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今月の野菜 野菜情報 2023年3月号

たまねぎの需給動向

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調査情報部
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 たまねぎは、貯蔵できることから周年出回る重要な野菜で、家庭でも欠かせない野菜の一つである。
 日本で栽培されているたまねぎの大部分は、黄たまねぎと呼ばれるもので、辛味があり貯蔵性がある。生育に必要な温度と日照時間の関係で、北海道では春に種をまき秋に収穫するが、府県産は秋に種をまき春から初夏にかけて収穫される。また、黄たまねぎと比べて辛味や刺激臭が少なく、水分に富み、甘みも多く、サラダなどに適した生食用の赤たまねぎ(紫たまねぎ)や、春先のわずかな期間に出回る白たまねぎ種のサラダたまねぎなどがある。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和3年の作付面積は、2万5500ヘクタール(前年比100.0%)と、前年並みとなった。
 上位5道県では、
●北海道1万4600ヘクタール(同 100.0%)
●佐賀県2100ヘクタール(同 98.6%)
●兵庫県1650ヘクタール(同 101.2%)
●長崎県803ヘクタール(同 97.1%)
●愛知県500ヘクタール(同 96.2%)
 となっている。

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 令和3年の出荷量は、99万2900トン(前年比81.2%)と、前年より大幅に減少した。
 上位5道県では、
●北海道62万7700トン(同 75.0%)
●佐賀県9万3600トン(同 92.7%)
●兵庫県9万1400トン(同 101.9%)
●長崎県2万9500トン(同 99.3%)
●愛知県2万4700トン(同 97.2%)
 となっている。

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 出荷量上位5道県について、10アール当たりの収量を見ると、兵庫県の6.07トンが最も多く、次いで愛知県の5.38トン、佐賀県の4.80トンと続いている。その他の県で多いのは、栃木県の4.60トン、和歌山県の4.54トンであり、全国平均は4.30トンとなっている。

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作付けされている主な品種等

 出荷量が最大の北海道は貯蔵たまねぎの産地であるが、九州地方は新たまねぎの産地としても有名である。
 作付けされている品種を見ると、北海道の春まき用と府県産の秋まき用とでは、抽苔(ちゅうだい)しにくさや生育に必要な日照時間が異なるため、別の品種が用いられている。

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東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和3年)を見ると、九州産と貯蔵物の北海道産が同時に入荷する4月が最も多く、佐賀産、兵庫産の入荷が中心となる5月から7月の夏場にかけて減少し、8月以降は再び北海道産が多くなる。年明け1月から3月は白たまねぎ種の産地である静岡産の入荷が見られる。

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 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和3年)を見ると、東京市場と同様に北海道産と西の産地が同時に入荷する春先の入荷が最も多い。兵庫産は通年入荷しており、特に5月から8月の入荷が多い。

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東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場における国内産たまねぎの価格(令和3年)は、1キログラム当たり79~187円(年平均113円)の幅で推移している。令和3年は降雨が少なく、高温・干ばつの影響を受けて北海道産が不作であったことから、絶対量不足により秋以降、価格が高騰した。

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輸入量の推移

 たまねぎは家庭での消費以外に、中食や外食などの業務用利用が多い食材でもあり、生鮮野菜の中でも最も輸入量が多い野菜である。
 令和2年の生鮮たまねぎの輸入量は、過去10年で最も少ない22万トンとなっており、コロナ禍で外食需要の減退が影響しているとみられる。輸入先国のシェアは中国が拡大する一方、米国、ニュージーランドは縮小している。中国産たまねぎは周年で輸入されており、主に加工・業務用野菜(むきたまねぎ)として輸入されていたが、一部は卸売市場にも入荷される。米国産は主に8月~翌4月に輸入されており、量販店などでも販売される。
 乾燥たまねぎの輸入量は、7000トン前後で推移しており、主な輸入先国は、米国、エジプト、中国などである。

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たまねぎの消費動向など

 たまねぎの1人当たりの年間購入量の推移を見ると5000~5800グラムで推移していたが、令和2年は6296グラムと過去10年間で最も多くなった。これはコロナ禍で家庭内消費が増えたことが要因である。
 たまねぎの独特の匂いの主成分に硫化アリルがある。これはたまねぎを切った時に目に沁みる成分として知られているが、効用もある。硫化アリルの一種であるプロピルメチルジスルフィドは、血液をサラサラにすると言われており、コレステロールの代謝促進や血栓予防に効果があるため、動脈硬化の予防になると考えられている。

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