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今月の野菜 野菜情報 2022年11月号

はくさいの需給動向

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調査情報部
 
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 はくさいは英語でチャイニーズキャベッジといい、日本での栽培の歴史は比較的浅く、明治時代に中国から導入された。大きく分けて結球、半結球、非結球の3タイプがあるが、現在日本で多く出回っているのは結球タイプである。近年、カットして販売されることが多いため、半分に切った時の見た目の美しさから中心部が黄色い「黄芯型」が主流である。また、少人数の家庭でも食べきれるよう小型品種(ミニはくさい)も開発され、重さは通常の結球はくさいの4分の1程度の1キログラム前後である。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和3年の作付面積は、1万6500ヘクタール(前年比99.4%)と、前年に比べてわずかに減少した。
 上位5県では、
 ●茨城県3380ヘクタール(同100.9%)
 ●長野県2850ヘクタール(同100.4%)
 ●北海道617ヘクタール(同102.3%)
 ●福島県516ヘクタール(同 97.5%)
 ●埼玉県486ヘクタール(同100.8%)
 となっている。

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 令和3年の出荷量は、74万4800トン(前年比102.5%)と、前年に比べてわずかに増加した。
 上位5県では、
 ●茨城県23万2200トン(同 100.6%)
 ●長野県20万2500トン(同 100.8%)
 ●群馬県2万2700トン(同 96.6%)
 ●北海道2万1500トン(同 89.2%)
 ●大分県2万700トン(同 96.7%)
 となっている。

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 出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、長野県の8.00トンが最も多く、次いで茨城県の7.41トン、群馬県の6.36トンと続いている。その他の県で多いのは、和歌山県の6.30トン、鹿児島県の5.96トンであり、全国平均は5.45トンとなっている。

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作付けされている主な品種等

 「黄信」「晴黄」「きらぼし」といった中心部が黄色い黄芯系の品種が主流である。

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東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和3年)を見ると、1~5月にかけて茨城産が主流となり、その他、近在の群馬産、埼玉産に加え兵庫産が入荷した。6月以降は長野産が中心で茨城産、群馬産、北海道産も入荷した。11月以降は再び茨城産が中心の入荷となった。

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 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和3年)を見ると、1~5月にかけては近在の兵庫産、愛知産、和歌山産に加えて宮崎産や長崎産、熊本産、茨城産といったように多くの産地からの入荷が見られる。4月以降、茨城産が入荷するものの、6~10月は長野産が中心となり10月がピークとなる。11月以降はやや減少し、茨城産を中心に近在産地からの入荷が見られた。

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東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場におけるはくさいの価格は、年末年始に安くなり春先にかけて上昇する傾向がある。夏場から9月までは上昇傾向で、その後年末に向け下落する。令和3年は長雨の影響により9月に高騰した。

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輸入量の動向

 生鮮はくさいの輸入は、平成26年以降は右肩上がりで増加し、特に28年以降は台風や天候不順の影響で国産が高値だったことから、生育が良好だった中国産の輸入が進んだ。また、29年秋の台風は到来時期が遅かったため()き直しが間に合わず、その後の低温もあって品薄となり、年明け30年の1~3月は中国に加えて韓国からの入荷も見られ、加工・業務用を中心に輸入が急増した。もともと国産の不作時以外の輸入は非常に少ない。国産が不作になった年に加工・業務用(主に漬物用)として輸入されている。近年、国内価格の高騰もあり、29年以降は周年で輸入されている。冷凍はくさいは、数量は減少傾向で推移しているが全量中国からの輸入である。

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はくさいの消費動向

 はくさいは漬物、鍋物、炒め物など和洋中どの料理にも使える素材として、米飯中心のわが国では欠かせない野菜である。なかでも漬物としての存在感は大きく、特にキムチとしての消費が伸びている。
 1人当たりの年間購入量をみると2600~3000グラムで安定して推移している。平成26年をピークに減少傾向だったが、令和元年以降増加しており、価格低下とコロナ禍による家庭内調理の増加ならびに家庭で手軽に作れる鍋つゆや調味料の普及が一因と考えられる。

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