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今月の野菜 野菜情報 2023年10月号

ごぼうの需給動向

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調査情報部

主要産地

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 キク科ゴボウ属のごぼうは、原産地はユーラシア大陸北部で、10世紀以前に中国から薬草として渡来したと言われ、日本では食用として栽培が始まった。作物化し、日常的に食用にしているのは世界でも日本くらいだったが、日本向けのごぼうを生産している中国や台湾でも、健康に良いということで昨今では食べられるようになった。
 関東では、耕土が深く水はけが良いため根が細くて長い長根種が、関西では、耕土があまり深くないため、根が太くて短い短根種が普及した。現在、主要産地で栽培されている長根種の基本種である「滝野川ごぼう」は、江戸時代から現在の東京都北区滝野川付近で栽培されていたと言われている。
 ごぼうは従来、きんぴらや煮物などの火を通して味付けをする料理に使われていたが、最近はゆでた後にサラダにして利用されることも多く、それに適した品種として、根が短く、色は白っぽく肉質がやわらかで香りが良いサラダ用のごぼうも開発されている。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和4年の作付面積は、7140ヘクタール(前年比96.4%)と、前年に比べてやや減少した。
 上位5道県では、
●青森県  2340ヘクタール(同 98.7%)
●茨城県  789ヘクタール(同 99.7%)
●鹿児島県  581ヘクタール(同 100.5%)
●宮崎県  540ヘクタール(同 96.9%)
●北海道  482ヘクタール(同 92.3%)
 となっている。

タイトル: p031a

 令和4年の出荷量は、10万2700トン(前年比88.0%)と、前年に比べてかなり大きく減少した。
 上位5道県では、
●青森県  4万  300トン(同 83.4%)
●茨城県  1万2200トン(同 96.8%)
●北海道  9760トン(同 84.1%)
●宮崎県  7910トン(同 88.2%)
●鹿児島県  6410トン(同 99.7%)
となっている。

タイトル: p031b

 出荷量上位5道県について、10アール当たりの収量を見ると、北海道の2.16トンが最も多く、次いで青森県の1.82トン、茨城県の1.70トンと続いている。その他の府県で多いのは、大阪府の2.50トンであり、全国平均は1.63トンとなっている。

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作付けされている主な品種

 主要産地では、滝野川ごぼう系統から生まれた早生タイプで、秋()き、春蒔きのどちらにも対応できる「柳川理想」が主に栽培されている。サラダごぼうと呼ばれているタイプは、「柳川理想」をさらに早く、短いまま収穫できるようにしたものである。

タイトル: p032a

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和4年)を見ると、6~8月は群馬産が中心で、9月からピークの12月にかけては青森産の入荷増に伴って全体の入荷量が増える。1~5月にかけては安定した入荷量となっているが、年間通して青森産の存在感が大きく、次いで群馬産、鹿児島産、熊本産の入荷が見られる。

タイトル: p032b

 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和4年)を見ると、6~8月は群馬産を中心に九州の鹿児島産、宮崎産、熊本産の入荷がある。9月以降ピークとなる12月、さらに翌5月にかけては、青森産、茨城産、北海道産などの東日本からの入荷が見られる。

タイトル: p033a

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場における国内産の価格は、7~11月にかけて下降し、年末需要の高まる12月に上昇するという傾向がある。外国産の価格はキログラム当たり200円前後で、通年安定している。

タイトル: p033b
 
タイトル: p034a

輸入量の動向

 生鮮ごぼうの輸入量は、ほぼ横ばいで推移しており、そのほとんどが中国産である。中国産は主に加工・業務用として周年で輸入されている。冷凍、塩蔵に関しては、ほぼ全量が中国からの輸入となっている。

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タイトル: p034c

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ごぼうの消費動向など

 令和4年の1人当たりのごぼうの年間購入数量は477グラムで、年によって増減はあるが減少傾向であり、下処理などが面倒で家庭内での調理が減少していることもその要因と考えられている。
 手間を省くために最近では洗いごぼうを多く見かけるが、泥付きの方が鮮度を保ちやすく、香りが強く感じられるため、長時間加熱調理するきんぴらや煮物、汁物などには泥付きの方が向く。一方、パッケージ素材の改良により近年の洗いごぼうも日持ちが良くなり、その利便性から消費が伸びている。
 食物繊維には水溶性と不溶性があり、ごぼうはそのどちらも豊富に含んでいる。水溶性食物繊維のイヌリンは、腎臓機能や肝機能を高める効果があり、血糖値の上昇を抑え、コレステロール値を低下させる働きや利尿効果がある。不溶性食物繊維のセルロースやリグニンは、整腸作用や便秘解消、大腸がんの予防効果が期待できる。

タイトル: p035b