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今月の野菜 野菜情報 2023年7月号

スイートコーンの需給動向

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調査情報部

主要産地

タイトル: p028


 トウモロコシのうち、糖度が高く、未熟な子実を生食する種類はスイートコーンと呼ばれ、日本では野菜に分類されている。日本には16世紀末にポルトガル人からフリントコーンと呼ばれる硬粒種が伝えられたが、本格的に栽培が始まったのは、米国からスイートコーン品種が伝来した明治時代に入ってからである。
 スイートコーンは粒が黄色いイエロー系、白いシルバー系、黄色と白が混ざったバイカラー系に大別できる。イエロー系の代表品種に、昭和40年代から全国で栽培されるようになった、甘みの強いスーパースイート種の「ハニーバンダム」がある。現在は、「ハニーバンダム」を改良したより甘みの強い「味来(みらい)」や、果皮が柔らかく実入りの良い「ゴールドラッシュ」が多く流通している。シルバー系は、ハニーバンダムの白粒種で、小粒でつやがあり、甘みが強く果皮が柔らかいのが特徴であり、糖度が高く生で食べることができる「ピュアホワイト」などがある。バイカラー系は、黄色粒種と白粒種を掛け合わせた品種で、黄色の粒と白の粒が3対1の割合で混じる。イエロー系より甘みが強く、果皮が柔らかいため、人気が高まっている。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和3年の作付面積は、2万1500ヘクタール(前年比96.0%)と、前年に比べてやや減少した。
 上位5県では、
 ●北海道  7210ヘクタール(同  89.9%)
 ●千葉県  1680ヘクタール(同  98.8%)
 ●茨城県  1320ヘクタール(同 100.0%)
 ●群馬県  1180ヘクタール(同 100.9%)
 ●長野県  1060ヘクタール(同 101.0%)
 となっている。

タイトル: p029a

 令和3年の出荷量は、17万8400トン(前年比92.6%)と、前年に比べてかなりの程度減少した。
 上位5県では、
 ●北海道  7万7600トン(同  83.2%)
 ●千葉県  1万4100トン(同 122.6%)
 ●茨城県  1万1500トン(同  93.5%)
 ●群馬県    1万200トン(同 110.6%)
 ●山梨県     7610トン(同 104.2%)
 となっている。

タイトル: p029b

 出荷量上位5道県について、10アール当たりの収量を見ると、山梨県の1.23トンが最も多く、次いで茨城県の1.13トン、北海道の1.12トンと続いている。その他の県で多いのは、埼玉県の1.35トン、愛知県の1.16トンであり、全国平均は1.02トンとなっている。

タイトル: p029c

作付けされている主な品種等

 近年、より甘く、より果皮の柔らかい品種改良が追及されており、各産地が特徴を出した品種名をブランド名として掲げ、販売する例が増えている。

タイトル: p030a

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和4年)を見ると、代表的な夏の旬野菜であるため、6~8月にかけて入荷が集中する。5月から宮崎産、長崎産といった九州からの入荷が始まり、6月以降は茨城産、山梨産、愛知産、千葉産といった近在産地からの入荷が加わり、ピークは7月となる。8月以降は北海道産が中心となり、10月以降、入荷は激減する。

タイトル: p030b

 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和4年)を見ると、5月に長崎産を中心に宮崎産といった九州からの入荷が増え始め、6月には徳島産が増え、香川産や愛知産も加わり入荷量は急増し、ピークとなる7月には長野産、茨城産、群馬産の東の産地からの入荷が増える。8月以降は北海道産が主流となり、10月には入荷が激減する。

タイトル: p031a

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場における令和4年の国内産スイートコーンの価格は、国内産が1キログラム当たり224~681円(年平均276円)の間で推移した。入荷量が増える6月から10月にかけては200~300円前後で推移し、11月以降は値上がり、1月から5月にかけては400~700円近くまで高騰する傾向が見られる。

タイトル: p031b

輸入量の動向

 スイートコーンの輸入は、その大部分が冷凍品とその他調製品である。生鮮品は、国産が高い時に輸入されるため年により変動が大きい。冷凍品は、近年は5万トン前後で推移しており、主な輸入先国は、米国を中心にタイ、中国、ニュージーランドなどで、外食向けなどに周年輸入されている。その他調製品については、6万トン前後で安定して推移しており、主な輸入先国はタイ、米国である。





輸出量の動向

 スイートコーンの輸出は、冷凍品が令和元年より急増し、その後も増加傾向にある。主な輸出先は香港、台湾などで、アラブ首長国連邦へも比較的安定的に輸出している。その他調製品については、平成27年以降、安定的な推移が見られ、台湾、香港、シンガポールなどが主な輸出先だが、近年香港向けが増えている。

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消費動向など

 鮮度の低下が激しく、時間とともに風味や甘みが減少するため、収穫からいかに早く食べるかが糖度維持につながる。そのため、産地直売やネット販売で収穫後すぐに手元に届ける販売形態が広がっている。昔から屋台などでも人気のスイートコーンだが、最近は加工技術が高まっていることなどから、屋台や外食では1本丸ごとのレトルトや缶詰などが利用されることが多い。
 外皮が濃い緑色で、先まで実がぎっしりと詰まって粒がふっくらしているものが新鮮である。ひげが多いものほど粒も多く、ひげの褐色が濃いものほどよく熟している。買ったらその日のうちに食べることが理想であり、すぐにゆでるか蒸すかして、おいしさを逃がさないようにしたい。すぐに食べない場合は、これをラップに包んで冷蔵する。冷蔵なら2~3日保存可能である。
 野菜でありながら穀物的な性格も強く、炭水化物が主成分で、でん粉の他にショ糖やグルコースなど甘みを直接感じる糖類も含まれており、エネルギーが高い。胚芽の部分には、糖質代謝を円滑にして疲労回復に役立つビタミンB群や、抗酸化性が強いビタミンEも含まれている。ミネラルでは、むくみの解消や高血圧予防に効果があるカリウム、体内酵素の正常な働きとエネルギー産生の補助、血液循環を正常に保つのに必要といわれているマグネシウムなどを、バランスよく含む栄養価の高い野菜である。