていた京都の伝統野菜のみずなだが、近年は全国的に知られる野菜で、一年中市場に出回っている。
 肉や魚の臭みを消す作用があるため、鍋物で使われるほか、最近ではサラダなどの生食も定着している。みずなの歯触りを生かした「はりはり鍋」は関西の冬の定番でもある。みずなと一緒に煮るのは鯨肉だったが、手に入りにくい現在は、牛肉や豚肉、鴨肉などが使われ、相性の良い油揚げなども加えて親しまれている。
 若緑色の葉や白い茎、軽やかな食感から、淡白な印象のみずなだが、βカロテンを豊富に含む緑黄色野菜である。ビタミンCやビタミンEも豊富で、皮膚や粘膜の健康を保つ効果があることから、冬の乾燥時期の風邪や肌荒れの予防、疲労回復などの効果が期待できる。